12/22/2018

ホアン・ミロとミログッズ


Joan Miro et ses Miro goods

リモージュの高級磁器ブランド、ベルナルドーが、ホアン・ミロの絵を配した食器を限定で作ったそうです。これはミロの家族の依頼のようで、お皿類、カップ、ボールなどワンセット100点が、100セット限定とか。この秋冬はグランパレで大ミロ展をやっている事もあり、街角やインテリアなどでミロの絵よく目にし、静かなミロ・ブーム。
Parler seul/ トリスタン・ツァラの詩集
食器セットに使われたデッサンは写真上のデザイン。ミロはいくつもの詩集の挿絵のリトグラフィーを描いており、これはParler seul独り語る(モノローグではありません)トリスタン・ツァラの詩集。今開催中のグランパレのミロ展で見ることができます。
A Toute Epreuve/ ポール・エリュアール詩集
Adonides/ ジャック・プレヴェールの詩集
"Ceci est la couleur de mes rêves これは私の夢の色!" 展覧会カタログ
グランパレの売店にはミログッズが沢山。以前は美術を見せるだけでおっとりしていたフランスの美術館も、カフェや有名シェフのレストラン、XXグッズの販売などと最近は商魂たくましくなってきました。でもミログッズは絵のデザインが素晴らしいのでかなり成功、ストールが素敵でした。

Joan Miro   Grand Palais 3, avenue du Général Eisenhower 8e  2019年2月4日まで

12/17/2018

マチュー・ルアヌールのカフェ・モリアン


Les luminaires de Mathieu Lehanneur/ Café Mollien au Louvre

ルーブル美術館は、展示される絵画彫刻だけでなく、贅と技をつくした建物自体が素晴らしい芸術作品です。カフェ・モリアンはそのルーブル宮の西端、高い天井まで届く大フランス窓からチュイルリー公園側を見晴らせる素晴らしいカフェ。スター・デザイナーのマチュー・ルアヌールが内装を担当し、宮殿のクラッシックな円柱、天井画、大理石に、モダンな巨大ランプのコーディネートが素敵です。

巨大な円柱が印象的
大階段や天井画を見晴らせるバルコニーのような特等席
そして大階段の向こうは、ダヴィッドやドラクロワの部屋に続くフランス絵画の棟。ここをまっすぐ進むと、デノン館の反対側の東端、サモトラケのニケのある大階段です。
カフェは大階段を挟んでL字型で、もう一方のカルーセル側はピラミッドを見晴らせるテラス席。お天気のよい日はすごい人気。

お目当ての作品を目指して一通り歩くだけでも大変な広いルーブル美術館。膨大なビジターがいるのに、一旦中に入ってしまうと飲食できる場所は沢山ありません。モナ・リザなど見ごたえのあるイタリア絵画翼を観賞し、次にこれまた沢山のフランス絵画翼をアタックする前に、ちょうど一息休みたい場所にあるので、ランチタイム、ティータイムは行列ができ混み合うので要注意。冬の、ビジターが少なくなってくる頃の遅いお茶にすると、平日などは写真のようにガラ空きという時もあり、ゆっくり宮殿の豪華さを満喫することができます。
ということでランチは?ですけれど、多分普通、スイーツもまあまあ。

Café Mollien ルーブル美術館のデノン館2階、モリアン大階段上

12/10/2018

英国プリントファブリック Scion シオン


Tissu imprimé Scion 

モンマルトの生地専門店ドレフュスで生地サンプルを見ていたら、大きなモンステラの葉を大胆にプリントしたインテリア生地を見つけました。
会社名はScion、プリントの名前はHaiku、俳句のことかしら? 透き通るような薄手の、夏のカーテン用のファブリックでした。スモーキーなブルーグレイ、グレイなどカラーバリエーションもとてもステキです。


コンテンポラリーで大人のプリントの外に、下のような楽しいデザインもあり、ミックスしてコーディネートすると、甘くならない可愛いインテリアに・・・

 

ネットで調べたところ、イギリスの工場のブランドのようで、ネット販売がメインなのか、残念ながら直営店は見つかりませんでした。イギリスでは、プリントの絵とお揃いのマグやクッション、カーペット等もネットに出ていました。
ドレフュスでは生地の注文コーナーにあります。
Dreyfus, Marché Saint-Pierre 2 rue Charles Nodier 18e

ドレフュス関連ブログ:
http://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2014/03/blog-post_21.html

12/04/2018

30年代建築めぐり/ マレ=ステヴァンス、ルコルビュジエ、オーギュストペレ&Co.ブーローニュ・ビヤンクール


Le parcours des année 30, Mallet=Stevens, Le Corbusier, August Perret & Co./ Boulogne Billancourt

