2/25/2014

ヒゲのお話し

by Paris VS New York http://parisvsnyc.blogspot.fr/

Le retour du barbe

ハリウッドスターがみな急にヒゲずらになり、ファッションショーに髭のモデルが沢山登場し、雑誌の表紙には髭の男性が・・もう周知の事実ですが、髭がカムバックしています。男性ファッションと髭は切っても切り離せず、フランス革命の時は見当たらなかったのに、ベルエポックは権威と富の象徴として成人男子はみなりっぱな髭を持つなど、国や時代によって流行が変化。近代になってからは6-70年代のヒッピー達の間で自由と反抗の象徴に。その後しばらくファッションの表舞台から消えていましたが、ちょっと前まではBarbe de 3 jours(髭剃りを3日サボった無精髭・・に見えるように計算されたヒゲ)が話題に。では今回の髭ブームの特徴はというと、丁寧にトリミングや手入れされ(栄養クリーム、パック、ブラッシング)化粧品などたっぷり使ったお行儀よいヒゲで=お金も時間もかかっているもの。アート系の自由業の人に多く、ヒップスター達のシンボルに。今まで女性と同じビューティ・サロンに行っていたおしゃれな男性達が、トリコロールのあの目印のある“床屋”に行くようになり、ル・ボン・マルシェにオープンした“レ・モーヴェ・ギャルソン(バッド・ボーイズ)”を始めとして、レトロでダンディーな床屋(理髪及び髭剃り店?)が増えています。

      
                         BHVマレのウインドー
             
髭の形の看板には、ほとんど死語になっていたmaître Barbier床屋(直訳すると“髭剃り師”)と書いてあります。右はこれもほとんど姿を消していたトリコロールの理髪店の印が復活。

La Barbière de Paris    14 rue Condorcet 9e http://www.labarbieredeparis.com/cote-barbier/
Alain Maître Barbier   8 rue Saint-Claud 3e http://www.alain-maitrebarbiercoiffeur.com/
Les Mauvais Garçons  Le Bon Marché  24 rue de Sévres 7e http://www.lesmauvaisgarcons.fr/

2/23/2014

おしゃれなエピスリ、ル・ヴェール・ヴォレ


L’epicerie, le Verre Volé

先日エピスリー、ル・ヴェール・ヴォレ(盗まれたグラスの意)の前を通りかかったら、ランプが沢山下がってかわいかったので写真をつい撮ってしまいました。これまたついついちょっとメニューを覗いてみると、“自家製のカツオのリエット(ペースト)にケッパー、アーティチョーク、ラディッシュ” や“オランダの燻製ニシンにラディッシュ・クリーム、スイート・オニオン、レモンのチャツネ、ピクルス“などと食指をそそるサンドイッチが・・
ヴェール・ヴォレは、日本にもお店を出して何年かになるのでお馴染みですね。フーディング界の寵児シリル・ボルダリエがオープンしたレストラン・ル・ヴェール・ヴォレ、ワインカーヴ・ル・ヴェール・ヴォレに続いて3軒目がエピスリーで、軽いテイクアウトやサンドイッチを扱っています。“軽い”といっても、今のトレンドを反映して最高の素材ばかりを使った上記のサンドイッチは6、。好みの材料で特注のサンドイッチも作ってもらえます。

L'épicerie, le Verre Volé 54, rue de la Folie-Méricourt

2/19/2014

アーティストの展示即売、サン・モチーフ

 Simone Pernotte http://www.simoneperrotte.com/

Exposition Vente “Cent Motifs”

アトリエのデザイン工芸とクラフトマンシップのプロモートを目的とするフランス・アトリエ・アート協会主催で、アーティストの作品の展示即売会“サン・モチーフ”(100のモチーフ)が始まりました。市内の4か所の会場のうち、アヌシュカ・ポドゥヴァンの作品が見たかったので、オペラの会場へ。まず目に飛び込むのは、写真上のウインドーを飾るSimone Pernotteの繊細で華麗な陶器。この作品はこの展示会のポスターにもなっているくらいのハッとする美しいデザイン。アヌシカ・ポドヴァンのジオメトリーのモチーフをピンと下サイドボード入口を飾っていましたが、写真は15日のブログの彼女の紹介の時に使ったので、そちらを見て下さい。

