Sculptures habitacles d'André Bloc/ Meudon
先日の文化財の日に、ムードン・ベルヴュの丘の斜面の一角を占めるとても広い庭に囲まれた、アンドレ・ブロック邸を見てきました。アンドレ・ブロック(1896-1966年)はオーギュスト・ペレ、ル・コルビュジエ、アンリ・ソヴァージュ等と交流の深かった建築家で彫刻家。1つのカテゴリーだけの枠にはまらないエネルギッシュな人だったそうで、エディターとしても成功し、彼が1930年に創った L'Architecture d'Aujourd'hui (アルシテクチュール・ドージュルデュイ)誌は現在も出版される、フランスのメジャーな建築専門誌です。
自宅の庭に作品を置く彫刻家は珍しくありませんが、ブロックの作品はサイズとヴォリュームが傑出しているだけでなく、 sculpture-habitacle (彫刻キャビン、彫刻建築)と呼ばれる一種のハウス-家で、とてもユニークなもの。元は石膏だったものを、風雨に耐えられるようにレンガの土台とセメントで作り直し、表面は白のペンキ仕上げです。
外側は一見無秩序なのに、内部は聖堂のアーチや高いバラ窓などを思わせる、以外にも広いスペースです。森の小人の洞窟の家かSFの別の惑星の家か?という外観からは想像もつかない、荘厳ともいえる内部。
このSFっぽいファンタジーなムードが受けたのでしょうね、映画撮影に使われています。有名なのが下写真のウィリアム・クライン1966年の ≪ポリーマグーおまえは誰だ?≫で、60年代そのものの鉄板を使った宇宙的なファッションのショーのシーン。このように沢山の観客が入るスペースがあるのです。
by Qui êtes-vous, Polly Maggoo ? de William Klein (1966)
本当の家の方ももちろんブロックの作、残念ながら中は見られません。家の前の池から庭が丘の斜面を上り坂になっていて、その頂上あたりにもう一つの大きな彫刻建築が・・・
これです! こちらはハウスとは言えない、屋根らしい屋根のない塔。行き止まりの階段や、のぞき窓、バルコニーなどが絡み合った、迷路を縦にしたような塔です。高い所が苦手な私は、丘の斜面で高い場所にある上、手すりのほとんど無い階段やおかしな傾斜のスロープが初めにあってドッキリしてしまい、なんとか半分上っただけで断念。それでも木々の梢ごしにデファンスの方のビルまでよく見えました。一番上はさぞ見晴らしがいいことでしょう。