4/28/2017

パリでフィンランドのkotiに泊まりましょう


KOTI- have a sleepover in Finland, wake up in Paris 

Kotiとはフィンランド語で ″家″ の意味で、発音はコチとコティの中間位。そのコチがフィンランド協会で展示中です。以前このブログで書いたフィンランド協会の大カフェのスペースに、パイン材でフィンランド特有のバンガローを建て、夜はベッド&ブレックファーストに、午後は一般に公開して、フィンランドの生活様式を知ってもらおうという企画 ″フィンランドのKotiで眠りパリで目覚めましょう″。
 
会場はかすかに木材の香りが漂ったシーンと静かなスペース。木々に囲まれている様子が簡単に想像できます。シングル、ダブル、ファミリー用の6棟で、バスルームは共有、統一された内装はミニマリズムの極致。けれど柔らかいカラーのトーンと上質でふっくりした手触りの素材が使われているせいか、暖かくコージーな雰囲気。全てフィンランドのアーティスト達のデザイン、リネン類はフランスで栽培された麻を使ってフィンランドで生産されているそうです。宿泊者もビジターもみな靴を脱いで入るのに好感が持てました。
朝食は中央のターブル・ドットで、ピンク、グレイのスモーキーなパステルトーンの食器で頂きます。
 

インタリア、食器等は入り口のブティックで買うことができます。
Institut Finlandais   KOTI- have a sleepover in Finland, wake up in Paris  5月7日まで

4/23/2017

″オペラ″ の舞台裏を探るドキュメンタリー映画 

" L'Opéra"  le filme de Jean-Stéphane Bron

ドキュメンタリー映画 ″オペラ″ が上映中です。どちらかというと政治的なドキュメンタリー専門のスイスの監督ジャンセバスチャン・ブロンの作で、オペラ座の舞台裏を垣間見ることのできる興味深いフィルムです。
演技が終わった後舞台裏で精魂尽きて倒れ込むダンサーや、自分の歌がダメだと落ち込む若い歌手を映しながらも根性ものストーリーにならず、また日本人好みの、みんなで協力して一つのオペラを作り上げるのだ! とかの安易な美談にもならないのは悪くない・・・けど、淡々と何のコメントも無しに色々なシーンがバラバラに出てくることになり、お話としては盛り上がりに欠けていました。そのかわり掃除人や衣装の洗濯係に至るまで、各人がオペラを担う重要な役割を持っていることが感じられます。
オペラの総ディレクター、ステファン・リスネ+そのスタッフが沢山登場します(too much!)。ゼネスト中にその日のプログラムを何とか上演しようとする場面、公演間近に病気で歌えないという歌手からの電話を受け代役を探す場面、バンジャマン・ミルピエの辞職という大嵐の場面・・華やかなオペラの陰に隠れて見えない幾多の障害を映しているのですが、長すぎ、政治ドキュメンタリー臭あり。私としては、直接舞台裏の指揮者や出演者に密接した場面が多い方がよかった。
しかしやっぱり音楽好きには面白い映画。シェーンベルクのオペラに本物の生きた雄牛を登場させる演出があり、その雄牛の ″調教″ は、彼が登場する場面の音楽を毎日繰り返して聞かせることから始まるのです。急に聞いて驚いて暴れないように! フンなどが落ちている柵の中、芸術からは程遠いヌボーとした顔の雄牛の横で、スピーカーからシェーンベルクの曲が流れてくるのは本当に可笑しい。またヘッドフォンを付けたオペラの進行係とスタッフが、舞台裏で舞台に合わせてアリアを口ずさむシーンは、声の良さとかテクニックは別にして、メロディーは二人ともなかなかのもの。素人でも、毎日聞いていると難しいアリアも鼻歌で歌えるようになるのか??羨ましい。
日本でも近く上映が予定されているそうです。
ちょっと古いお話しですが、 ″椿姫ができるまで″ は日本でも2-3年前に上映されたドキュメンタリー。歌い手の身のこなしから歌までの表現の練習から、演出家、指揮者、コーラス、オーケストラが一体となって、オペラが出来上がってゆく過程が音楽一杯でたっぷり楽しめるので、見てない人にはお勧めです。下はその本番、2011年エックスアンプロヴァンス音楽祭の椿姫のヴィデオでナタリー・デセイ主演。練習でやったことが、そのまま舞台で進行してゆく様子は最高です。
こちらはバレーファンにお勧めする ″オペラ座に挑んだ男″ のタイトルで、今はオペラを去ってしまったバンジャマン・ミルピエの指導風景を撮ったドキュメンタリー。日本では昨年末でしたか公開されましたね。日本語のタイトルはスバリ過ぎて生々しいけれど、原題は relèveルレーヴ(又はロレーヴ)、交代、引継ぎ、継承のような意味です。バンジャマン・ミルピエの才能が光り、ダンサー達の作り出す動きの美しさはもちろんのこと、革新的で柔軟性のある彼の考えと、300年以上続く伝統の間に摩擦が起こってしまう様子が、はからずもドキュメンタリーとして映し出されています。

