2/26/2016

ブルレック兄弟のデザインなテレビ/ セリフTV


Solo Galerie/ Le design des frères Boulloulec au service de vidéos d'architecture

先日北マレを歩いていたら、サムスンが発表したブルレック兄弟によるデザインの話題のテレビ、Serif TV(セリフTV)を何台も置いているギャラリーがあったので入ってみました。

この展示は、On Architecture社が、世界中の有名無名の建築家の作品やインタビューをビデオに撮ったものの中から、15点を紹介していました。ビデオ自体も興味深いのですが、特にブルレック兄弟のデザインしたテレビと椅子を小道具として素敵。横から見ると大文字のI型の、シンプルの極みのセリフTVは、ラジオ派の私もちょっと欲しくなりました。

ソロ・ギャラリーは、建築/アーキテクチャーをコンテンポラリー・アートとし、エステティックの面から紹介するための、パリで初めてのギャラリーなのだそうです。面白い! 急いでいたので、どれも長いビデオをゆっくり見ることができず、しかもこの週末で展示が終わるとのことで残念でした。今後の展示が楽しみです。
Solo Galerie    11 rue des Arquebusiers 3e

2/24/2016

スパゲッティ・チェアー/ ジャンドメニコ・ベロッティ


Spaghetti chair/ Giandomenico Belotti au Bon Marché

ジャンドメニコ・ベロッティが1979年にイタリアのアリアス社にデザインしたスパゲッティチェアーが、ボン・マルシェで限定販売中です。
単純なメタルの枠にPVCのコードを巻き付けただけのシンプルな椅子で、コードがスパゲッティに似ているのでこの面白い愛称で呼ばれています。しかしこのスパゲッティーは見た目よりずっと強靭、しかも強い弾力性があり、座ると体に沿うのでとても座り心地がいいのです。アリアス社のサイトを見ると、このコードの生産工程がビデオで出ていました。
今回の限定販売は、デザイナーのアルフレド・ハベルリが、オリジナルにバリエーションを加えて全部で7モデル。トップの写真の、小さな丸いテーブルが付いたモデルがとてもかわいくて、イタリア式エスプレッソを乗せるのにぴったりそう。
上のデッサンはスパゲッティチェアーのカタログの表紙になっていますが、この男性は多分アルフレド・ハベルリ自身。顔がそっくりでおかしくなります!

2/19/2016

セバスチャン・デガルダン/ ラ・パティスリー・デュ・パンテオンのパルミエ


Le parmier de Sébastien Dégardin, La Pâtisserie du Panthéon

雪混じりの雨が降る灰色の空・・こんな時は憂鬱さを吹き飛ばすような、美味しいスイーツでお茶にしたくなります。今日のお目当ては、ずっと食べたいと思っていたセバスチャン・デガルダンのパティスリー・デュ・パンテオンのパルミエ。
パルミエは細く切ったパイ皮をハート形に巻き、お砂糖をかけて焼いた軽いお菓子。意外と大きく、小柄な女性の手の平位の大きさがあります。パリのパン屋さんならどこでもある、パン・オ・ショコラ、パン・オ・レザン、シューケット等と並ぶ、フランスの代表的なおやつで、軽さとややカラメル状になったお砂糖のシンプルな甘さがなんとも美味。
普通ハート形なのに、セバスチャン・デガルダンのは、パイ皮を四角く並べ、中央で一ひねりした、花のような形(トップの写真)。とても軽いのに、カラメル化したお砂糖のせいでパリっと割れず、ちょっともっちり感が・・・フィガロ紙のパルミエ、トップテンの2位もなるほどと納得の味。しかし欲を言えば、個人的にはもう少し甘みを控えた方が好みかも・・

外見がブルターニュのお菓子クイニーアマンに似ているこれはブリオッシュ・フィユテ、パイ皮のように層になったブリオッシュ。普通のブリオッシュより甘く、しかしパンなのでパルミエよりずっと甘さを控え、イーストの香りがし、これは文句なく最高でした。
La Pâtisserie du Panthéon   200 Rue Saint-Jaques 5e  

フィガロ紙のパルミエ、トップテン
1位 Ladurée Royal
2位 Sébastien Dégardin
3位    Stohrer
4位    Arnaud Delmontel
5位    Moulin de la Vierge Victoire
6位 Vandermeersch,  Schou 2社同点
8位    The Smith's Bakely,  Pichard 2社同点
10位  Fauchon 

2/14/2016

若きウェルテルの黄色のベスト


Le gilet jaune de Werther/ L'opéra de Massenet

先日観たマスネのオペラ ″ウェルテル″ で、ウェルテル役のピョトール・ベクザラの衣装は、濃いブルーのジャケットに黄色のベストでした。あまりにも有名なヨナス・カウフマンのウェルテルの衣装も黄色のベストだったので(上の写真はそのDVDのカバーの一部)、演出家が同じだからと思っていました。後になってオペラ座のコスチューム責任者の方の談話を読みゲーテの原作 ″若きウェルテルの悩み″ が発表された当時、熱狂的なウェルテル・ブームになり、ウェルテルのナイトブルーのジャケットに黄色のベストを着るのが大流行りしたことを知りました(それに自殺も!)。この服装はロマン派の象徴のようになり、18世紀後半のファッション全体にも大きく影響を与えたのだそうです。純文学からブランシェ・ファッションが生まれた時代・・優雅ですねー。

