2/27/2015

バウハウス/ ワイマール、ドイツNo.1


Escapade Weimar No.1/ Bauhaus-University

ドイツのワイマールに用事があり、ついでに国境を越えたチェコのプラハにも足を延ばしました。両都市間は350㎞ほどなので安易に考えていたら、新幹線はなく、2回乗り換え又は直行等、どんなコースも最低5時間。しかしフランスではもう見られない昔風のコンパートメントの車両だったので、レトロな“列車”旅行を味わいました。たまたまどちらの街もモダニズム、キュービズムの建築が沢山あり楽しく見学しました。

ワイマールといえばバスハウスの発祥地。雪まじりの冷たい雨が降る中、さっそくバウハウス大学に・・売店兼インフォメーションのポニーテールのお兄様に、どこでも好きな所に行って、好きなだけドアを開けてみてもいいよと言われ、とりあえず入った所がこの階段。全部木製で、各階の踊り場の有名な壁画(Herbert Bayer)が素敵で感激。

     

そしてこれもバウハウス大学の象徴、アンリ・ヴァン・デ・ヴェルデ作のらせん階段。ヴァン・デ・ヴェルデはベルギーのアールヌーボーの創始者の一人であり、またモダニズムの先駆者でもあったそうで、その2つがミックスした美しい弧を描く手すり。

     
     

窓が階段に沿って斜めに並んでいます。特に木製階段の方の窓は、ひし形に切られた窓のデザインに特徴があり、これはシンボル的に、ポスターなど印刷物のデザインに使われていました。下左は入口ホールの壁のレリーフ(Joost Schmidt)
     


下は本館正面。天井が高く、光の沢山入る大きなガラス窓のアトリエ式教室
下は別館の、オスカー・シュレンマーOscar Schlemmerの壁画のある、これもまたまた感激の素敵な階段。教室は、使っていない所は閉まっていて、使用中の所は入るのは遠慮し入口からチラッと見ただけ。しかしトイレに至るまで、お兄様に言われた通りくまなく見て回り満足!

  
     
別館の外観と、下は裏木戸にあたるシンプルなアールデコの門

真新しい近代的な新館もあり、それらを繋ぐ内庭や道路は、街の人が乳母車を押しながら通り抜けたりして、街と一体になった学校という雰囲気。下左の鉄骨の枠は、屋外のアトリエとして使われ、木の板やブロック、セメント等で、課題の作品を制作中でした。
     
コーヒーショップ、デザイン関係の書店、インフォメーションを兼ねたアネックス
 バウハウス通り

Bauhaus University Geschwister-Scholl-Str 8, 99423 Weimar Germany
http://www.uni-weimar.de/en/university/start/

2/17/2015

シンデレラのガラスの靴


9 créateurs revisitent la pantoufle de verre de Cendrillon 

いつの時代にも皆が夢中になる永遠のベストセラーが沢山ありますが、中でもシンデレラはトップクラス。童話としてはもちろんのこと、オペラ、バレー、映画など色々な分野でも大ヒットし、これをしのぐお話しは、ロミオとジュリエットくらいかも。どちらも時代やシチュエーションを変えれば無限大のバリエーションが可能で、しかも観客が必ず喜ぶ(または涙する)便利なお話しですね。
そのシンデレラのシンボルはガラスの靴。美と魔法の象徴、世界に1つしかない靴・・となればこれほど女性の夢を誘うものもなく、デザイナー達のファンタジーをも掻き立て、ルブタンなど、今まで沢山のデザイナーがガラスの靴をイメージしてデザインしています。
さてウォルト・ディスニ―が、パリでは3月25日ロードショーのケネス・ブラナー監督のシンデレラを記念して、9人のデザイナーにガラスの靴のデザインを依頼し、13日にベルリン映画祭でお披露目がありました。

               
               

         

参加デザイナーはポール・アンドリュー、アレクサンドル・ビルマン、ジミー・チュウ、サルヴァト―ル・フェラガモ、ニコラス・カークウッド、シャルロット・オランピア、ジェロームCルソー、ルネ・カヴィラ、スチュワート・ウェイズマン。特注又は世界の有名店で販売されるそうです。

2/14/2015

クランヌ・ド・コニングのカラースペース/ ル・サンキャトル


Krijn de Koning: Espace - Couleur

ヴィヴィッドでありながら、しかしよく見ると微妙な色合いの単純なフォルム、迷路・・・ル・サンキャトルで、オランダのアーティスト、クランヌ・ド・コニングのインスタレーションが展示中です。
一見子供の遊び場風で、入口では少しがっかりしたのですが、静けさの中で大きな立体やラインに囲まれ、鮮やかな“色”にすっぽりと包まれ、あちらの角から覗いてみたり、アーチをくぐったり、まばゆい黄色い光の中で、行き止まりの階段を上ったりしているうちに、いつの間にか自分が小さい子供に逆戻りして、どこかを漂っているようなシュールな気持ちに・・でもフワフワと心地よく漂いながら、しかし心のどこかに不安感が・・・そう、この楽しそうな“色”達には、なぜか不安を掻き立てるものがあるみたい・・

 
 
・・・とは私の感想で、人によって感じ方は全く違うと思います。子供連れなどで賑やかに見れば、もっと明るい楽しい印象になるのでしょうね。鑑賞する人が実際にこの中で動き回り、参加して作り上げるアートなのです。

以下はクランヌ・ド・コニングの過去の作品のいくつかです。教会の内部、古い建物や自然など、異質の物とミックスしたウルトラモダンなインスタレーションや展示会場のデザインがとても斬新です。ラビリンス=迷路、迷宮的フォルムは、ブライトカラーで明るく楽しそうでも、どこかミステリアスで人の平衡感覚を狂わせ、ちょっぴりショッキングと思いませんか?