ブローニュの森と蛇行したセーヌに挟まれた、パリのすぐ西に位置するブローニュ・ビヤンクールは、19世紀末に、映画のスタジオ・エクリプス、後にエールフランスとなるフェルマン兄弟の飛行機工場、自動車のルノーなど近代産業が発展しました。2度の世界大戦の狭間に建築ブームが起こり、沢山の芸術家達が移り住み、当時アヴァンギャルドと言われたマレ・ステヴァンス等の建築家達によって、住宅、芸術家のアトリエ、市庁舎、郵便局など公共の建物が建設されたので、ブーローニュ・ビヤンクールは、30年代建築ファンには見逃せない町になっています。個人所有の建物が多いので外から見るだけですが、文化財デー、建築デーなどに特別公開されることもあります。

1) Rue des Arts 通りとallée des Pins 通り
門のある私有地内の通りなので、建築デーに、市の専門ガイドさんに案内されて見ることができました。ここにはルコルビュジエが建てたオスカー・ミッチャニノフとJacques Lipchitzジャック・リプティッツ2つのアトリエ兼住居があります。
ルコルビュジエのアトリエ・ミッチャニノフ
Résidence atelie Miestchaninoff(1923-26) 5 Rue des Arts 92100 Boulogne Billancourt 
ルコルビュジエのアトリエ・リプティッツ
Résidence atelier Lipchitz (1923-25) 9 allée des Pins 92100 Boulogne Billancourt
芸術的な交流を持って製作できるように2つのアトリエが並び、内庭で繋がっています。南側は住居。

Lipchitzのアトリエの前を進んでこの私有地の反対側の出口角のアパートは、ルコルビュジエが建て始め、色々な問題のために工事が中止された後、Georges-Henri Pingussonジョルジュアンリ・パングッソンが完成した建物。三角の角地を利用したパケボートスタイル、船窓風の丸窓が沢山並んでいます。三角の部分が船首の豪華客船!
ジョルジュアンリ・パングッソンのアパート(1933-1936) 
5 Rue Denfert-Rochereau 92100 Boulogne Billancourt

2)Rue Denfert-Rochereau通り
このパケボート型アパートの正面入り口はダンフェール・ロシュロー通りに面し、反対側の偶数番地側は、下2つの写真を水平に並べた、まるでモダニズム建築のサンプル通りのよう! 左からマレ=ステヴァンス、ルコルビュジエ、レイモン・フィッシェ。続くお隣さん達もみなモダニズム建築で統一されているので壮観。公道なので自由にいつでも見ることができます。中が見れないのが残念。

左からマレ=ステヴァンスのコリネ邸 (1926)
Villa Collinet 8 Rue Denfert-Rochereau 92100 Boulogne Billancourt 

中央がルコルビュジエのクック邸(1927) 
Villa Cook 6 Rue Denfert-Rochereau 92100 Boulogne Billancourt 

3番目はRaymond Fischerレイモン・フィッシェのデュバン邸(1928) 
Villa Dubin 4 Rue Denfert-Rochereau 92100 Boulogne Billancourt

3)rue du Belvédèreベルヴェデーレ通り
ダンフェール・ロシュロー通りから2ブロックほと歩いたベルヴェデーレ通りも、みごとなモダニズムの通り。
緩やかにカーヴした通りの一番最初の家は、レイモン・フィッシェの建築。ピロティ、バルコニー、屋上テラス、余計な装飾を省いき、道のままに湾曲した丸いファサード。
レイモン・フィッシェのla maison Godfray ドゴフレイ邸1927
4 Rue du Belvédère 92100 Boulogne Billancourt

アンドレ・リュルサのFroriep de Salisフロリエプ・ド・サリスのアトリエ住居
9 Rue du Belvédère 92100 Boulogne Billancourt 
そしてオーギュスト・ペレそのものと言えるようなアトリエ、ドラ・ゴルダン邸。ファサードのタイルのレリーフが美しい。パリ14区のヴィラ・スーラを思い出します。
オーギュスト・ペレのVilla Dora Gordinドラ・ゴルダン邸 1929
21 Rue du Belvédère 92100 Boulogne Billancourt

ここに挙げた建物は、ブーローニュ・ビヤンクルール北部、パリと隣接した地区のモダニズム建築の、しかも代表的な物だけを選びました。市庁周辺の公共の建物や、とっておきのルコルビュジエの自宅は、また別の機会に書くつもりです。
外にも沢山面白い建築物が一杯なので、ブローニュの森と合わせて散歩してみましょう。
市の出している30年代建築情報
http://www.boulognebillancourt.com/cms/images/pdf/Brochures/Parcours30.pdf
https://www.tourisme92.com/Local/cdt92/dir/images/telechargement/prom_archi/boulogne.pdf

