4/30/2014

カテドラルの町モー/ ゴールデンウイーク散歩コース2


Escapade/ Meaux

Meaux モーというとまず食いしん坊のパリジャンは、モーのブリーチーズle brie de Meauxを考えてしまいまうくらい、トロッと熟成し、ちょっと臭みがあるけれど味は円やかなこのチーズは、とてもポピュラーなのですが、モーはカテドラルでも有名な街です。パリの東駅から電車で40分ほどの距離で、駅を出ると目の前にマルヌ川、左手にカテドラルの塔と旧市街が見えます。お目当ての旧市街は、カテドラル・サンテチエンヌの周りにコンパクトにまとまっているので、半日旅行も可能 
モ―はその昔ブリ―地方の主都として、マルヌ川や運河を通って沢山の商人が集まり繁栄しました。マルヌ川がヘアピンのように湾曲した内側に昔の市場跡があり、今でも市が立っています。


12~18世紀の絵画彫刻の展示されるボスエ美術館Musée Bossuetはカテドラルのすぐ横。左のアーチをくぐると、回廊に囲まれた静かな美しい小庭園が・・

 
マルヌ川を船でやって来るのは、町に富をもたらす商人だけではありませんでした。モ―の歴史は、バイキングの度々の襲来、そして100年戦争中はイギリス軍など、外敵に対して大籠城戦の繰り返しでした。旧市街の北側は今でも高い城壁に囲まれ、当時を偲ぶことができます。
東側の城門の外側には朝市が立っていました。因みに日曜日は朝市以外は殆どお店が閉まっているので要注意。

ブリ―チーズはカマンベールと同じような丸いパッケージ入りの、直径30センチ以上の大型で、普通は切り売りを買います。おみやげには丸ごと買うのも楽しいでしょう。

私が行ったのは3月末の快晴の日で、モクレンが満開でした。これは街の東側の城壁跡をめぐる道路で、珍しい両側がモクレン並木!

暖かい季節にいはマルヌ川と周囲に沢山ある運河を巡るボート・ツアーがあります。

4/28/2014

マレにオープンしたユニクロの新ショップ

 

Nouvelle boutique Uniqlo à L'Aterier des Cendres dans le Marais

ユニクロが新ブティックをマレの中心フラン・ブルジョワ通りにオープンしました。元工場を改造した物件で、世界中のユニクロのブティックの中でも異色なのではないでしょうか。道路に面したファサードは普通のオスマン風の小型の建物なのですが、入口を入った中庭にある、大きな建物がお店のメインのスペース。正面階段の後ろには、工場の名残のレンガの大煙突35m、煙突の反対側には昔のままのアンティーク時計、ガラスと鉄枠の天窓など、19世紀半ばの工場の特徴をできるだけ残し、今トレンドの内装です。
    改装前の工場

宝飾品、時計、銀器等の生産の際にできた“廃棄物”には沢山の金銀プラチナが混ざっているので、本当のゴミと貴金属を分けるのがこの工場の仕事でした。あまり知られていない職業ですが、50㎏の廃棄物から250gの金が抽出できれば商売は成り立ち、時には50㎏から8㎏の金が見つかった事もあったそうです。元々この作業は専門家がいて外注されていたものを、それでは高くつくので、約500軒の宝飾金銀細工師が資金を出し合い、1867年に自分達のAtelier des Cendresアトリエ・デ・サンドル(灰の工場)を創立したのがこのアトリエです。それから2002年にパリ郊外に移転するまで、同じ工程でここで作業が行われていました。
ちょっと面白いのは、扱うものが貴金属なので、50~500㎏の袋入りで廃棄物が運び込まれると、その持ち主は精製作業の工程をしっかり監視し、1日で終わらない場合は、夜は袋を封印し、翌朝はこの持ち主以外は袋を開けることができなかったとか・・盗難防止ですね。コダックの銀板写真の時代には、100名の従業員でフル回転だったそうです。

