11/25/2018

キュービストの戦場のデッサン帳


Le carnet de dessin d'un Cubiste à la grand gerre de 14-18

先日11月11日は、第一次世界大戦終戦1918年の100年目の記念日でしたね。兵士として戦場に行った作家、画家、音楽家は多く、その体験が彼らの作品で描かれる例がよくありますが、今開催中のキュービズム展で、全く予期してなかった戦場のデッサン帳が展示されていてとても印象的でした。
画家の名前はアンドレ・マールAndré Mare。初めは画家として、後にキュービズムを超えてインテリアデザインに専念し、アールデコの重要な担い手の一人となったアーティストです。ワルシャワやワシントンのフランス大使館、デザイナー、ジャン・パトゥ私邸など数々の内装を手掛けたり、モーリス・ラヴェルは新作 "スペインの時" の舞台とコスチュームをアンドレ・マールに託したりしています。因みにフェルナン・レジェとは同郷で幼馴染の関係。 
捕虜
大砲
 
死んだ兵士

アンドレ・マールの、このキュービズムをベースとした第一次大戦のデッサン帳は10冊あるそうです。私達現代人にとっては、観念的な難しい絵画論でなくて、(戦場という特殊な場所であることは別として)キュービスムで日常的なスケッチをするとどうなるか、ダイレクトな見本のようで、とても興味深いもの。ずっと後の1996年になって、やっと本になって出版されました。

デッサン帳は展覧会のほんの一部で、どのようにピカソ、ブラックからキュービズムが始まり、彼ら自身もセザンヌやアフリカ等のプリミティブな美術から影響を受けたか、どう発展していったか、キュービストと文学、サロン、戦争、コラージュ、カラーと、1907-17年の10年間の流れがとてもよく理解できるセノグラフィーでした。

Le Cubisme1907-1917    Centre Pompidou 2019年2月25日まで 
https://www.centrepompidou.fr/cpv/agenda/event.action?param.id=FR_R-ea420e871bb49bc7b3eb28598919c&param.idSource=FR_E-ea420e871bb49bc7b3eb28598919c

11/18/2018

ジオ・ポンティ、アーキテクト+ザイナー


Gio Ponti, archi-designer au MAD

今秋の装飾美術館展は、イタリアデザインの元祖ともいえる建築家ジオ・ポンティです。建築は元より食器やカトラリー、ファブリックのプリントまで家中全てのデザインをこなし、ドムスDomsという建築/インテリア雑誌を発行するなど、マルチアーティスト。展覧会のタイトルのarchiアルシは "建築家" の略と "最高" を意味する 2語の掛詞、つまり ジオ・ポンティ "最高の建築家-デザイナー" です。

入り口には彼の代表作の1つ、イタリア南部タラントのカテドラルのファサードを模っています。彼のデザインの最も象徴的なジオメトリー。

建築科を卒業してから、陶磁器のリチャード・ジノリのアートディレクターを務め、数々の賞を受けます。ゴールド、シルバー使い、ネオクラッシックとアールデコのミックスしたの陶器類やインテリアを数多くデザインしますが、私はちょっと苦手なので省略。
写真上のカトラリーやお皿はとてもシンプルで大好きです。これらのモチーフはインテリアにも繰り返し沢山登場します。
ジオ・ポンティにとっては、建物の壁、床、天井、階段、全てが装飾の対象。直接、又はタイルとして、部屋の3方に大胆なジオメトリー柄を配しても重く過剰にならならない、家具とのコーディネーションの美しさ!

                                       
マダム・ポンティ、ジウレッタのポートレート
彼はデッサン付きの手紙を送りまくったそうで、半透明のマジック(又はマーカー)でさっと描いたデザインはとてもステキでポエジー溢れ、まとめて画集を出して欲しいくらい!
      
