9/29/2020

アンドレ・ブロックの彫刻建築/ ムードン

Sculptures habitacles d'André Bloc/ Meudon

先日の文化財の日に、ムードン・ベルヴュの丘の斜面の一角を占めるとても広い庭に囲まれた、アンドレ・ブロック邸を見てきました。アンドレ・ブロック(1896-1966年)はオーギュスト・ペレ、ル・コルビュジエ、アンリ・ソヴァージュ等と交流の深かった建築家で彫刻家。1つのカテゴリーだけの枠にはまらないエネルギッシュな人だったそうで、エディターとしても成功し、彼が1930年に創った L'Architecture d'Aujourd'hui (アルシテクチュール・ドージュルデュイ)誌は現在も出版される、フランスのメジャーな建築専門誌です。

自宅の庭に作品を置く彫刻家は珍しくありませんが、ブロックの作品はサイズとヴォリュームが傑出しているだけでなく、 sculpture-habitacle (彫刻キャビン、彫刻建築)と呼ばれる一種のハウス-家で、とてもユニークなもの。元は石膏だったものを、風雨に耐えられるようにレンガの土台とセメントで作り直し、表面は白のペンキ仕上げです。

外側は一見無秩序なのに、内部は聖堂のアーチや高いバラ窓などを思わせる、以外にも広いスペースです。森の小人の洞窟の家かSFの別の惑星の家か?という外観からは想像もつかない、荘厳ともいえる内部。

このSFっぽいファンタジーなムードが受けたのでしょうね、映画撮影に使われています。有名なのが下写真のウィリアム・クライン1966年の ≪ポリーマグーおまえは誰だ?≫で、60年代そのものの鉄板を使った宇宙的なファッションのショーのシーン。このように沢山の観客が入るスペースがあるのです。

         
          by Qui êtes-vous, Polly Maggoo  ? de William Klein (1966)

本当の家の方ももちろんブロックの作、残念ながら中は見られません。家の前の池から庭が丘の斜面を上り坂になっていて、その頂上あたりにもう一つの大きな彫刻建築が・・・

これです! こちらはハウスとは言えない、屋根らしい屋根のない塔。行き止まりの階段や、のぞき窓、バルコニーなどが絡み合った、迷路を縦にしたような塔です。高い所が苦手な私は、丘の斜面で高い場所にある上、手すりのほとんど無い階段やおかしな傾斜のスロープが初めにあってドッキリしてしまい、なんとか半分上っただけで断念。それでも木々の梢ごしにデファンスの方のビルまでよく見えました。一番上はさぞ見晴らしがいいことでしょう。

庭のあちこちにある彫刻。


La Villa André Bloc   12 Rue du Bel-Air  Meudon 
モンパルナス駅から国鉄郊外線N線、Meudon-Bellevue下車、徒歩15分
私邸のため残念ながら一般公開は現在、年一回の文化財の日 Journées Européennes du Patrimoine のみです。

9/16/2020

パリで一番おいしいクロワッサン/ ラ・ファブリック・オ・グルマンディース


La Fabrique aux Gourmandises/ Le meilleur croissant d'Ile de France

クロワッサンをガブリと噛んだら、なんだかバターがジュワッとしみ出したような気がする・・これはいくら美味しくても後で胃が持たれます。
あのふんわりして、同時にパリパリと軽い舌ざわり、バターたっぷりなのにあっさりと、イーストの香ばしい香り・・・そんな最高のクロワッサンを作る芸術家のパン屋さんを見つけました。・・ブログに載せる写真を選んでいるうちにたまらなくなってきました・・思い出すだけでお腹がグーっと鳴りそう・・


お店の名前はラ・ファブリック・オ・グルマンディース。若いシェフ・ブーランジェのリオネル・ボナミ氏は、お店創立10年で既に複数の賞を獲得していて、ガラスのショーウインドーには下の写真のような月桂樹マークが、確か4つくらい付いていました。一番最近のは昨年、パリとその郊外イルドフランスのコンクールで、アーモンドのガレット第2位、そしてクロワッサンでは第1位と、2つの賞を獲得しています。2020年は Covid でコンクールがキャンセルになったのか、話題にならなかったので、このクロワッサンがそのまま今も王座をキープしているのかも。


お店は14区の外れで、周りには外に商店もないちょっと寂しい場所。リッチなグルメを思わせるものは何もないけれど、お店の前に並ぶお客の列が目印です。
アーモンドのガレットが大好物の私としては、シーズンになったら(クリスマスから新年1月中のみ)駆けつけましょう!

La Fabrique aux Gourmandises   82 rue de l’Amiral Mouchez 14e

9/08/2020

アニェス ・ベーの La Fabラ・ファブ


La Fab d'Agnès b

アニェス・ベーって、あのデザイナーのアニェスbです。その彼女が近代美術館ラ・ファブ La Fab をオープンしました。ファッションデザイの外にも、映画や映画音楽の製作、プロディースを手掛けたり、近代美術のコレクターとしても彼女は有名で、1984年にはジュール通りのブティックの側に画廊をオープンするなど、アートのスポンサーとしても大活躍していました。そのアート関係の活動を集大成したのがこのラ・ファブです。


上は入り口ホールにあったソファー。単純の極みのフォルム、しかしとってもユニークでファッショナブル、ツンと気取らない、座り心地のよさそうな温かみのあるソファー・・なんとアニェス・ベーらしいデザイン!


ソファーのお陰でなんとなく楽しい気分で入った最初の部屋に、バスキアがありました。バスキアはアニェスがコレクターとしてごく初めの頃に買ったものだそうで、それがこれかしら? 彼女お気に入りの画家。多分全くの偶然でしょうが、このラ・ファブの住所はなんと、≪ジャンミッシェル・バスキア広場 1番地≫!! 右はウォーホールの写真。


この建物は、鉄道のトンネルの上に建っているので、耐震建築のようなピロティーが建物中に沢山使われています。写真上の白い円柱がそれで、それをどのように美しく見せるかが建築家の課題だったとか。白い螺旋階段が二階に続き、円柱は全然気になりません。

カルダー
2階
Flip Schulke、水中のモハメッド・アリ
ダグラス・コーク
アメリカ航空宇宙局ナサ、 アポロ2号 ニール・アームストロング 月への第一歩
マン・レイ
シモン・ハンタイ
そして反対側の階段を下りると・・下は1階のブックショップ。

トイレに行ってみたら、おもしろい手描きの注意書き、そしてアクセントのゴールドの透明タイルが、とてもファッショナブルでした。

La Fab   1 Pl.Jean・Michel Basquiat