2/11/2021

ダニエル・ビュランのインスタレーション

Danel Buren au Galeire Kamel Mennor

美術館、劇場などが全部閉まっている中で、まだ営業している文化の香りがする場所は、今はわずか図書館と書店、そして画廊くらい・・・Covid景気の冷え込みでクローズの画廊もある中、やはり大手の画廊達は頑張っています。その中で、ダニエル・ビュランのインスタレーションを見てきました。

ダニエル・ビュランというとストライプ。美術館の壁に飾られた単純なストライプの油絵だけ見れば、これがどうしてアートなのか  ?と思ってしまいますが、そのシンプルなストライプの面白さを最大に引き出したような作品が、今回のインスタレーションでした。

上の写真の矢印が画廊の入り口。ブログトップの写真は同じ壁で、入り口からビジターが入っている所。しかしこれは全部ミラーで、本当の入り口は左の矢印の方向で見えません。右側のポニーテールの女性だけが本物です。

道路側の壁にはカラフルな窓が並び、シェードがゆっくり開閉して始終形が変わりムーブメントがあります。中央は、写真ではよく見えませんがミラーの付いた四角の柱が均等に並んでいるのです。よくわかるように、線と矢印で柱を区切ってみました。どこまで実物で、どこからが鏡なのか ? 人物が本当はどこに立っているのか、現実と幻想・・・

入り口の広いスペースに変わって、奧はもっと狭い空間。しかも少々薄暗く、同じく開閉する窓の色は、ぼうっとほのかに光る蛍光色でより非現実感があります。
 

写真を撮れば必ず外のビジターが写ってしまう空間、そして人物が入っていればこそ面白いのです。ここではビュランが拘るストライプの効果が最高に発揮されます。ストライプの鏡だから、こんなに面白いのです。一番上の男性はどちらが本物なのか ?  上の2人の女性の映像は全部鏡の偽物のビジョンです。本物は私の視界には存在していません・・・ちょっと哲学的に考えると、存在とは何か ? ・・そこまでマジメにならなくても、不思議の国のアリスの楽しさ。ダニエル・ビュランの作品は100%好きにはなれないけれど、今回の展示は素敵でした。

Simultanément,  Galerie Kamel Mennour, 5, Rue du Pont-de-Lodi 6e
2月27日まで

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