5/23/2019

ル・コルビュジエのブラジル館



Maison de Brésil de Le Corbusier

1952年、ブラジル政府は自国の建築家 Lucio Costaルチオ・コスタに、シテ・ユニヴェルシテール(パリ国際大学都市)のブラジル館の設計を依頼しました。コスタは翌53年に建物の原案とディーテールをまとめ、それを展開して施工するようル・コルビュジエに協力を求めたのだそうです。(外の仕事で忙しかったのかしら?)。コスタの原案のベースはキープしたものの、ル・コルビュジエは大幅な変更を加えたため、ルチオ・コスタは徐々にこのプロジェクトから遠ざかり、結局ル・コルビュジエが1959年に完成しました。
建築家2人の不和などの問題があったのに、結果は20世紀を代表する建物に出来上がりました。

外観で真っ先に印象に残るのは、この見るからにどっしりと重そうなコンクリートのピロティー。外から見える階段。写真下は、一目でル・コルビュジエとわかるカラフルなロッジア(屋根のあるテラス)付きの学生たちの部屋。
食堂。お天気の良い時は、外のテラスでも食べられる、くつろぎの場。
入り口、玄関脇。コンクリートとカラフルなペイント。
入り口ホールのレセプション用のテーブル
黄色、緑、赤のマットなペンキのカラーと、ガラスの 透明な色の組み合わせが美しい。

この見るからに頑丈そうなテーブルは多分コンクリートにペイントした物。それにル・コルビュジエの照明
そして下は赤い床のある小劇場。客席はジャン・プロヴェのデザインだそうです。
自然光の入る、こちらではピュイ(井戸)と呼ばれている丸い明り取りの窓

残念ながら部屋の内部は見れなかったのですが、下のような形のようで、家具はシャルロット・ペリアンのデザイン。ベッドとシャワー(後方の丸い筒のようなスペース)の間の家具は、クローゼット、本棚と、水回りとの仕切りの役を兼ねています。カラフルで機能的な素敵な部屋ですね。
                                                                                          By Le Monde
La Maison du Brésil     7 L Boulevard Jourdan 14e  http://www.maisondubresil.org/

5/06/2019

ウィルヘルム・ハマースホイ/ 静寂と後姿の女性


Exposition Wilhelm Hammershøj au musée Jaquemart-André

"ある後姿" "デンマークの静寂" 等のタイトルで何度かブログに取り上げた後姿と静寂、今日はその最終回。ウィルヘルム・ハマースホイの展覧会が、ジャクマール・アンドレ美術館で開催中です。


ハマースホイは妻イーダの後姿を、飽くことなく描き続けました。色使いはホワイトからブラックまでの、限りないニュアンスのグレー系のみ。そこにあるのは静止した室内と、全くの静寂。イ-ダと妹二人が座っているシーンも、3人はそれぞれ全く違う方向を向き、各自の世界に閉じこもっているよう。会話も無く、温かみ、親しみのような感情が全く感じられません。ハマースホイの人物は、壁やドアなどと同じ室内の一部として、一緒に凍ってしまったよう。日常の普通な場面なのに、普通でない世界!



初めて彼の絵を見た時は、新鮮でショックをうけましたが、こうして何点も一度に見ると、ちょっとつむじ曲がりな気持ちになってしまい、後姿ばかりに固執するのは少々わざとらしく思えてきました。エドワード・ホッパーの絵も同じような、人の動きが止まってしまった静けさがありますが、ハマースホイのはホッパーと全く違う、ピューリタン的な世界・・・そこが彼の良さでもあるのですが・・

 

これらのモデル達はあまりに室内に溶け込み、お終いには消えてしまったのでしょうか、ハマースホイは室内だけの絵も沢山残しています。色々な角度の光線がグレイに交わる様はとても美しいのですが、先にToriine Søndergaard トリヌ・ソンダガッドの写真の室内を見てハッとしてしまったので、残念ながらこちらもあまり印象に残らず・・・

Wilhelm Hammershøj, Musée Jacquemart-André, 158 bd. Haussmann 8e Paris  6月22日まで  https://www.musee-jacquemart-andre.com/fr/evenements-en-cours-et-venir

ある後姿 https://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2016/10/blog-post_8.html
ある後姿2  https://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2017/04/no2.html
デンマークの静寂  https://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2019/03/still.html