1/30/2021

イルドフランスで一番おいしいガレット・デ・ロワ/ 2021年

La Meilleure galette des rois de'Ile de France 2021
La Fabrique aux gourmandises

イルドフランスで一番おいしいガレット・デ・ロワ賞に、2021年はパリ14区のブーランジュリー≪ファブリック・オ・グルマンディーズ≫リオネル・ボナミ氏のガレットが選ばれました。このパン屋さんは、2019年にイルドフランスで一番おいしいクロワッサン賞にも輝いたばかりですから、本当に実力のある要注目の名店ですね!

ガレット・デ・ロワ "王様のガレット" は、1月6日のエピファニーに食べる、アーモンドのフランジパンが入ったシンプルなパイです。ベツレヘムの馬小屋で12月25日(クリスマス)に生まれたイエスの元に、星に導かれた3人の王様が、宝物を持って詣でたのが1月6日のエピファニー。ですからガレット・デ・ロワのコンクールも、毎年1月6日に行われます。下は、イルドフランスで一番おいしいガレット・デ・ロワ賞、第一位受賞を知らせる店頭の黒板。いつも人が並ぶ人気のお店ですけれど、私が行った日は土曜日だったこともあって、すごい行列。

すごい行列と言っても、日本で見た行列と比べると、たいしたことはないかも・・・35分待ちました・・・パリではめったにない事!


せっかく待ったのだから、クロワッサンやキッシュなども買い込みました。去年のブログにも書いたように、賞を取ったクロワッサンは絶品のおいしさ。キッシュは 普通に "美味しい" 止まり。そして本命のガレットは、ウーム!! すばらしい! 軽い、軽ーい! いくらでも食べられそう!

中には、昔々はフェーブ(豆)、現代では陶器の像が一つ入れてあり、それが入った一切れを食べた人がその日の王様になり、ガレットに必ず付いてくる金色の紙の王冠を被るのです。 
ガレット・デ・ロワは、実は私がフランスで一番好きなお菓子。ガレット好きは多いし、皆で集まって、誰が王様になるかと楽しいので、今ではクリスマスから1月いっぱい売られ、普通なら10人分などという大きなサイズもあります。大きいものは2つのフェーブが入っていていることも! しかしCovidの今年はパーティができず、1-2人サイズがよく売れたそうです。寂しいですね・・・

Lionel Bonnamy, Fabrique aux gourmandises, 82 rue de l’amiral Mouchez 14e

パリで一番おいしいクロワッサン/ ラ・ファブリック・オ・グルマンディース :

1/21/2021

フォト・サンジェルマン

Photo-Saint-Germain

Covidが猛威をふるい続けて1年が経ちました。精神的なストレスが溜まっている人も多いようですね。そんな時には散歩が一番・・というか、散歩やジョギングくらいしか、外でできる事がない状況・・・昨日はラッキーにも、ボザール周辺のギャラリーが、フォト・サンジェルマンという写真の展示をやっているのに遭遇しました。27店が各々テーマの違う写真を展示し、マップの入ったパンフレットを辿りながら鑑賞するもの。セーヌ通りの数店を見た中で、下の2店が印象的でした。

John Craven(1912-1981)の "La beauté terrible" 怖ろしい美と題された 黒白シリーズは、1950年代の石油コンビナートを主題としたもの。彼は工業特に石油産業を≪世界で一番素晴らしく、最も怖ろしいもの≫と呼んでいたそうです。コンビナートをカテドラルと比較し、そのディーテールをアブストラクション絵画のように捉え、美しさを最大に引き出します。しかしその中で人間達はちっぽけで、厳重な装備を付けて近づくしかない、感嘆と嫌悪・・・
       
                  by Galerie Berthet Aittouarès

次は古い写真の専門店ギャラリー・ロジェ=ヴィオレ。ウインドーに飾られた若いロミー・シュナイダーの写真が一際目を引きます。

いつもウインドーは素敵な写真が飾られて気になるこのお店は、1938年からフォト・エージェントとしてフランスの写真の歴史を担い、膨大なストック持つ写真界の名物ショップです。フォト・サンジェルマン中は、特に人気のあるスターや作家の写真をメインに、店内も、いつもより沢山の作品を展示していました。下はゲンズブール。


写真ですから美術品に比べれば手の届く価格。価格表を覗いたところ、展示されていたスターたちの写真は1枚150~200€くらい。ちょっと気の利いたプレゼントや、インテリアのアクセントに素敵です。
壁には、音楽、美術、スポーツ、映画、歴史、政治、科学、技術、戦争、ナチス占領時代、交通、フランスの都市、村など細かなカテゴリー別に丁寧にラベルを張ったストックの棚がぎっしり。

フォト・サンジェルマンは土曜日で終わりますが、Berthet Aittouarèsギャラリーのジョン・クラヴェンの写真展は、2月7日までやっています。

Galerie Berthet Aittouarès 14-2 Rue de Seine 6e 
Galerie Roger-Viollet   6 Rue de Seine 6e

1/14/2021

ル・コルビュジエの船アジールフロッタン ≪ルイーズ-カトリーヌ≫

 

Asile flottant, Louise-Catherine de Le Corbusier au quai de la Seine

2021年はル・コルビュジエ建築の話題で始めましょう。でも普通の建物ではありません。オーステルリッツ駅のセーヌ河岸に浮かぶペニッシュ、ルイーズ-カトリーヌ号の数奇な運命のお話です。
このペニッシュは、1915年にルーアン、パリ間の石炭の運搬用に作られました。しかし石炭を運んだのは数年だけ。第一次世界大戦が勃発し、そのままずっと放置されていたものを、救世軍が1929年に買い取り、1930年に貧しい人々の救済施設として改造されました。アジール・フロッタンとは水に浮かぶ避難所の意味。その改造を担当したのがル・コルビュジエです。以前このブログで取り上げた13区の救世軍センター、シテデレフュージュの建設も、この当時彼が担当する事に決まっていました。


全長70m、700トンと大きなもので、中はベッド数160のドーミトリー、食堂、厨房、バスルーム、職員の住居が組み込まれ、屋根の上はセーヌを見晴らすテラスと、船というよりは横長の立派な建物です。上写真、立ち入り禁止の柵で隠れてよく見えませんが、左右とも写真からはみ出す大きさです。
冬はホームレスの住居に、春夏は子供の林間学校としても使われたそうです。

                                                       by Fondation Le Cordbusier

ベッドの並ぶドーミトリー、船の狭い空間がコンパクトに100%利用され、これがル・コルビュジエの有名な、人体の寸法を基本とした建築のメジャー、モデュロールの原点になったのだそうです。

船なのですから、パリの河岸を時々移動して活動していました。しかし老朽化が激しく危険になり、1994年に恒久的にクローズ。2008年に文化遺産に指定。ル・コルビュジエが手掛けたという事と、救済施設としての活躍などで歴史的価値は大きく、修復の試みが色々あったようですが、恐らく資金面でモタモタしていたところ、2018年のセーヌの増水で、なんと沈没してしまいました。2020年に日本の建築設計学会というところが沈没したまま買い取り、昨秋めでたくセーヌの底から引き揚げられた次第・・・


現在上写真の状態で、修復はまだまだこれから。2022年にアートセンターのような形で甦るようです。
中の円柱はル・コルビュジエのトレードマークと言えるような鮮やかなブルーに塗られている写真を見ました。修復が成功すればすてきなアートセンターになりそうです、パリの名所がまた増えますね。

関連ブログ : ルコルビュジエの救世軍センター/ シテデュレフュージュ