ところでフランスでWertherは、最後のRを発音しないでヴェルテーと曖昧に聞こえます。しかもオペラはフランス人マスネ―が作曲し、美しいフランス語で歌われるのです。そのためにか原作はゲーテで、実らぬ恋にピストル自殺するのに、オペラのヴェルテーと小説の若きウェルテルの悩みが同じものとは、全くマヌケにも長い間思い至りませんでした。休憩時間に誰かがウェルテルと発音しているのが聞こえて、ハッと気が付き、そのあと笑いが止まりませんでした。原作はドイツ語だということを考えなかった私の大ミス。でもアルファベットの国民が、固有名詞を勝手に自国語に変えてしまうのも困りものです。例えばヴェルディのオペラ、ジョバンナ・ダルコって誰かというと、ジャンヌ・ダルク!

今回のシャルロット役のエリナ・ガランチャは、私には超の付く最高と思えましたが、ある批評の中にフランス語が不明瞭だと出ていました。フランス人はオペラの発音特にフランス・オペラには厳しくて、まあそれがポエムの美しさの決め手なので当然ではあるけれど、外国の歌手にも容赦しません。それだったら ″ヴェルテー″ もやめてほしい・・・でもウェルテルにしたらフランス・オペラではなくなるし・・ややこしいですね、

2/09/2016

デンマークの現代家具職人展


Cabinetmakers' exhibition "Petit" à la Maison du Danemark

メゾン・ド・ダネマーク(デンマーク・センター)恒例のデンマーク家具職人展が開催中です。
この展覧会はキャビネットメーカーズ・オータムエクシビション協会が主催し、毎年1つのテーマを決め、有名無名を問わずにデンマークの現代家具職人やデザイナーの作品を紹介。移動展示で、秋にコペンハーゲン郊外のØregaard 美術館に始まり、1月27日からはパリのデンマーク・センターに来ています。今年のテーマはPetit(ペティ小さい)
アーチのカーブとシャープな直線のウルトラマリン色 Arche chair
               
コンクリートとスチールを使ったモバイル用の椅子。長電話にならないように、座り心地は二の次にエステティックを重視したOfflineと、3つの異なるサイズの サイドテーブルを組み合わせ、リズミカルなAria
               
バレリーナがつま先立ちしたような足のサイドテーブルTiptoe tableと伝統的な籐編みの技術を使ってペーパーヤーンを編んだ椅子Wait
               
180度回転してベンチやサイトテーブルとしても使えるEtapeと、  アシメトリーに2つの円を組み合わせたサイドテーブルLoop
               
軽く積み重ねが便利な3つ足チェアーCafé chairと、女性のパフスリーブやドレスからヒントを得たとてもフェミニンなDress chairs 2
               
回転し、前後から引き出しを開けられるTurning Boxes と、手前は丸いジオメトリックでシンプルなスツールStool Pigeon+丸いサイドテーブルのセットがとても素敵。

Cabinetmakers' Autumn Exhibition   4月3日まで
Maison du Danemark   142 Av.des Champs-Elysées 8e   

2/01/2016

ロバート・キャパのカラー写真

                                                                                               by Robert Capa/ Jeu de Paume
Robert Capa et la couleur

上の写真・・・なんと清々しく自信と気迫に満ち溢れた魅力的な女性! 彼女の服装や仕草から昔のカラー写真だとすぐわかるのに、ちっとも古臭さを感じさせない、画面からほとばしるような個性・・・厳密には美人ではないこの女性の美しさを最大に引き出し、その一瞬を捉えたのはロバート・キャパ。今ロワール河の町トゥールで開催中の ″ロバート・キャパとカラー″ という小展覧会の写真です。写真専門のパリのジュ・ド・ポーム美術館にバックアップされているのに、なぜかパリでは展示されずとても残念。あんまりにこの写真が素敵で感激したので、展覧会を見ていないのにどうしてもブログに取り上げたくなりました。
                                                                                                      by Robert Capa/ Jeu de Paume
いくら見ても見飽きないこの3枚、どれもカラーの美しさがキーポント。キャパは戦争をテーマとした黒白写真で有名ですが、1938年頃からカラー写真、それもファッションモデルやハリウッドの映画俳優なども沢山撮っていたようです。しかし彼のカラー写真だけを集めた展覧会はこれが初めて。
キャパを一躍有名にしたスペイン戦争で撃たれた兵士の写真は、彼の演出だったという疑惑が殆ど証明されるなど、悪いことも平気でやったらしい。それでも彼は私のフランスのいい男ベストテン入りです(本当はハンガリー人で後にアメリカに帰化した)。以前書いたアンドレ・マルローも、若い時にヴェトナムで遺跡の美術品を盗んで捕まったか、捕まりそうになってフランスに逃げ帰ったかしているし、どちらもフランス人らしい・・・

Robert Capa et la couleur    Château de Tours, 25 Av.André Malraux, 37000 Tours 5月29日まで