10/22/2016

デンマークのエコロジー感覚について/ デンマークNo.6


L'écologie selon les habitants de Jutland No.6

しつこくデンマークのお話ですみません。これが最後です!
フランスやイタリア、スペインなど少々だらしないラテン民族と違って、北欧の国民は環境保護の意識が強く、街はクリーンで公害も無いというイメージがありますね。実際そうなのですが、旅行中に、デンマークのエコロジーの感覚が、私が考えていたものとちょっと違っているのを感じました。
このブルーの透明パネルのテラスの並ぶアパート群は、オーフスの海岸の新開発地区で撮ったもの。
向こうには海が見え、リゾートマンションのような清々しさと、街の中心は自転車なら数分の距離にあるという便利さは理想的なアパート。きっと太陽エネルギーのヒーターとか、下水処理など徹底したエコロジック建築なのでしょう。でも上下左右の隣人と接近して丸見えのテラスや、あまりにテクニカルなデザインは、フランス人なら嫌がるかも。
目の前の海はこんな感じ、向こう側に工場地帯が見えますが、こちら側の指定された砂浜では海水浴もできます。近くで泳ぐことを許可できるほど工場汚染の無いエコシステムとは驚くべきこと。もっと驚くのは、水が汚染されていなければ、目の前に工場があっても構わないらしいデンマーク人の合理的なエコロジー感覚。これはけっして批判ではないので悪しからず!
下は釣り人が集まる防波堤から見たところ。後方にはもっと沢山のアパートや駅が工事中。デンマークは少子化が大問題で、移民も厳しく統制され人口増加は少ないはず。オーフスは日本の都市やパリのような飽和状態からは程遠く高層建築もなく、まだまだスペースにゆとりがありそうので、なぜこんな高層建築地区を街はずれに作るのかとても不思議。海の側のテラスのあるアパートに住みたいという需要が高いのでしょうか?
下は ″パレットについて″ という題で先日書いたブログの時に紹介したエコ庭園の風景を、アパートの方から見たところ
そしてこのエコ庭園を海側から見ると、この通り、かなりSF的な眺め!
こちらはヨットハーバーに面した、同じような飛び出した形のテラス。
そしてこちらは街の中心の、丘の上の大学構内にある学生寮のテラス。寮なのでアパートは狭そうだし、同じ飛び出し型テラスでも、椅子が1つやっと置けるスペースしかないけれど、緑に囲まれてこっちの方が断然住みたい気持ちにさせられませんか? 中もぜひ見てみたかった・・・なぜこのようなスタイルのアパートを新しく沢山作らないのかしら・・スペースは沢山あるのに・・

こちらはオールボーのリム・フィヨルド。フィヨルドというイメージとかけ離れて、向こう側は工場地帯。左端の方向にオールボー飛行場もあり。東京の湾岸地区とは比較にならない小規模とはいえ、散歩の時に見たくなる景色ではありません。でもすぐ近くの島では泳げますが。
街の中心のこちら岸は、遊歩道とサイクリングロードが続く広々としたウォーターフロント。あちこちにベンチが置かれ、芝生や花、木立の広いスペースの中に、アパート、大学、美術館等、スタイルの異なる超近代建築が点々と並んでいます。建物によるウォーターフロントの統一感は全く問題にされていないみたい。フランスでは建築規制が厳しくて、高層建築や実験的で斬新な建物が作りにくくて建築家泣かせなのですが・・デンマーク人は新しいデザインが大好きだと誰かが言っていましたが、なるほど、デンマークがデザインに優れているのもそのせいかしら。
せっかくフィヨルドの前なのになぜかテラスの無いこの型のアパートも4つ、広いスペースをとって並んでいました
 オールボーフィルハーモニーのコンサートホールとガラス張りのカフェ
下のUtzon Centerウッソンセンターは、シドニーのオペラハウスを作った建築家ヨーン・ウッソンの作った美術建築デザイン展示館。ウッソンはオールボーの出身。

