12/04/2013

ル・コルビュジエのサヴォア邸/  ポワシー


Escapade à Poissy /Villa Savoye

パリの郊外ポワシーにある、ル・コルビュジエのヴィラ・サヴォワ(サヴォワ邸)に行ってきました。サヴォワ家の別荘として建てられた(192831年にかけて)この建物は、ル・コルビュジエが提唱した近代建築のセオリーを忠実に踏まえ、またサヴォワ夫人からは特に最新式の水回りの設備を依頼されたこともあり、当時のモダンなキッチンを見ることができます。
ヴィラの門から茂った木立を通りぬけて、先ず正面に見えるのはファサードでなく実は裏側で写真一番上)、建物をぐるっと回った反対側に正面玄関があります(写真2番め)。ル・コルビュジエの」建築といえば即ピロティ、円柱が目を引きます。家族の主な生活の場はピロティ(支柱)に支えられた湿気の少ない2階に、1階は玄関ホール、ガレージ、運転手の部屋、庭師の仕事部屋など。またこれも彼のセオリー通り、横長の窓が建物の3辺を囲み、残りの1辺はテラスの壁ですが、窓と同じサイズで空間が切ってあります。フランスの伝統的な建物と全く対照的に、壁や窓枠に何の飾りもないので、外観はとてもシンプル。

入口を入ってすぐに、地下から屋上までを繋ぐ美しいフォルムの階段。写真を撮り忘れましたが、手前中央に(ちょっとグレイの角が見えます。壁際でなく、なぜか排水管の柱とともにホールのど真ん中)くくりつけの小テーブルと洗面台があり、外から帰ると手を洗えるようになっています。清潔に対する関心が高まっていた時代だからでしょう。沢山ある窓なども、外気や太陽を入れて、結核に対する予防の意味もあったようです。入口近くは今は売店に。
そして階段の横には、これもル・コルビュジエの建物に欠かせないスロープが2階までゆったりと。2階の中庭から差し込む光、ガラスとメタルの広い窓、テラスから屋上に続く外側のスロープのラインと、思わずオォ!と思ってしまう美しさ。写真ではよくわからないのが残念です。
2階の生活空間は、1辺を除いてテラスを中心にコの字型に囲み、これはサロン正面。ポスターの展示があったので窓の右半分が覆われていますが、本来は2枚の透明な窓でスライド式。屋上では、壁に窓と同じサイズの空間が切られ、そこから見える木立は額に入った絵のよう。
外からはシンプルに見えた建物も、外と中の2つのスロープ、螺旋階段、そしてどこにでもある明かり取りや沢山の窓で、中はキューブの単調さを感じません。いくつもの窓を素通りして反対側の緑が見えて、何と表現したらよいかわからないめくるめくような感じがします。
ル・コルビュジエのもう一つのセオリーは、壁を取り払った自由で広い空間。この巨大なサロンは、テラス側の大きな窓と周りをぐるっと囲む横長の窓で、外の緑と一体になっています。テラスのガラスのない“窓”際に付いたテーブルは、暖かい季節に外で生活するために、そして草木の植わった花壇は、実は1階に光を送る明かり窓です。
屋上ではベンチに座って、壁に切られた長方形の中に、生きた印象派の画を鑑賞。
コーナーの机   

バスルームと廊下は無地のセメントタイル(10月15日ブログ参照)で、寝室は木のフローリング
  
上は客室と子供部屋に繋がるバスルーム。ここも外の緑がバスタブから眺められます。圧巻は主寝室のバスルームで、寝室との境はカーテンのみ。カーテン横には、入浴中(または後)にリラックスするためのタイルの長椅子付き。日本人的にはお湯が冷めそうな気がしますが、パワフルな最新式のボイラーがあったのかも。それにフランス人は一般的に熱いお湯が苦手・・
サヴォワ夫人注文の最新式のキッチン。それまでのキッチンは家の奥に隠れた、お客様には見せたくない場所であったのに、このキッチンはサロンのすぐ横、緑の見える広いスペースです。このころを境にキッチンは、生活の場として住居の重要な位置を占めるようになりました。この2つの流し以外に、配膳室の窓際にも、水道が2つ付いた大きな流しがあるという徹底ぶり。下はキッチン横の配膳室。

ポワシーは高速地下鉄A5の終点で、サンラザール駅から国鉄も多数出ているので、パリまで1時間以内の通勤可能な郊外の街です。駅からサヴォワ邸までバスがありますが少なく、歩ける距離です。特にポワシーの由緒あるコレジアル(教会)や、一部中世の面影のある地区を通り、大きな公園もあるので、暖かい季節ならゆっくり散策したい場所です。

Villa Savoye  82 Rue de Villiers, 78300 Poissy http://villa-savoye.monuments-nationaux.fr/en/

