2/18/2019

ロイヤルコペンハーゲンのイヤーマグカップ


Royal Copenhagen annuel mug

以前デンマークのフリーマーケットで買った小ぶりのマグカップ。白というよりグレイに近い、日常使い風の厚手でしっかりした陶器のベースに、おやっと思うくらい斬新でモダンなモチーフ、渋いダークグリーンとダークブルーに、オレンジのアクセントが素晴らしい、小さいアブストラクト絵画。ファイアンス焼きなのでモチーフのカラーがややぼってりと表面に立体的なのも油絵のよう。1982と書いてあって、いかにも80年代のデザインがとても気に入っていました。底には会社名ロイヤルコペンハーゲンと、何やら手描きの印もあるけれど、ブランドに惹かれて買ったのではないため、その事はすっかり忘れていました。


ところが偶然にもある日の蚤の市で、1984と書かれた同じタイプのマグカップを見つけたのです。明らかに私の持っている物と同じシリーズのカップで、こちらも素敵なモチーフ。早速 "ブランド名+年代付のマグ" でしらべたら、ロイヤルコペンハーゲン・イヤーマグカップというシリーズがある事を発見。1967年に始まり、毎年違うデザイナーに絵を依頼して作られるコレクションアイテムで、デンマークではビジネスのプレゼント用や、イヴェントや記念日のギフトとして人気があるようです。ヨ―ロッパでも日本でも、コレクターが沢山いるのですね。
因みに1982年のデザイナーはInge-Lise Koefoed。なんでも80年代までは全部手描きだそうで、確かにどちらのカップも微妙に違う絵柄でした。

2/07/2019

バンジャマン・ミルピエ/ L.A. ダンス・プロジェクト


Benjamin Millepied/ L.A.Danse Poject au TCE

ダンスはめったに見ない(というかそこまで見ている時間がない)、けれど一度は見たいものだと思っていた、かの有名なバンジャマン・ミルピエのL.A.Danse Pojectの公演に行ってきました。世界で注目される人というのは、やっぱり何かすごいマグネチックな物を持っているのですね、色々考えさせられました。
プログラムは
1)Homeward ヴァイオリン2、アルト1、チェロ1の電子音楽ライブ
2)Orpheus Highway  スティーブ・リーチの録音と、上記4人の電子音楽ライブ
3)Bach Studies part 2 バッハのオルガン録音とディヴィッド・ラングを電子ヴァイオリン1名でライブ
By L.A.Danse Poject

私はビデオを使う演出がキライです。安易に奇をてらい演出の貧しさをカバーするようで、オペラに関してはビデオ使いでいいと思った演出は記憶にありません。それで最初のHomewardが、チカチカと眩しい大画面のヴィデオの早送りで始まった時は一瞬ゾッとさせられましたが、ダンサーが登場すると画面は静止。ホッ! そしてこのダンサーが、ちょっぴり太めのかわいい人・・ダンサーなので普通の意味の太めではないけれど、クラッシックバレーのあの針金のように痩せたステレオタイプではないのです。で、このびっくりの2点は、結果的にとても気に入りました。ビデオは白黒の、6-70年代のピエール・スーラージュを、直線でなく幻覚的な曲線で描いたようなアブストラクト絵画が、とてもゆっくりと変わり、ダンサーのコスチュームも同じ黒白パターンのミニドレス。視覚に美しく、またこの最初のダンサーが素晴らし-くて、激しいダンスなのに、丸みのある体と相まってダイナミック且つセクシーでした。

Orpheus Highway はガラッと変わり、ジーンズやTシャツ(写真上)に、バックのビデオは荒れた砂漠、倉庫、工場、ハイウエー。同じダンサーたちのダンスが、同時又はズレて画面と舞台に展開され、オルフェウスとエウリディーチェの神話がウエストサイドストーリーなどの映画のイメージと交錯。私の好みではなかったけれど、ミルピエが全く新しいバレーに挑戦しているのがよくわかりますし、ダンサーの質の高さが光ります。



ラストBach Studiesは文句なく最高。荘重なパイプオルガンの録音と、ソロの電子ヴァイオリンで演奏される近代音楽を交互に、最後はバッハのパッサカリアで最高に盛り上がりフィナーレ。舞台は写真上のように装飾無しで、ライトやレールがむき出し。そして特に素晴らしかったのはアレッサンドロ・サルトリ・コレクションのブラック&ホワイトのコスチューム。男性のスカートがバッハと素晴らしくマッチして、特に写真下のオルフェウス役だったダンサーの、長い腕やスカートを翻して舞う動きは、白いコスチュームで強調され目を見張る美しさでした。

彼らが激しく動くと、長い金髪、チュニックやスカートのスリットが舞い上がり、全部がミックスすると白い嵐のように美しい。
ミルピエのダンスは新しく、しかし同時にクラッシックを否定していません。それが大きな魅力ではないかしら。彼自身クラッシックバレーのエトワールでしたし、どのダンサーもしっかりとクラッシックを勉強し習得した人ばかりと見受けました。それはまるでピカソが、その気になれば素晴らしいクラッシックな具象を描けるのに共通しているかもしれません。