という感じで、緑多いウォーターフロントではありません。目に見えない所で環境保護が完備しているのかもしれませんが、少なくともフランスの都市計画の感覚とは全く違っています。
実はデンマークの田舎を見たくて、ユトランド半島の北端に近いオールボーからコペンハーゲンまで、6時間の道のりを帰途は空路でなくバスに乗ってみたのです。デンマークは新幹線が無い国だそうで(これも環境の為?)鉄道でも5時間近くかかります。しかし意外に自然が美しくないのにがっかり。平たく起伏が少ないので単調に見えるせいか、緑の中に無骨で四角な工場とその広い駐車場が時々見えて興ざめだったり、海が見えると工場や煙も・・オールボー/コペンハーゲンは一番重要なラインなので、もっと田舎を旅してみなければ・・

昔ながらの建物も大事にされ、絵になる美しい風景も沢山あるのですが・・その周りが問題なのです。


下のの写真は、街はずれのリム・フィヨルドの岸の、ヨット修理や家具作りのアトリエ、アパートやおまけにかわいいブロカントのあった所で、新建築であってもデンマークの伝統的な家と同じようなデザインの建物が並んでいました。色もブルー、黄色、オレンジなど可愛く、私が大好きになった場所。こんなエスプリで街作りをすればよいのに・・
因みにデンマークは世界で一番幸福度が高い国、つまり自分は幸福だと思っている人が多い国として有名で、国民が満足して生活しているのは確からしい。早朝から仕事を始め、夕方早く家に帰り、サイクリングや散歩、島に渡って泳いだりと、夏の名残の太陽を満喫していました。

追加:  ブログを書いてからスカンジナビアの地図をふと見ていて、デンマークがとても小さな国だということに気付きました。土地が足りないのかも・・でもごみごみしたり規格に縛られた街づくりもデンマーク人の好みではないのかもしれません。フィンランド、スエーデン、ノルウェーの北欧3国に比べてとてもとても小さく、リンドグレーンやムーミンのお話しに出てくるような鬱蒼とした森や湖をイメージしてはいけないのかもしれません。どちらにしてもこのブログは、数日滞在しただけの旅行者の単純な感想なのでご理解下さい。どこがいいのか何に魅力があるか不明なのに、また行きたいと思う国なのです。10月24日

10/14/2016

デンマークプリントのパイオニア、マリアグルメット/ デンマークNo.5


Marie Gudme Leth, Le pionnier de l'imprimé textil Danois/ Danemark No.5

コペンハーゲンではデザイン美術館に直行し、デンマークのプリントデザインのパイオニア、Marie Gudme Lethマリアグルメット(以後MGL)の特別展を見てきました。(あと一週間で終了だったのでギリギリセーフ)。
MGLは1895年にオーフスで生まれ、女子工業美術デザイン学校、デンマーク王立美術院で学び、1921年から3年間、妹と共にジャワで伝統技術のバティックを勉強。ファブリックのプリント技術を外のクラフトワークと同じレベルにまで引き上げたいという大志を持って、まず型押しのブロックプリントを始めます。またドイツで、ハンドプリントの良さを持ちながら、より大きなプリントが可能なシルクスクリーンの技術を習得。女性で20世紀の初めに確固とした目的を持ち、20代でジャワに勉強に行くなど(飛行機で簡単に行ける現代のジャワではないですから)、それを可能にする経済的余裕や周囲の理解があったのでしょうが、それにしてもずごくダイナミックで意思の強い女性。きっととても魅力的な人だったのでしょう。彼女の写真も素適です。
1935年ドイツで習ったスクリーンプリントの技術でデンマーク・カリコプリント工場を創立。40年には自分のデザインストゥディオを創立。パリやミラノのトリエンナーレなどで数々のグランプリを獲得し、インターナショナルに活躍しました。