11/25/2018

キュービストの戦場のデッサン帳


Le carnet de dessin d'un Cubiste à la grand gerre de 14-18

先日11月11日は、第一次世界大戦終戦1918年の100年目の記念日でしたね。兵士として戦場に行った作家、画家、音楽家は多く、その体験が彼らの作品で描かれる例がよくありますが、今開催中のキュービズム展で、全く予期してなかった戦場のデッサン帳が展示されていてとても印象的でした。
画家の名前はアンドレ・マールAndré Mare。初めは画家として、後にキュービズムを超えてインテリアデザインに専念し、アールデコの重要な担い手の一人となったアーティストです。ワルシャワやワシントンのフランス大使館、デザイナー、ジャン・パトゥ私邸など数々の内装を手掛けたり、モーリス・ラヴェルは新作 "スペインの時" の舞台とコスチュームをアンドレ・マールに託したりしています。因みにフェルナン・レジェとは同郷で幼馴染の関係。 
捕虜
大砲
 
死んだ兵士

アンドレ・マールの、このキュービズムをベースとした第一次大戦のデッサン帳は10冊あるそうです。私達現代人にとっては、観念的な難しい絵画論でなくて、(戦場という特殊な場所であることは別として)キュービスムで日常的なスケッチをするとどうなるか、ダイレクトな見本のようで、とても興味深いもの。ずっと後の1996年になって、やっと本になって出版されました。

デッサン帳は展覧会のほんの一部で、どのようにピカソ、ブラックからキュービズムが始まり、彼ら自身もセザンヌやアフリカ等のプリミティブな美術から影響を受けたか、どう発展していったか、キュービストと文学、サロン、戦争、コラージュ、カラーと、1907-17年の10年間の流れがとてもよく理解できるセノグラフィーでした。

Le Cubisme1907-1917    Centre Pompidou 2019年2月25日まで 
https://www.centrepompidou.fr/cpv/agenda/event.action?param.id=FR_R-ea420e871bb49bc7b3eb28598919c&param.idSource=FR_E-ea420e871bb49bc7b3eb28598919c

11/18/2018

ジオ・ポンティ、アーキテクト+ザイナー


Gio Ponti, archi-designer au MAD

今秋の装飾美術館展は、イタリアデザインの元祖ともいえる建築家ジオ・ポンティです。建築は元より食器やカトラリー、ファブリックのプリントまで家中全てのデザインをこなし、ドムスDomsという建築/インテリア雑誌を発行するなど、マルチアーティスト。展覧会のタイトルのarchiアルシは "建築家" の略と "最高" を意味する 2語の掛詞、つまり ジオ・ポンティ "最高の建築家-デザイナー" です。

入り口には彼の代表作の1つ、イタリア南部タラントのカテドラルのファサードを模っています。彼のデザインの最も象徴的なジオメトリー。

建築科を卒業してから、陶磁器のリチャード・ジノリのアートディレクターを務め、数々の賞を受けます。ゴールド、シルバー使い、ネオクラッシックとアールデコのミックスしたの陶器類やインテリアを数多くデザインしますが、私はちょっと苦手なので省略。
写真上のカトラリーやお皿はとてもシンプルで大好きです。これらのモチーフはインテリアにも繰り返し沢山登場します。
ジオ・ポンティにとっては、建物の壁、床、天井、階段、全てが装飾の対象。直接、又はタイルとして、部屋の3方に大胆なジオメトリー柄を配しても重く過剰にならならない、家具とのコーディネーションの美しさ!

                                       
マダム・ポンティ、ジウレッタのポートレート
彼はデッサン付きの手紙を送りまくったそうで、半透明のマジック(又はマーカー)でさっと描いたデザインはとてもステキでポエジー溢れ、まとめて画集を出して欲しいくらい!
      
ポンティが創刊したDoms誌

せっかく広いスペースなのに、ポンティ特有の、床壁特に天井の、3方を飾る三角や六角のジオメトリーとストライプの、大胆なのにすっきりしたハーモニーが再現されずに、白い壁が多かったのがちょっと残念でした。やっぱり本物を見たいですね。
以下が本物:
                                   by Villa Planchart
                   by VillaArreaza

Toutto Ponti archi-designer   Musée de l'arts décoratifs Rue de Rivoli 1e 
2019年2月10日まで
https://madparis.fr/en/about-us/exhibitions/current-events-1322/musee-des-arts-decoratifs/tutto-ponti-gio-ponti-archi-designer/