4/15/2017

デンマークのスケーエン派絵画 ある後姿/ 東京No2



Le portrait d'une femme vue de dos/ L'école de Skagen à Tokyo No.2

さて、ルコルビュジエがデザインした上野の国立西洋美術館のブログの続きで、今そこで開催中のスケーエン派の展覧会のお話です。
常設展の一角がこの展覧会のコーナーになっていて、入ったとたんに衝撃を受けました。ああ、また同じ後姿! 昨秋に ″ある後姿″ というタイトルで、デンマークのオーフス美術館で見た女性の後姿の絵の事を書きましたが(2016年10月8日のブログ参照)、少し暗いトーンだけれど、ドア越しに見た同じような後姿(写真下)、家庭の風景・・オーフスでたった一枚見た絵の女性画家アンナ・アンカーの作品に、東京でまた再会できたのです。(後記: 早合点でした。こちらは同じくデンマークの画家ヴィルヘルム・ハンマースホイの作品。アンナの作品の明るさと色がありません)
                                                                                byヴィルヘルム・ハンマースホイ
                                                                            by アンナ・アンカー
デンマークの北の果て、ユトランド半島の突端にある漁師の町に、1870年頃に、画家達を中心に作家や音楽家も集まった一種の芸術家村ができ、スケーエン派と呼ばれました。そういえばどこかで聞いたことがある、くらいの知識しかなかったのですが、家庭の何でもないひとコマを描いた優しい作品や、海と戦う漁師の厳しい表情をしかし暖かい目で見つめた作品など、草花や潮の香りのする清々しい絵ばかり。このグループの中心だったらしいのが、このアンナと夫のミカエル・アンカーに、マリーとペーターセヴェリン・クロイヤー(彼は当時デンマークの最高の画家として売れっ子だったらしい)のようです。でもアンナだけがスケーエン生まれ。アンナの絵は特に後姿、次いで斜め横顔などが多く、他の画家も後姿を描いているのが目に付きました。今春必見の展覧会です。

スケーエン:デンマークの芸術家村、国立西洋美術館 5月28日まで

4/07/2017

ルコルビュジエの国立西洋美術館/ 東京No1


The National Museum of Western Art de Le Corbusier/ Tokyo No1

逆戻りして2月に東京に里帰りした時のお話しを・・
ルコルビュジエが デザインした上野の西洋美術館が、去年ユネスコの世界遺産に指定されましたね。松方幸次郎がヨーロッパで収集した松方コレクションが、第二次世界大戦中にフランス政府に差し押さえられていたのだそうですが、戦後それが返還され、その作品を展示する器として国立西洋美術館が建てられました。当時の建築の最先端のルコルビュジエにデザインが依頼され、彼の弟子の岩倉順三、前川國男、吉阪隆正が施行し、1959年に完成した、日本では唯一つのルコルビュジエのデザインの建築。
西洋美術館は以前から私の大好きな美術館で、世界遺産に指定されたので再度見直したかったのと、デンマークのスケ―エン派の特別展示もお目当てでした。
 
 
 
 
ロビーにはルコルビュジエのデザインしたソファー

こじんまりした展示でしたが、″スケーエン、デンマークの芸術家村″ 展は、期待通りの美しく爽やかな油絵やデッサンが素晴らしかったです。これについては次のブログに書くことにします。