鳥カゴ椅子Cage Anushuka Potdevin http://anouchkapotdevin.wordpress.com/
棚 Drugeot Labo http://www.drugeotlabo.com/
写真上と下のランプStockholm, Christophe Dabi http://www.dabidesign.fr/fr/accueil/accueil
湾曲したラインが美しい椅子 Libellule, Nicolas Desbons http://www.nicolasdesbons.net/site/ 

Cent Motifs  1bis rue Scribe 9e  3月29日まで
Ateliers d'art de France http://www.ateliersdart.com/index.php


2/17/2014

ネッケール子供病院



Reouverture de l’Hôpial Necker 

そういえば、以前キース・へリングの塔について書いたネッケール子供病院は、ピカピカに新しいラエネック館ができ上がり、昨夏からオープニングしています。フィリップ・ガゾーのアーキテクチャー・オフィスが設計したこの建物は、モダン・アートの美術館かと間違えそうな外観、2重ガラスの間に植物をはめ込んだ壁、カラフルでデザインな椅子があちこちに置かれ、子供のプレイ・ルームがあったり・・外からの光が沢山入り、なんでも手術室まで日光が入る設計だとか・・薄暗い建物や、逆に真っ白すぎる、古い病院のイメージを覆す近代的なデザインです。



敷地内に残る歴史的な旧館は、できるだけ原形を残したままモダンに改装され、全てができ上がると、庭の総面積は1ヘクタールになるそうで、取り壊しの危機に瀕したキース・ヘリングの塔は、オークションで十分資金が集まったのか無事修復され、今はネッケール病院のシンボルとなっています。

Hôpital Necker  149 Rue de Sèvres 15e

2/15/2014

アヌシュカ・ポドヴァン/レキュップのア-ティスト/


Anushuka Potdevin

アヌシュカ・ポドヴァンは、レキュップRéuprécupérationの略で廃物のリサイクルのこと)で100%メイドインフランスの家具を作るアーティスト・デザイナーです。古い物、不要になった物を、単なるリサイクルではなく、デザインとアイデアで付加価値を加えた新しい物として蘇らせるアップ・サイクルは、今世界的なトレンドです。初めて参加したメゾン&オブジェ展で大ブレークした、古いフォルミカの椅子をベースにした“Dsàt”シリーズを始めとして、千鳥格子やストライプのモチーフのサイドボードや椅子、陶器を使ったランプや花瓶など、一風変わった彼女の作品はユーモアがあり、次に何が発表されるか?と楽しみなデザイナーです。
       
                                             Dsàtシリーズの椅子
     
                     彼女得意のモチーフの入った家具

     

売れすぎて作るのが間に合わないという今人気の鳥カゴ式ソファーと、メタルの部分がモジュールなソファー


                       


             フォルミカの椅子の背に付けられた陶器の楽しい花瓶

Anoushuka Potdevin  http://anouchkapotdevin.wordpress.com/

2/13/2014

クラウスでドイツの朝食を

Petit déjouner allemand chez Claus

パリでドイツ式の朝食を食べられる所がないからと、ファッションから転職して自分でレストランを作ってしまった、というのがクラウスさんの朝食専門の高級スナック、クラウスです。ホワイトがメインのクリーンなショップに、床はジオメトリーのセメントタイル、1階は厳選されたメーカーのコーンフレークス、シリアル、ジャム、ジュース、マルレットのパン・ミックスなどのエピスリーと、クラウス自家製のスイーツ類を販売し、2階のレストランではフランス風ドイツ風など各種ブランチ(1420やランチが食べられます。平日朝は7時半からオープンしているので、仕事に行く前にカウンターで簡単な朝食を取ることができ、夜は18時でクローズです。
 