ポンティが創刊したDoms誌

せっかく広いスペースなのに、ポンティ特有の、床壁特に天井の、3方を飾る三角や六角のジオメトリーとストライプの、大胆なのにすっきりしたハーモニーが再現されずに、白い壁が多かったのがちょっと残念でした。やっぱり本物を見たいですね。
以下が本物:
                                   by Villa Planchart
                   by VillaArreaza

Toutto Ponti archi-designer   Musée de l'arts décoratifs Rue de Rivoli 1e 
2019年2月10日まで
https://madparis.fr/en/about-us/exhibitions/current-events-1322/musee-des-arts-decoratifs/tutto-ponti-gio-ponti-archi-designer/

11/09/2018

ブランシェなテリスキヴィ/ タリン、エストニアNo1


Telliskivi/ Tallinn, Estonia

ヘルシンキ+パルト3国の旅の続き、タリンのお話です。
バルト海をフェリーで渡り、タリン到着早々、今一番楽しいと評判のテリスキヴィに直行。土曜午前のブロカントと昼食が目的です。一国の主都のメイン駅としてはびっくりするほど小さいタリン駅の向こう側に渡り、Balti JaamaTurgという屋内市場の前を、線路に沿って左方向に進みます。3方を線路に囲まれ、以前は車庫や操車場などがあったらしい、ちょっと殺風景な場所がお目当ての場所。

使われていない線路を横切ったり、鉄道関係や工場の古い壊れかけたような建物ばかりでちょっと不安。でも所々にある看板やポスターから、それらがギャラリーやスポーツクラブ、カフェやショップなどに使われているのがわかります。多分夏はもっと賑やかなのでしょうね。
そのまま進むと、急に若者が集まっている広場に出ます。



1時を過ぎていたので蚤の市は終わりかけ。セミプロもいましたが、ほとんどは不用品を売る市民たちで和やかなムード。すごーく安いので、好きな物があったら躊躇ナシで買いましょう。売り手、特に買い手はなかなかファッショナブル。ここ以外では、たとえば中央市場(テリシキヴィとは旧市街を挟んで反対側のバスターミナル近く)付近では、まるで戦後に逆戻りしたか、ここはロシアか?というような人々、商品、生活風景だったので、ボボが集まっているここは、やはり特殊な地区なのかしら?
  
  

ハイシーズンはきっと若者で一杯になるカフェやレストラン。丁寧に見れば面白そうなアンティークショップもあちこちに。お天気が良くなかったのでちょっと寂しいけれど、下は古い列車を使ったカフェ。


昼食は一番賑やかで雰囲気も良かったF-Hooneで。知らずにテリシキヴィで最も人気のお店に入ったみたいです。メイン、ビールとも満足の味、サービスもフレンドリー、お菓子まで食べるお腹の余裕がなかったのが残念でした。

タリン駅の方向に戻り、大きな屋内市場 Balti Jaama Turgへ。

一階は食料品(といっても上記で触れた地味な中央市場と全く違う、グルメでフードコートもあり)、2階には沢山のアンティークショップが並んでいます。ここはプロのみ。でも物価に比例してやっぱりリーズナブルプライスのようでした。
    

F-Hoone,  Telliskivi 60, 10412 Tallinn, Estonia   http://www.fhoone.ee/en/
Balti Jaama Turg,   Kopli 1, 10412 Tallinn, Estonia  https://en.astri.ee/bjt/

11/02/2018

パリ市庁広場の風呂敷インスタレーション


Furoshiki Paris/ l'installation géante de Furoshiki à la Place de l'Hôtel de ville

ここ数年、日本関係の多様な展覧会がいつもどこかで複数開かれ、ブームだなと思っていたところ、今年はジャポニズム2018年で益々日本テーマのイヴェントが一杯。そしてついに、パリの真ん中、市庁舎広場に大きな風呂敷のインスタレーションが出現しました。

下からは良く見えませんが上に結び目が付いた、唐草模様の風呂敷包みに見立てた大きな箱、この包みの中が展覧会場です。古風な風呂敷も数点展示されていますが、ほとんどがこの為にデザインされたアーティスト達の創作風呂敷で、とてもモダンな見せ方。特に風呂敷を "世界で一番最初のエコバッグ" という、親しみのあるキャッチフレーズ(本当ですよね!)で紹介して、古臭さが全くないアプローチ。東京からパリ市へのプレゼントだそうで、主催者は東京都!
 草間弥生さんデザインの風呂敷。そういえばこの会場、ちょっと草間さん風かも・・
 誰でもタダで参加できる風呂敷きの結び方ワークショップ

風呂敷の歴史、イラスト付きの簡単な結び方、日本語の包む、結ぶ、贈る、という言葉の持つ意味などの説明が入った新聞型のパンフレットを配っています。 "furoshiki" という名詞がフランスの辞書に加えられる日は、そう遠くないかもしれません。

Furoshiki Paris    Place del'Hôtel de ville 4e  11月1-6日