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8/17/2022

スタインベックの本

Un Américain à New York et à Paris/ Steinbeck

" ニューヨークとパリのアメリカ人 " という本の話が雑誌に出ていたので、面白そうだと思い図書館で探しました。本という物はどんどん増え続け、古本下取りの書店に持って行き始末するのは心が痛み、重くて大変でもあるので、私はほとんどの本を図書館で借り、なるべく買わないことにしているのです。
図書館のネットで本はすぐに見つかりましたが、普通のパリ市図書館でなく "中央倉庫" にあると出ていました。予約して数日後に受け取ったのがこの本 !


なんと50年代の素適な本、ヴィンテージ なイラストが最高 !
よく調べてみたら、中央倉庫とは貴重な本、本棚に置いて沢山の人の手に触れては壊れやすい本等をストックして、希望者だけに貸し出す所なのだそうです。図書館のカードを持つ会員がオーダーさえすれば、その人の最寄りの図書館まで配達してくれます。倉庫の本は下写真のように補強のために古びた茶色の装丁が加えてありましたが、中はトップの写真の黄色い表紙のペーパーバックスのオリジナルです。


印刷年月日、印刷会社、1-30までナンバー入りの初版(プラス作家用の数冊)、当時有名な製紙工場の紙が使われた等々がちゃんと印刷されていました。1956年の初版本らしい。ナンバーはどこに打ってあるのか見つかりませんでしたが・・・


スタインベックが晩年スーパースター作家という身分でパリに滞在した時に、フィガロ紙からパリについて書いてほしいという申し出があって書かれたそうで、1956年にジュリアード社から、もちろんフランス語で出版されました。でもそれ以後再販されず、英語版も出なかった珍しい本だそうです。

7/23/2022

フィミンコ財団とコンテンポラリーアートセンター・コミュヌマ

 

Fondation Fiminco et Le Centre d’Art Contemporain Komunuma

パリでアートギャラリーが集まっているのはサンジェルマンデプレ、マレ、サントノレなどですが、それらの既成の地域を脱して、パリ郊外にサテライトのように、見逃せないアートセンターが少しずつ増えています。以前このブログでも取り上げたパンタンのロパック画廊はその先駆けです。それらサテライトは正直あまりぱっとしない北西部の町に多く、それは多分地価が格段に安いことと、修復すれば個性的な空間の創れる、買い手の無い古い工場や倉庫が沢山残っているから。文化的なグレードアップを望む町からのバックアップもきっと大きいのでしょう。
Komunumaコミュヌマ・コンテンポラリーアートセンター/Fimincoフィミンコ財団も、パリの "ブルックリン" を目指して2019年、郊外のロマンヴィルにオープンしました。


ずっと内部が見たいと思っていたのにCovid等でなかなかチャンスがなく、今回はレジデントという、援助を受け一年間アトリエ使用をしていた新人アーティスト達の、年度末の展覧会が開かれていたのを利用して内部を見てきました。1911年に製薬会社の工場として建てられた、アールデコのレンガのシャープなデザイン!

フィミンコ財団のメインビルディングには、展覧会場とオフィス。
"ロ" の字型に、中庭を囲んで主要の建物が集まっています。写真左はフィミンコ、写真右はギャラリーが集まるコミュヌマ(コミュニティーの意味)の入る建物。写真下、各ギャラリーにも、オフィスはもちろん、展示スペースがあります。

写真左はFRACフラックという、イルドフランス県の運営するコンテンポラリーアートセンターが占める建物からの眺め。左に見えるのはレジデント達のアトリエと住居の入った建物。写真右は中庭に面した素敵なカフェ。

以下の写真はフィミンコの展示スペース。1階と、特に2階は驚くほど広く天井の高いメインホール。一部に中2階が付いています。すごいヴォリュームに感激!どんなインスタレーションも展示可能ですね。格子の巨大な窓から入る光が壁や床に映り、展示された作品が、実際よりよく見えてしまったり・・・