廃棄物はまず地下の炉で焼かれ、その灰が臼で砕かれて粉になり、それを洗い、ふるいにかけた後化学処置をして貴金属を取りだしました。改装してもそれらの道具は捨てないという条件だったのか、それともユニクロの自主的な配慮か、地下にはガラス張りで博物館のように、元のままの炉や臼が、作業工程のビデオやアトリエの模型と一緒に展示されています。よくブティックの価値を坪効率(1㎡で一定期間にどれだけ収益を上げるか)で判断しますが、1階より狭い地下の、約半分のスペースをこの展示に使っているので、商売を犠牲にしての展示。経営者側は少しでも多くの商品で埋めたいところでしょうが、坪効率より、建物のプレスティージを強調する方針のようです。確かにマレに量販店を開くこと自体がプレスティージで、今のところ外にはH&MのハイエンドなラインCOSだけしかありません。開店直後の土曜日でお客様も多く込み合っていましたが、展示の前で足を止める人も多く、建物のルーツを残しておくのは好い事だね、などと話しているのを耳にしました。

道路に面したファサードには、貴金属宝飾銀細工師の会社、1859年創立、金銀の精錬、灰の処理、実験と分析、と書いてあります。
オープニングに合わせて、昨日からイネス・ド・ラ・フレサンジュがデザインしたカプセル・コレクションが発売中。赤いアクセントのかわいいスポーティーでシンプルなジャケットとパンツ、ストレートでフェミニンなサマー・ドレス、ニットなどで、良く売れていました。

Uniqqlo  39 rue des Francs-Bourgeois 4e 
http://www.uniqlo.com/fr/corp/pressrelease/2014/04/uniqlo_le_marais_grande_ouvert.html

4/25/2014

セーヌ河岸/ ゴールデンウイーク散歩コース1


Promenade au bord de la Seine, rive gauche

パリは今2週間のイースター休暇の後半で、5月初旬は祭日も2日あるため、市内の車も少なめで普段よりゆったりした気分が漂っています。マロニエの並木は七分咲き、郊外ではリラ、藤、菜の花が咲き美しい季節なので、ゴールデンウイーク特集として、散歩コースや小トリップについていくつかお話しすることにします。
今日はまずはパリのプロムナードから。

セーヌ河岸には元からの散歩道もあるのですが、両岸とも大半は今まで車専用の高速道路が占めていました。それがまず右岸が日曜日とバカンスの8月に車禁止になり、パリ・プラージュが生れ、そして昨年はついに左岸も歩行者専用になり、こちらは日曜日などの一定期間だけでなく、恒久的に車が入れなくなりました。セーヌ河と同じ高さで気持ち良く、しかもメインの観光ポイントを歩いて回れ、仮設のカフェやレストランもあり、お天気のよい週末はかなりの人出なので、自転車やローラースケートでスピードを出したい人は、早朝に行きましょう。
  
ストリート・アーティスト、サンブルによる廃物を使ったインスタレーション。このように色々な展示も期間限定で所々に見られます。
   

ジョギングだけでなく、鉄棒などのトレーニングもできるし、水飲み場も完備。パリ市の貸し自転車ベリブ置場もあります。左下の木材はベンチ、右下はダイヤモンド・ゲームやチェスのできるテーブル。今までこんな素晴らしい場所を車に占領されていたと思うと、本当に素敵な都市計画だと思いませんか。 


オルセー美術館前の大階段は、セーヌとルーブルが見渡せ、サンドイッチを食べる人、日光浴する人など、階段というよりは広場のよう。

まだ左岸はオルセーからトロカデロの手前の2.3キロだけですが、多分将来は両岸とも全部歩行者天国になるのではないでしょうか、パリ市の車追い出し作戦が着々と進行中です。

4/22/2014

ラ・トレゾルリ、今話題のインテイリア雑貨コンセプト・ストアー


La Trésorerie, le nouveau concept store de l’art de vivre

アレンス・マーケットや、オ・コントワール・ドブリスのあるシャトー・ド通りに、また注目のショップ、ラ・トレゾルリがオープンしました。ラ・トレゾルリはインテリア、キッチン用品、ステーショナリーなどを一緒に扱う、ライフスタイル提案型の新しいコンセプト・ショップです。ネリー・ロディーのトレンド・オフィスやマニュエル・カノバス、ロッシュ・ボボワ等とのコラボを経てトレンド・セッターとして定評のあるデザイナー、エリザベス・ルリッシュによる内装は、シンプルですがとてもおしゃれ。元税務局(ラ・トレゾルリ)だった建物を改装したので、窓など外観はしっかりしたフェンスに囲まれ面白いアクセントに。高い天井と、昔のままの鉄枠の天窓から外光が入る明るい店内です。
           
