3/19/2019

ブルレック兄弟の個展


Les dessins de Ronan et Erwan Bouroullec 

フランスの誇る兄弟デザイナー、ロナン&エルワン・ブルレックの個展が、ギャラリー・クレオで開催中です。個展と書いたのは、彼らの専門のファーニチャーや内装デザインではなく、フランス語でintimeと表現したいような、彼らのもっと個人的なアート作品を見ることができるからです。ギャラリーとブルレック兄弟のコラボは2000年以来と歴史があり、個展もこれが11回目。


1999年からずっとデュオで活躍する2人ですが、この個展は各自独立した作品の展示です。面白い事に全く違うアプローチ、全く違うエステティック。



ロナンは光沢のある紙の上に、全手描きの殆どがモノカラーの作品。日本のカラー筆ペンを使っていると解説に書いてありました。拡大しないと写真ではわかりずらいのですが、一筆書き的な "線" の集合で構成されたフォルム。これらの作品は毎日少しずつ描き足されたものだそうで、エルゴノミックでオーガニックな、まるで子供の絵のようにリュディック、植物的、宇宙的な不思議の国。

一方エルワンは全てコンピューターを使ったディジタルアート。しかもこのために特殊に開発されたソフトウエアを使用し、写真がベースになっているそうで、彼が目で見た物とディジタルのミックスです。コンピューター使いと聞くと非人間的な先入観がありますが、森、野原、輝く太陽などを感じさせる暖かさと、繊細なカラーが踊り、引き込まれるような奥行きのある、家に飾りたいなと思うようなアブストラクション絵画です。確か全部売り切れでした。

私は建築家やデザイナーが構想を練る時に描くエスキース、手描きのデッサンが大好きです。絵は筆跡と同じようにとても個人的でユニークなので、デザイナーの本質が出るし、そこから彼らの作品への理解も深まります。ブルレック兄弟の絵を見ていると、彼らのデザインの形、素材、触感、質感など、デザインのエッセンスを見ているような気がしました。

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