12/01/2013

ラ・プティット・ローブ・ノワール、ブラック・ドレスの永遠のエレガンス

La Petite Robe Noire

木曜からスーパーマーケットのモノプリで、クリスマス用にピッタリのプティット・ローブ・ノワール(ブラックドレス)のコレクションを販売しています。これはモノプリお得意のコラボで、今回は5人のデザイナー、フセイン・チャラヤン、ジル・ディーコン、アンヌヴァレリー・アッシュ、アレクシス・マビーユ、イーキン・インが1点ずつ、モノプリのためにデザインしたもの。素晴らしいデザイナーのドレスが、モノプリならではの手頃な価格なので話題を呼んでいます。

モノプリでの販売から一足早く、先週はこの5つのデザインがコレットのショーウインドを飾りました。

さてこのラ・プティット・ローブ・ノワールですが、直訳すると小さな(可愛いといいう意味合いもあり)ブラック・ドレス、事あるごとに繰り返して登場するテーマで、いわばフランスのファッションの真髄ともいえる永遠のデザイン。黒の上質の素材で作られたシンプルなドレスは、アクセサリーによってカジュアルにもゴージャスにも装え、そのコーディネーションが、本当におしゃれな女性の腕の見せ所でもあります。香水の名前になったり、ブラック・ドレスについての展覧会が開かれたり、ラ・プティット・ローブ・ノワール”と題した本も出版されています(上記カトリーヌ・ドヌーブが表紙の写真)。この本の作者はディディエ・リュド。パレ・ロワイヤルの回廊に、ズバリ“ラ・プティット・ローブ・ノワール”という名前のブラックドレスだけのヴィンテージショップを持ち、ハリウッドのスターなどもお忍びで来るくらい世界的に有名です。


映画の中でブラックドレスをエレガントに着こなしたスターは沢山いますが、“ティファニーで朝食を”でオードリー・ヘップバーンが、有名なトップのシーンを含めて、何点かのシンプルなデザインのブラック・ドレスを様々に着こなしていたのが印象的です。ただ1点濃いピンクのドレスを着たシーンは、そのためはっとっさせられるコントラストでした。

11/28/2013

ラデュレのコスメティック “レ・メルヴェイユーズ”


Les Merveilleuses de Ladurée chez Séphora

この秋マカロンで有名なラデュレは、コスメティックのコレクション、レ・メルヴェイユーズを発表しました。これはすでに去年から日本でテスト販売されて大成功だったというもので、パリでは化粧品の専門店セフォラの大型ショップ、シャンゼリゼ店、オスマン店、マドレーヌ店の3店舗のみで、2年間のエクスクルーシブで販売されます。発売以来、有名なパティスリー店が化粧品を売ることについて、マーケティング至上主義への反対論と、ラデュレは有名ブランドなのだからいいではないかとの賛成論を耳にしていたので、遅まきながら見に行ってきました。
さてシャンゼリゼのセフォラでは、目立つ場所にきれいにディスプレーしてあるかと思ったのにそうでもなく、普通の棚に並べてありました。ロココ風の容器は、写真で見ると豪華なのですが、本物はプラスティックらしい?のが残念。かわいい箱も、台付きで球形のパウダー入れが入ったものは大きいので、スーツケースに制限のある旅行者はお土産に沢山買えないかもしれません。フランスでもコスメティックやガーリーなブログで沢山取り上げられているので、これからのクリスマス商戦、どうなるでしょうか。

Séphora  70-72 Av.des Champs Elysées 8e  

11/26/2013

ギャラリー、レ・ドゥッシュのヴィヴィアン・マイヤー展


Vivian Maier aux Douches la Galerie 

レ・ドゥッシュは、Les Douches(シャワー)からもわかるように、昔の公共浴場(キャビン式のシャワー)を改造して作られた写真専門のギャラリーで、アールデコのファサードとホールがそのまま残っています。このギャラリーで、今写真界でちょっとした話題の展示をやっています。
写真家の名前はヴィヴィアン・マイヤー、シカゴで住み込みのナニーをしていた女性で、子供達の世話をしながら50-60年代に写真を撮り続け、その沢山のネガティブを殆ど現像せずにロールのまま残しました。このネガティブが沢山の箱入りで競売に出され、たまたま1箱手に入れた不動産エージェントのジョン・マルーフが、いくつか現像されていた写真の美しさに打たれてその外も現像し、あわててばらばらに競売された外の箱も買い戻したのがおとぎ話の始まりです。箱の中にあった現像所の受け取りのヴィヴィアン・マイヤーの名をネットで探した結果、ほんの数日前に出された、シカゴ・トリビューン紙の彼女の死亡広告にヒットしたのが2009年。マルーフはトータルで10万枚以上にもなる写真を元に“ヴィヴィアン・マイヤー、ストリート・フォトグラファー”と題した写真集を出版し、大きな反響を呼び、それがパリまで来たというわけです。新聞の評には、“沢山の写真家が嫉妬を感じるくらい、いろいろなテクニックを使い、それに全て成功している”とありました。

