4/06/2014

ヒップスターはパリをダメにするか?


                                                                                                                    by French Trotters   

Les hipsters gâchent-ils Paris?

パリジャンはエゴイストで傲慢、カフェのギャルソンは不親切、メトロはいつもストばかり・・アメリカやイギリスではそんなパリ・バッシングが、皮肉とユーモアたっぷりな本になって沢山出版されベストセラーになり、パリジャンもそれを面白がって読んだり・・・なにかと話題になるパリですが、なんでもニューヨーク・タイムズ(以後NYT)が“ヒップスターがどのようにパリをダメにしたか”という記事を出したそうで、それについてのエクスプレス誌の記事“ヒップスターはパリをダメにするか?”が面白かったので、以下に勝手に私の注釈を加えた要約を紹介します。

【まずはヒップスターとは何か?ボボ(ブルジョワ・ボヘミアン)の新種。主に18-35才の若者で、クリエーティブな職業の人が多く、ロンドンのショーディッチやニューヨークのブルックリンのような、世界の大都市の中で、敢えて下町などポピュラーな場所を好み、オーガニックで国内産の食品の信奉者。ヴィンテージ好き。彼らに欠かせないアクセサリーは帽子(特に毛糸の)、手入れの行き届いたあご髭や口ひげ、メガネ、自転車、タトゥー。(ある雑誌に、この中で2つ持っていたらあなたはヒップスターだ、と書いてありました)
そのヒップスターがパリにはびこり、ピガールからは怪しげなホステスのいるバーが姿を消し、その代わりにカクテル・ラウンジやホットドックやタコスのレストランになり、ソー・ホーならぬソー・ピー(South Pigalle)なんて呼び名ができたりするとは、パリはもうすっかりダメになってしまった!とNYTは嘆いている。確かにせっかくアメリカからパリに来て、ブルックリンと同じようなバージェルやバーガーに囲まれたら、パリジャンがニューヨークに行って、それこそ沢山あるフレンチ・レストランやクレープ屋を見た時のようにがっかりするだろう。
パリジャンにはニューヨークについての憧れ的固定観念があり、それはブルックリンに代表されるアヴァンギャルドなコンセプトショップ、倉庫のアトリエ、クリエーティブなレストランなど、若々しいエネルギッシュな都会のユートピアだ。1920年まではパリが世界のお手本だったが、それ以後はニューヨークがダイナミックでコスモポリタンな大都市のモデルとなり、それをマネしたいと思うのは、活動し続ける世界の第1級都市としてのパリのレベルを保つことであり、ポジティブ行動ではないかまたヒップスター達が個性的な個人経営のショップを作るのは、最近どこにでもあるスターバックスやH&Mなど世界規模のブランドが、世界のどの都市も同じように画一化しつつある事への抵抗でもある。
もしかするとこのNYTの作者は、ユトリロの絵や昔の映画のパリを期待して、現実のパリにがっかりする旅行者と同じノスタルジーの病にかかっているのではないだろうか?ヒップスターはパリをダメにしていないが、発展を嫌うノスタルジー病はパリをダメにするかもしれない。ベルビル、メニルモンタン、バルベスなどがじりじりとヒップスター化しているが、今まで通りの下町が消えてしまうことはないだろう。パリ市の環状線の外側の、サン・トゥアン、モントルイユ、パンタン等の郊外の街も、アート・センターやカフェが増えている。だれかこの現代の現実のパリを小説や映画にして宣伝ほしい。郊外線や市電がどんどんパリ市の外に向かって広がっている。今までの雑然とした工場と移民の街だった所に、ヒップスター達がギャラリーやおしゃれなカフェを開いて、郊外の活性化に貢献してくれることを期待しよう。】

注:ここで言うバーガーやサンドイッチは、パンは自家製か有名ビオ・ベーカリーのもを使い、これもビオでフランス製の旬の野菜と最高のオイル、ヴィネガーで作ったサラダなどが付いたもので、ファーストフードのバーガーとは全く違います。ヴェール・ヴォレオ・コントワール・ド・ブリスなどご参考まで。