10/23/2015

メゾン・ド・パステル


La Maison du Pastel/ 3 siècles d'histoire

パステルは早く肖像画が仕上げられるので、モデルが長くポーズしなくてすむことや、柔らかい粉が、人物の顔をビロードのように美しく描けることなどが好まれ、ルイ王朝時代に大ブームとなりました。カンタン・ラ・トゥールやシャルダンなど有名ですね。また ″粉″ が素材である為に、パステルの作品はガラスの額に入れないと保存できないのですが、18世紀にガラスの技術が発達した事も、パステル画が発展する要因になったのだそうです。ラ・メゾン・デュ・パステルのルーツはそのブームの頃1720年に生まれ、約3世紀の長い歴史を持ったメーカーです。


しかしこのメゾンが特に名高いのは、1800年代後半にメゾンのパトロンとなった化学者で薬剤師のアンリ・ロシェのお陰で、彼は大変な情熱をもって沢山のカラーを作り出しました。彼と息子アルフレッドの代で、1930年には1650色のストックを誇ったそうです。因みにパステルは色が混ぜられないので、深みのある作品を描くには色数が必要なのです。よくパステルを指でぼかして色を混ぜる人がいるけれど、あれは邪道で、せっかくのパステル粉のビロードの表面を台無しにしてしまいますと、現オーナーのイザベルさんのお話です。

パステルはこの古めかしい棚に、昔のままの木箱に入れてあります。オリエントの土、キプロスの土、オータム・グリーン、アトランティック・グリーン、矢車草ブルー、花菖蒲ヴァイオレット、ヴェネチアン・レッド・・・色名だけでも詩になりそう。



1980年代には後継ぎがないまま、アルフレッドの3人の娘も年を取り生産できなくなり(全部手作りです)閉店の危機に瀕しましたが、現オーナーのイザベル・ロシェさんが殆どゼロから引継ぎ、ストック1021色まで取り戻したとのこと。昔の色数には遠いのですが、それでも世界一。もう一人の共同経営者と2人で、今でも全部手作り。世界中のパステル画家から注文があるそうです。
フランスの ″歴史遺産企業″ のラベルを持っています。

お店はランビュトー通りに面していず、20番地の門を入って中庭の奥にあります。
2人共殆どの時間をパリ郊外で生産に費やしているので、お店は木曜日の午後しか開いていません。
La Maison du Pastel   20 Rue Rambuteau 3e 

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