工場の名残、建物を貫く炉

周りには同様のレンガの工場が沢山残り、一部は壊された瓦礫が残ったまま、一方近代的でテラス付きの住み心地の良さそうなアパートも建っていたりと、下町ロマンヴィルに、中洲の様に突然現れたデザインな一角。本当にブルックリンに変貌するか、失敗して放置されるか⁉ Covidで2年間不運でしたが、大きな可能性を持っている地区で楽しみです。

Fondation Fiminco,   43 Rue de la Commune de Paris 93230 Romainville
メトロ5番線 Bobigny - Pantin - Raymond Queneau 
地下鉄で行けるといっても元工場地帯の郊外です。駅から殺風景で車の多い道路を15分くらい歩かなければなりません。
展示の内容、オープニングの曜日と時間をよく確認してから行きましょう。

タダエスロパック・ギャラリー/ パンタン散歩

2/24/2022

パリで一番古い鉄の建造物

La plus ancienne construction en fer de Paris

左岸の植物園Jardin des plantesに、ちょっと小高い丘のような一角があるのですが、その頂上に(といってもせいぜいアパートの2、3階くらいの高さ)、フランスでキオスクと呼ばれる東屋があります。前から知っていたのに、通り過ぎるだけでしたが、ある日ふと気まぐれに、初めてこの 小山に登ってみました。

周りは密集した灌木が取り囲み、フランス庭園によくあるような迷路になっています。側に説明書きがありました。このキオスクはフランス革命直前の1786-1789年に、ルイ16世の命によって、ビュッフォン伯爵が建てました。眺めがいいというだけで、建築物としては何の用途もないのですが、金、銀、銅、錫、鉄、鉛、水銀の、7つの金属が使用され、周りの迷路も含めて、なにかシンボル的ですね。柱は鉄の骨組みの上を、ブロンズと銅がカヴァーし、てっぺんには正午を知らせる風見鶏の装置がありましたが、今はメカニックの部分が無くなっています。

 

1789年にフランス革命が始まると、キオスクに付けてあったラテン語の、ルイ16世を讃えるオーナメントが外されただけで、貴重な資材なのに、なぜか奇跡的に破壊や、盗んで外の物に利用される事もありませんでした。そのおかげでこのキオスクは、エッフェル塔よりちょうど1世紀前に、金属のみを使用して建てられた、パリで一番古い建造物ということになったのです。

1951年、1984年、2018年と3回修理されていて、因みに1984年の修理の出資者はカール・ラガーフェルドだったそうです。

Gloriette métalliqueLe    Jardin des Plantes    57 Rue Cuvier, 5e

1/05/2022

さようなら、メトロの切符

 

新年おめでとうございます !
Bonne Année !

Au revoir ticket de métro !!

なにげなく毎日使って、そこにあるのが当たり前、誰も気に留めずに粗末に扱っていた物・・・でもいざそれが無くなったら、なんとなくノスタルジックになってしまった経験はありませんか? 2022年は、パリの代名詞と言ってもいいようなメトロ、そのメトロと切り離せない切符が、1900年にメトロ開通以来121年の長いお勤めを終えて、姿を消すことになっているのです。

         by Le Parisien
デザインとは言えないデザインだけれど、やっぱり親しみがあって捨てがたい。
読みかけの本に挟んで、しおり代わりに使った経験のある人、けっこう多いのでは?


もうすでに去年の10月から、切符の買えない駅が徐々に増えていて、フランスの事なのでダラダラ長引く可能性もありますが、公式には、3月には完全にお終いの予定です。
切符の代わりは、もちろんカードや携帯のディジタル・パスです。ナビゴと呼ばれる1か月単位のカードを持っている人が多いので、目新しい事ではありませんが、万事がプラスティックのカードになり、ますます携帯無しには生きられなくなるのは疑問が・・・
莫大な量の紙の節約にはなるようですけど・・

10/18/2021

ジャン・デュブュッフェの塔/ イル・サンジェルマン


Tour aux figures de Jean Dubuffet/ L'Ile Saint Germain

シテ島やエッフェル塔を通り過ぎたセーヌ河が、パリの周りを囲む環状線ペリフェリックをちょっと出て蛇行した所に、サンジェルマン島という中州があります。今は広い公園になっていますが、元は自動車ルノーの工場があった島で、その工場跡の土地を90年代に公園にしたもの。その広いグリーンの広場の小高い場所に、一際緑に映えて目立つのがジャン・デュブッフェのこの塔・・・


ただの飾りではなく、実は塔の中に入れるのです。下写真のような、ちょっと悪夢風のデュブッフェらしい迷路になっていて、うねうねと上まで登れます。私の好きなアーティストではないけれど、この迷路はとても面白い!