 
鏡、ショーウインドー、バックミラーなど、映るものは何でも使って沢山の自画像も撮っています。影だけのものも沢山あり、それらは麦わらの帽子を斜めにかぶり、時には肘にハンドバッグを下げ、もし帽子にマーガレットの花が差してあったら、もう一人の世界的に有名なナニー、メアリー・ポピンズのシルエットのよう・・・

彼女の生前にこの栄誉がもたらされなかったこと、それ以上に、彼女自身が自分の作品の現像したものを一部しか見ていない事が、このおとぎ話のもの悲しい一面ではあります。新聞に出されたという彼女の死亡広告は、昔彼女が世話をしたゲンスブール兄弟が出したもので(彼らが晩年の彼女を経済的に援助していたらしい)“ジョン、レーン、マシューの2人目の母であり、その自由な思想で彼らの人生に魔法をもたらし、いつも助けの手を差し伸べ、映画のよい批評家であり素晴らしい写真家、大変珍しいユニークな人を失ったことを悲しむ”という、単なる儀礼では書けない内容のものでした。


Vivian Maier, Les Douches la Galerie 12月21日まで 5 rue Legouvé 10e

11/23/2013

タルト専門店タルト・クリュゲール

Tartes Kluger

今日は前から書こうと思っていた、タルト・クリュゲールについて書きたいと思います。今パリはバーガー、フィッシュ&チップス、キッシュ、ファラフェルなど、伝統的なフランスのビストロ料理と比べると、ファーストフード的な軽いスナックのランチが、おしゃれなボボ達を中心に大流行り。殆どが厳選された新鮮なビオの素材を使い、ヘルシーで、けして安物ではありません(その最たるものはロブスター・ホットドックで、勿論本物のロブスターを使用しているのでお値段もそれなり・・)。2009年創立のタルト・クリュゲールはそのパイオニア的存在で、トラック・フード(トラックで、テイクアウトの主にランチを販売)としても、まだまだ珍しかったころなのでとても話題を呼びました。
オーナーのカトリーヌ・クリュゲールさんは、弁護士から大好きな料理に転向した珍しい経歴の持ち主。サレ(食事用)のキッシュ、シュクレ(スイーツ)も、パイ皮から中身まで彼女のオリジナルで、だいたい1月毎にメニューが変わります。テイクアウトもOK,そして丸ごとのキッシュやデザートのタルトの配達もします。写真はほうれん草のキッシュ(パイ生地にゴマ入り)と、バルサミコにゴマを散らしたイタリアンとアジアのミックス味のドレッシングのサラダで美味でした。これに本日のスープをプラスして13ユーロ。


店内はファクトリー風ビンテージ家具と現代のすっきりしたデザインのものが混じり合い、これも今人気のスタイル。お店の奥がアトリエアになっていて、配達の分も全部ここで作られます。テーブルの上に色鉛筆があるのは、お隣でグループが、ザートを食べながらなにやらデザイン関係のお仕事のミーティング中だったため。でも色鉛筆が異質な感じはせず、インテリアの一部のよう。

オリジナルのレシピーも4、5冊あり、これはトラック・フード型のかわいいレシピー
Tartes Kluger 15 rue Trousseau 11e    www.tarteskluger.com

11/20/2013

装飾美術館のブティック、サンセット・リボリがリニューアル

Kaléidoscope Design Paris

Seconde vie pour Le 107 Rivoli


装飾美術館Les Arts Décoratifsのブティック、サンセット・リボリ107 Rivoliがリニューアルされ話題になっています。マチルダ・ブレティヨのデザインによる今までにも増して洗練された店内は、テーマを持つ特別のディスプレーが可能になり、またリボリ通り側のショーウインドーの商品も、テーマを変えてコンスタントに変化します。装飾美術館ならではの伝統的な手工芸品からヤング・デザイナーのアヴァンギャルドな作品、デザイン関係の本、オブジェ、アクセサリー、ステーショナリー、食器、子供向けの雑貨などが集められ、ミュージアム・ショップというよりは独立したブティックとして充実し、もちろん美術館の入場券が無くてもリボリ通りから直接入ることができます。ブティック名の107はリボリ通りの107番地だから。

デンマークのヘイの雑貨
ブルレック兄弟のエクスクルーシブ・デザインの食器
 今一番旬なフランスのレストランガイド、フーディングも本のコーナーに

107 Rivoli   107rue de Rivoli