Claus  14 Rue Jean-Jacques Rousseau 1e

2/10/2014

キッチンと女性解放について/ 30-60年代の最新キッチン


Au bonheur de la ménagère, à la Villa Savoye


ル・コルビュジエのサヴォワ邸で、“主婦の幸せ”と題して193060年のフランスのキッチンの近代化についての特別展をしています。なぜ30-60年かというと、ちょうどそのころ色々な要素がミックスして、女性とキッチンの位置がぐんとアップするのです。衛生管理が注目され、建築家達は清潔を配慮して家作りをするようになり、キッチンが重視され生活の中心に。第1次世界大戦中前線で戦う男達の留守に、女性達は外に出て男の仕事をするようになり、第2次世界大戦はこれに拍車をかけることに・・・圧力ナベや新しい電化製品もそのころどんどん作られ、料理の時間が短縮され・・と、キッチンの変貌がどれだけ社会的な事と関わっているかという面白い展示でした。キッチンを機能的で明るく、リビングルームのすぐ横に作ったル・コルビュジエは、知らずにフェミニズムに大きく貢献したわけです。
    


     圧力釜のポスターとグラン・パレで開かれた家庭用品のサロンのポスター(初回は1930年)
 


          圧力がま1930年             Ivar Jepson 1932年 Sunbeam Corp社  
ミキサーTurmix4 1947年とチョッパー1925-45年、Robert Malle-stevensデザインのキッチン用椅子1931年とガスオーブンLa Cornue社   
このRaymond Loewy デザインのル・クルーゼのココット(1954年)などは、レトロブームでブロカントで今みなが必至で探しているモデル。

Au bonheur de la ménagère, à la Villa Savoye 82 rue de Villiers Poissy 3月9日まで
http://www.monuments-nationaux.fr/en/news/headlines/bdd/actu/1656/au-bonheur-de-la-menagere-cuisine-et-esprit-nouveau//

2/08/2014

ペンキのお話し/ リトル・グリーンとファロー&ボール


Farrow&Ball et Little Greene

リトル・グリーン社が最近、サンジェルマンのボナパルト通りにパリで2軒めの直営店をオープンしました。リトル・グリーンは創立1773年のイギリスの老舗ですが、同じくイギリスのファロー&ボール社も(1930年創業)、もうすでにパリに2軒の直営店を持っています。どちらも伝統を守って作られる高級ペンキと壁紙の専門店で、既存のカラーに加えて特注もできるので、プロのインテリアデザイナーやコーディネーターのお客様も沢山いる、言わばペンキのオートクチュール。
因みにこのような高級ペインキだけ専門のフランスの会社は(私が知らないだけかもしれませんが)思いつくものがなく、もしかするとイギリスの得意な分野なのか・・そういえば、伝統的なフレンチ・インテリアというと、オフホワイト、ベージュ、グレーのカマイユーが大勢だったので、カラフルな色は最近まで必要なかったからなのかも・・・



最近のDIY(do it yourself)のトレンドで、ブロカントで買った古い家具を直し色を塗り替えるのが流行っていますが、せっかく手をかけるならば、微妙なニュアンスのこれらのペンキを使い、思い切って壁までコーディネートしたカラーに模様替えしてみると楽しそう。

Farrow&Ball  
50 rue de l'Université 7e
111 bis Rue de Turenne

Luttle Greene  
197 rue de Vaugirard 15e
21 rue Bonaparte 6e

2/06/2014

キツネがパレ・ロワイヤルにカフェをオープン

L'ouverture du Café Kitsuné
キツネがブティックのすぐ傍のパレ・ロワイヤルの回廊にカフェをオープンしました。1年ほど前に東京にできたカフェ(創立者の1人は日本人)と同様のコンセプトで、ファッションに音楽にとライフスタイル提案型のキツネらしい展開です。しかしこのパリのカフェは間口が狭く奥に長いごく小さなスペースで、カウンターしかありません。内装はとてもシンプルですが、1628年建築の壁や天井のレリーフをそのまま残しています。テキスタイル会社でキツネの取引先でもあるトゥルニエ&フィスの元ショールームだったものを、彼らの引っ越し後譲り受けたもので、今でも古い文字で“紡績紡織ジュール・トゥルニエ”の名前が入ったまま。この古い物と現代の混じったテイストはまさにキツネのコンセプトそのもの。すこしお天気がよくなったら、素晴らしいコーヒーとノーグリュ社のグルテン無しのスイーツをテイクアウトして、パレ・ロワイヤルの庭園でゆっくり食べましょう(テラスができるかは不明)。帽子などのアクセサリーも展示販売しています。
Café Kitsuné  51 Galerie Montpensier 1e 