商品も内装を反映して、昔と現代のデザインがミックス。美しい昔ながらのリネンの布巾(torchonトルション)や組み紐のメーター売り、リサイクルのウールで英国の伝統織物工場が作った膝かけなど、全て何かしらヒストリーのある商品、素材のオリジンが明確でリサイクルも可能な商品、90%がヨーロッパ生産の最新のデザイナー物(北欧テイストが主流)など、とても魅力的な品揃え。その分価格が高いのが玉にキズ・・・お揃いの黄色いエプロンをかけ、オープンしたばかりなので初々しい感じのする販売員達はとても親切で、色々親身に相談に乗ってくれます。
器としてのお店は、天井の高い広い最高におしゃれなスペースなので、欲を言えば例えばメルシーのような、個性的なイベントやインスタレーションがあればよいのに・・今後に期待しましょう。素敵なカフェもあるのですが、まだなんとなくトライする気にならなかったので、次の機会に・・
税務局の名残の鉄柵の付いたファサードは、このショップのトレード・マークになりそう。RFの印は、これもお役所の名残で、レパブリック・フランセーズの略。
La Trésorerie  11 rue du Château d’eau 10e   http://latresorerie.fr/

4/19/2014

デンマークのデザイナー、カイ・ボイスンのモンキー

                  
                               

Le design en jeu/ L'exposition Kay Bojesen

カイ・ボイスンKay Bojesen1885-1958年)は、デンマークの20世紀を代表するデザイナーの1人です。初めは銀細工士として、当時主流だったアール・ヌーボー風の作品から出発して成功し、後に機能美を重視しかつ繊細な新しいデザインに転向し、30年代には木材を使ったボールや食器、特に玩具で世界的な名声を得ました。今シャンゼリゼのメゾン・ド・デンマークでは、子供の家具やおもちゃをメインに、彼が1938年にデザインし、1951年のミラノ・トリエンナーレでグラン・プリを獲得したので“グラン・プリ”と名付けられたステンレスのカトラリー・セット、銀のカップやアクセサリー数点などめずらしい彼の作品が展示中で、アンティーク・トイの収集家はもとより、北欧デザインのファンには必見です
彼のデザインした動物達は円やかで単純化されフォルム、ユーモアがあり、頭や足、ゾウなら鼻などが動くようになっており、その美しさには大人でも夢中になりそう。人形や兵隊達はとても愛嬌があり、見ていると思わず顔が綻んでしまいます。フィン・ユールFinn Juhl、オーレ・ヴァンシャー Ole Wanscherなど、当時の優秀なデザイナー、建築家との交流があり、コラボも沢山していたそうです。
   
代表作のモンキー、ゾウ、ウサギなど写真上は子供が乗れる大きさ。同じデザインで、ほんの小さい物までサイズは多数。
あまりに素晴らしいコレクションなので、どこから持って来たのか聞いたところ、殆ど全部が1人のコレクショナーの個人蔵だそうです。一番有名な“モンキー”は、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館に展示され、“グラン・プリ”はボイスンの孫娘によって生産が復活され、デンマークの国家的カトラリーとして、現在世界中のデンマーク大使館で使われているとのこと。
この展覧会は、この後御本家コペンハーゲンの美術館で展示されるとか・・
Kay Bojesen “Le Design en jeu“   http://www.maisondudanemark.dk/english.aspx
Maison du Danemark 142, avenue des Champs-Élysées 8e  ボイスンのおもちゃの即売もあり、5月18日まで