  Photo by La Tour aux figures

島なのですからもちろん周りは水で、船(高級水上生活者の)が浮かび、川岸に遊歩道もあってなかなか素敵です。パリの中心まですぐなので開発がどんどん進み、またペリフェリックの外は旧市街ほどの建築制限がないため、このようなオフィスやアパート群が沢山建ってしまったのは残念ですが、21ヘクタールの島の中は自然が一杯です。


元工場の建物の一部をわざと利用して花を植えたり、ツタを這わせたり。植物も野草に近い種類を、これも多分わざと野性っぽく生え放題に植えています。
元からあったらしい雑木林をそのまま残しているので、橋を渡ればすぐにビルが並んでいることを忘れてしまえる場所です。

10/02/2021

クリストの凱旋門

 L'arc de Triomphe de Christo

クリストの凱旋門-というか彼が無くなってしまったので、彼のプランに忠実に従って実現した凱旋門のラッピングが、沢山のビジターを集めて大きな反響を呼び、明日終了の予定です。先日 "愛国者" と称する若者2人がよじ登り、祖国の為に死んだ兵士達にと記したフランス国旗を下げることに成功し、兵士を祭る凱旋門がこのようなラッピングに使われるのは侮辱だと抗議するハプニングがありました。また莫大な資金はクリストの自前で賄っているとは本当かウソか、税金が使われていないか? ラッピングの大量の布やロープは、たとえリサイクルだとしても何という無駄ではないかエトセトラ・・・と、予想通りメディアやネットで批評多数!

地球温暖化が待ったなしの大問題の今、こんなにムダしていていいのかな、という気持ちは分かります。また興味のない人にとってはこれほど不必要なモノはありませんし、これは芸術か否か、というのも人それぞれの解釈があり難しいですね。泥沼にはまり込みそうな芸術論は止めて、ただ一つ言えるのは、ノートルダム寺院もヴェルサイユ宮殿も、飢える国民など無視して建てられたという事です。それを是正はしないけれど、あまり色々考えていたら、何も創造できないのも事実・・
ですから硬いことを言わずに、軽い気持ちで見てきました。私のまわりのビジター達も、コロナウィルスが下火になり、良いお天気だったこともあり、布を触ってみたりセルフィーで写真を撮ったりと、みな楽しそうに鑑賞していました。

クリストの凱旋門ラッピング

8/22/2021

クリストの凱旋門ラッピング


L'arc de Triomphe sera bientôt empaqueté

夏の間は、ヴァカンンスでパリの人口がぐっと少なくなったこの時!! とばかりに、あちこちで一斉に工事が始まります。この写真は、凱旋門も修復工事?と思いそうですが、 実は梱包アートのクリストの、最期の作品の "製作" が始まったのです。

クリストは60年代頃から、凱旋門を梱包したいと構想を練っていたそうですが、許可が下りず、やっと許可が出た2020年には、コロナ騒ぎで延期のまま、84才で亡くなってしまいました。しかし彼の念願のこの作品は、クリストへのオマージュとして製作され、9月18日から10月3日まで展示される事が決まっていました。

1985年に、クリストはポン・ヌフを梱包しています。その時もパリの景観を損なうと賛否両論があり、良い意味でも悪い意味でも大評判になりましたが、今度はどうでしょうか。凱旋門はこの通り、ずんぐりがっちりのスタイルで凹凸が無いほぼ四角なので、単調な梱包にならないかしら?
  by Le Point

クリストとブルガリア・スパイ