2/04/2014

オーギュスト・ペレとフランクリン通り25番地のアパート

 

L'appartement 25 rue Franklin d' Auguste Perret

16区のフランクリン通り25番地のアパートは、建築家オーギュスト・ペレが建てた、建築史に残る重要な建物です(1902-4年)。その当時最新の技術だった鉄筋コンクリートを使用し、周囲のアパートと一目で区別できるペレ独特なシャープな輪郭と、コンクリートの壁を覆う特殊なマロニエの葉のレリーフが特徴。またアパートの内装はあえて壁を半モジュールにし、開けば広いオープンスペースにできるように設計してあります。これも鉄筋のおかげで柱のない広い空間が可能になったためで、ル・コルビュジエが提唱した5つの建築のセオリーとして有名です。正面ホールだけでなく、裏階段にエレベーターがあるのも最新式。パリでは裏階段は元使用人用だったためエレベーター無しが多く、日本より天井が高いこともあり7、8階までの上り下りはかなりなスポーツ。

 

  

ファッサードのドア横や入口ホールの階段の明かり取りの窓は(写真左)、上右の立体6角形の手作りの美しい吹きガラスのはめ込みで、年月を経て壊れてしまっても、今同じものを作ると高価になりすぎるため、資金難で修復ができきず、漆喰などで穴を埋めたままに放置されているのが残念です。
フランクリン通りのすぐ近くのレイノー通りには、ペレが住居とオフィスを持っていたアパートがあります。勿論彼自身が建て(1932年)、同じく独特のシャープなラインのデザインに、こちらはレリーフが無い鉄筋コンクリートのままの壁なので、現代人の目にはちょっぴりチープな印象・・しかし高価な石造りに代わる鉄筋コンクリート(当時は最新のモダンな素材)のお陰で、低所得者向けのアパートの建築や、高層ビルの建設が可能になったのです。

     
ペレは最上階に住んでいたそうです。右はシンプルな正面入り口側

パリにあるペレの作品として有名なのは、シャンゼリゼ劇場(これは美しい建物で、内部の装飾は繊細なラインのアール・デコ)、Palais d'Iénaパレ・ディエナ、Salle Cortotサル・コルトーなど。19日までこのパレ・ディエナで“オーギュスト・ペレの8つの傑作、鉄筋コンクリートの建築”という展覧会をやっているので、上記のアパートを始めとする彼の代表作の模型や図面、彼がデザインした自分のデスクなどを見ることができます。


オーギュスト・ペレ作のパレ・ディエナ正面ホールの、鉄筋コンクリートの円柱に支えられた高い天井と巨大な階段
パレ・ディエナの会議室の息を飲む美しさのドーム

ついでに付け加えると、オーギュスト・ペレ展にシャナ・オルロフ作のペレの像がありました。ペレとは親しい友人だったそうで、彼女のアトリエはペレが作っています。

Auguste Perret, Huit chefs d'oeuvre, Architectures du Bêton armé
Palais d'Iéna  9 Pl. d'Iena   http://www.lecese.fr/content/auguste-perret-huit-chefs-doeuvres-architectures-du-beton-arme

オーギュスト・ペレのパレ・ディエナ 
https://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2019/10/fiac.html
オーギュスト・ペレのヴィラ・スーラ
https://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2013/09/blog-post_20.html
オーギュスト・ペレのチャペル
https://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2014/11/blog-post_12.html
オーギュスト・ペレのモビリエ・ナショナル
http://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2020/05/blog-post_2.html