4/16/2014

パティスリー・ヴィエノワーズ/ ブランシェ・カフェvs昔のカフェ


Patisserie Viennoise/ café branché vs café ancien

カフェ・パンソンに続いて、今度は昔のままで変わっていないカフェのお話です。
サン・ミッシェルからオデオンに抜ける小路にひっそりとあるパティスリー・ヴィエノワーズは、1928年創立で、古き良きパリに憧れる人が絶対満足できるカフェ。ヴォルテールが常連だった(プロコープ)などというような宣伝できる歴史的有名人が来なかったのか、あまりに小さいので改装できなかったのか、有名になりすぎたり現代風に改築されずに奇跡的に昔のまま、今でも皆に愛されいつでも満員なお店です。


テーブルが窓際から4列、横に4人座ればぎっしりで、通路は1人通るのがやっとの店内。モザイクのセメント・タイルの床とこの型の木製の椅子は、レトロなトレンドとして最近見直されているスタイル。トップの写真は逆光で暗く、本当はこれほど暗くありませんが・・オーセンティックと言うべきか古臭いと言うべきか? 当然ながらブランシェなカフェ・パンソンとは客層が全く違い、一方はボボやヒップスターが集まり、もう一方はソルボンヌや医大が近いせいか、教師風な人や学生など地味めなお客様がメインです。簡素な食器、失礼ながらサエないオバサンがサービスし、お菓子も大ぶりで古風な“ウイーン風”(ヴィエノワーズ)で、大好きと言う人と、あまり・・と言う人の2派あり。



ブランシェ・カフェvs古き良き昔のカフェと、全く異なるスタイルがあるのがパリの楽しいところなのだと思いますがいかがでしょう? 古いカフェは絶滅の危機に瀕しているので、今後とも2つが共存してゆけるよう願いたいものです。

Patisserie Visennoise  8 rue de l'Ecole de Médecine 6e もちろんサイトなどありません!

4/14/2014

カフェ・パンソン2/ ブランシェ・カフェvs昔のカフェ


Café Pinson 2/café branché vs café ancien

6日のヒップスターについてのブログで、発展する現代のパリと昔のままのパリのお話しが出たので、ここで両極端の2つのカフェについて書いてみます。まず最初はカフェ・パンソン2今パリで一番注目されている“デザインな”カフェの1つで、現代パリのトレンドを象徴するお店です。

縫製工場や倉庫、卸商の地区で、移民が多く住んでいた下町のフォーブール・ポワソニエール通りは、ヒップスターが集まるようになり、徐々におしゃれなカフェ、ブティック、デザイン・オフィスなどがオープンして、最近ではパリで最もブランシェな地区の1つに変身しましたが、そこに北マレで大成功したカフェ・パンソンの2号店、カフェ・パンソン2がオープンしてとても人気です。フィッシュ・クラブやホテル・パラディを手掛けた今人気絶頂のデザイナー、ドロテ・メリクソンが、インテリアを2店舗とも担当。グレー、グリーンのカマリユーの無地やジオメトリー・プリントの布が貼られた椅子、クッションの沢山ある長椅子、タイルの床、カウンターにはPinsonのネオンなど、50年代のテイストがベースになっているし、一部にブルックリン風レンガの壁もあるけれど、全部フュージョンしたフレンチ50’とも言える上品さ。コージーで座り心地の良い長椅子でした。

カフェと名前が付いていてもここは今流行りのカフェ・レストランで、ブランチや昼食のメニューはオーガニックのベジタリアン。そのため好きな人は夢中、ダメな人はダメなので、後者の場合はティータイムに行きましょう。

Café Pinson      6 rue du Forez 3e
Café Pinson2   58 rue du Faubourg Poissonnière 10e  http://www.cafepinson.fr/home/

次には、昔ながらのカフェNo.1のお話しをしましょう。

4/13/2014

ヴィンテージ・ショップ、アルト

 

Mobilier et décoration vintage Allt

北欧風の名前、アルトと発音するのでしょうか、ヴィンテージ家具と雑貨のショップに素敵な50年代風の肘掛椅子があったので入って見ました。北欧の人らしいお店の人が説明してくれたところによると、このショップはスカンジナビアをメインに、その外の国のモデルも含めてミッドセンチュリーを専門に扱っているそうです。照明や花瓶、カップなどの雑貨もかわいいので、小さいお店ながら要注目です。

肘掛椅子Hans Wegnerハンス・ウェグナーGE290

Allt  21 rue Lebon, 197 bd.Pereire 17e