                     

                        

Krijn de Koning Le Cent-Quatre  5 rue Curial 19e  4月5日まで

2/11/2015

ゴーティエ・カピュソンのマスタークラス/ ルイ・ヴイトン財団美術館


Gortier Capuçon/ Mastar Classe à la Fondation Louis Vuitton

“やっと”というか、ルイ・ヴィトン財団美術館の内部を見てきました。行くならば何か面白い展示のある日にとプログラムを調べたら、フランスの誇るチェロ奏者、ゴーティエ・カピュソンのマスタークラスがあったので、早速入場チケットを予約。

マスタークラスは、世界的に有名な演奏家達が、若い世代をマンツーマンでコーチするもので、外の学生や一般が鑑賞できるような舞台で行われるのが普通です。コーチされるのは18~25才くらいのヤングでも、みな複数のコンクールで優勝した経歴のある、世界中から集まった精鋭ばかり。未来のソリストを育てるコーチなので、いかに曲を理解し表現するか、情緒的哲学的な面もあり、お目当ての先生役の、音楽に対する姿勢やその人柄まで、普通のコンサートでは絶対知ることのできない一面を垣間見る事ができます。私は今までヴィデオで好きなオペラ歌手のマスタークラスを見た事はあったのですが、本物はこれが始めて。

生徒は2人で各1時間。たまたま2人ともドヴォルザークのチェロ協奏曲、1人目がすごいテクニックの派手な第一楽章(20才)、2人目が写真の女の子19才、スローで情感たっぷりな第二楽章・・彼女静かな中に情熱を秘めて素敵でした。オペラ派の私には珍しい曲でしたが、細かい所まで心に刻まれました。生徒は観客など目に入っていないだろうなと思われる真剣そのもの、先生もピアノの伴奏も、3人が一つになって曲を表現してゆく様は素晴らしく、感激。
ゴーティエ・カピュソン氏自身は、まだ35才以下でしょうね、笑うといたずらっ子のよう。若いせいか口で教えながらも、どんどん弾いてみせるので、彼のチェロの深い音色も堪能しました。



3人ともあまりに真剣なのでこちらも引き込まれ、写真を撮る気になれず、緊張が解けたちょとした合間に1枚だけ撮りました。上の写真はオーディトリウム。窓から見えるはずの有名な流れる波の噴水は、寒波で止まっていました。
マスタークラスは3月、5月、6月と続き、美術館と同じ入場券で入れ、夕方行われる生徒達のコンサートは別のチケットが必要。因みに財団の入場者は沢山でも、マスタークラスを鑑賞する人は少なく穴場・・今のところは!・・このオーディトリウムは、メロマンには要注目です。
本来の目的の建物についてはまた書きます。

Fondation Louis Vuitton 

2/02/2015

僧院カフェ、ラ・ターブル・デ・ベルナルダン


La Table des Bernardins au Collège des Bernardins

ラ・ターブル・デ・ベルナルダンは、修道院の中というパリでも最も特殊な“内装”のカフェ、しかもネットやガイドブックに出ていない隠れ家カフェです。
この建物はコレ―ジュ・デ・ベルナルダンと呼ばれ、1245年の創立からフランス革命まで、シトー派修道僧の学問の場所(パリ大学の分校のようなもの)として建てられ、ヨーロッパ各地から沢山の学僧が集まっていました。
フランス革命の時に破壊され、牢獄として使われるなど荒廃しましたが、1881年(エッフェル塔の建設が始まった年)には歴史的建造物に指定され、2001年には4年間の修復を経て200年ぶりに美しく蘇り、一般公開されるようになりました。といっても観光客が押し寄せる事もなく、いつも静か。



カフェは、僧達の勉学や研究の場所として使われたこの大ホールの一画にあります。飲み物の外にクロワッサンなどの朝食、日替わりランチ、スープ、午後はスイーツ、スナックなど、パリには珍しいリーズナブルプライス。中世建築の最高傑作ともいえる美しいアーチ、広いスペースと静けさに囲まれたゆっくりとした時間は最高の気分。空調保温などよほど徹底した近代化が隠れた所に施されたのか、教会特有の湿気を帯びた古臭い匂いがありません。
宗教関係の活動がメインですが、集会室や小劇場はカルチャーセンターとしても使用されています。劇や音楽、展覧会、子供向けのプログラムなど、営利事業ではないのでみな安価。2月13日にモリエールのタルチュフが上演の予定。観客60数名だけの小さなスペースでやるそうで、舞台が目の前なのは面白そうだし、なんと5ユーロ、行ってきます。

Collège des Bernardins   20 rue de Poissy 5e  http://www.collegedesbernardins.fr/en/