MGLのデザインは、ブルーやグリーンをベースにした優しい色合いで、花や木、動物、鳥などが織りなす自然の香りが一杯な事、MGLのルーツとも言えるブロックプリント風に、花や動物がシルエットで表現され、単純化されている事などが、後に続く北欧プリントのデザインを予測させます。カエル、カタツムリ、ヘビなどもデザイン化されて登場。上の3点の写真のテーブルリネンの犬やカエルのユーモラスなデザインが特に面白く、これら童話の挿絵風な作品がこれだけで、少なかったのがとても残念でした。

 

殆どがコットンやリネンの生地を使用。年月を経て少し色があせているのかも・・元はもう少しカラーが鮮明だったのではないかと思いました。
MGLのデザインは1950年代に一変し、以後はジオメトリックのデザインを発表。3-4点それらも展示してあり美しい色合いで素敵でしたが、やっぱり圧巻は自然をモチーフとしたものでした。

Marie Gudme Leth, Pioneer of Print       
Designmuseum Danmark  Bredgade 68 København http://designmuseum.dk/en

注: 彼女の名前をどう発音するかデンマーク人に聞いたら、マリアグルメットと聞こえました。デンマーク語の発音は、活字から私達が想像するのと全く違い度々驚かされましたが、これも不思議??便宜上タイトルにマリアグルメットと書きましたが、あまり信用しないで下さい。

10/08/2016

ある後姿・・デンマークNo.4

Le portrait d'une femme en bleu, Aarhus Danemark No.4
オーフスのDen Gamle By野外歴史博物館で見たデンマークの昔の民家の内部。下はそこで当時のドレスを着て窓辺で刺繍をしてみせていたデモンストレーションの若い女性が、休憩で立ち上がった場面がフランドル派の絵のように美しく、あわててスナップを隣の部屋からドア越しに撮ったもの。
 
by Anna Ancher 1885年
そしてこちらは翌日、オーフス近代美術館で見た花を生ける女性の絵。偶然にも同じドア越しに見た、金髪のシニヨン、ブルーのドレスの後姿!
2017年4月15日のブログに続きます)

10/04/2016

アルヴァ・アールトのオールボー近代美術館/ デンマークNo.3


Kunsten Museum of Modern Art Aalborg by Alvar Aalto/ Danemark No.3

アルヴァ・アールトがデザインしたオールボーの近代美術館は、今回のデンマーク旅行の一番の目的でした。
1958年のコンペでアールトのデザインが採用されたのですが、経済的な理由で保留され、やっと1966年に落成、72年に完成したそうです。
これが外観。アルヴァ・アールトは、美術館にとっての光は、コンサートホールにとっての音響と同じく重要だとし、自然光が色々な角度から作品を照らし、また作品が陰にならないよう工夫されています。
                                                                                                                        by visit denmark
上から見た写真。遠くに見えるのはリム・フィヨルド。残念ながらフィヨルドは美術館から見えませんが、緑の庭には、タイミングを合わせると濡れずに中心まで入れて、暑い日には ″わざと″水しぶきを浴びることもできる面白い噴水があります。                                                                                
 ちょっとアールデコ風な入り口の回転扉とランプ
 美しい天井と窓枠のストライプ
 入り口近く大ホールの高い天井
    
丸くコロッとしたライトがかわいい。
作品が映えるように、館内全部がホワイト。ちょと寒々とした感じですが、所々に配置されたヴィヴィッドカラーがとても美しく感じられます。
              
               
               
               

last but not least・・下は一目惚れしたヴァザルリの作品。彼の目がくらくらしそうなオプティカルで機械的な絵でなくて、ミッドセンチュリー風の手描きのぬくもりの感じられる静かな作品。特に右と中央の色合いが素適。このほかCoBrAのグループの作品も面白かったけれど、美術館全体がアブストラクトで(近代美術館なので当然だけれど)、超実験的だったりコワいような作品が多かったのには少々閉口ました。

Kunsten Museum of Modern Art Aalborg         http://www.kunsten.dk/en
Kong Christians Allé 50, 9000 Aalborg, Denmark