9/16/2014

東京にて/上野から谷中へNo.2 横山大観記念館、根津とうふ工房須田

Escapade Tokyo/ de Ueno à Yanaka No.2

★横山大観記念館
旧岩崎邸を後にし、不忍池近くの横山大観記念館に。実は横山大観は特に好きな画家ではないのですが、彼のアトリエ兼住居だった器の方の日本家屋が見たかったのです。期待は裏切られず、和室からガラス戸を通して見える庭園の滴るような緑は、息をのむ美しさでした。このような最高の気分で画を鑑賞できるのは、すばらしいことです。展示品は少数で、何となく雑然と飾ってあり(家が狭いためでしょう)照明も暗いのが残念でしたが、大観の後輩にあたる冨田溪仙祇園夜桜には感激しました。大観の夜桜は美術館に入っているのでしょうね、ありませんでした。


記念館以後はもう目的は無く、地図を片手に、ジグザグとあてもなく歩きました。大通りはビルが並び車の往来が激しくても、すぐ裏に回れば人影も疎らな、一昔前の面影を残した町並みや細い路地裏などが、意外なくらい沢山残っています。


★根津とうふ工房須田 
お昼の時間をとっくに過ぎてお腹がすいていたところに、いかにもおいしそうなお豆腐の専門店が現れました。手作りのお豆腐製品の販売と、片側に2人用のテーブルが5-6個だけの小さなレストランです。ランチは全部売り切れでしたが、テイクアウト用のものをその場で食べられると言われたので、お稲荷と鳥のから揚げを注文。どちらも手作りの心のこもった味で大満足でした。

 
お持ち帰りも仕入れて家で食べましたが、今でも忘れられない味。パリは世界のグルメの中心地なので、肉も魚も(お刺身用まで)新鮮で豊富。だからそれらを使って日本料理を作ることは簡単なのですが、お豆腐類や練り物等加工品はあっても、品質はごく普通のスーパー級止まりで、こういった“上等”なものは、日本から持ち帰るしかありません。今須田のサイトを見ていたら、何と嬉しい事に、私が帰った後羽田空港店がオープンしたようです。これからは機内持ち込みで沢山持って帰れる・・・!


なんだか人通りが多くなったなと思ったら、突然ぎっしり人で埋まった賑やかな通りに出ました。調べたら谷中銀座という商店街で、長い行列ができているお惣菜屋さんもあり、どこもかしこも食べたり飲んだりする人が溢れています。お祭りの様で、それはそれで面白いのですが、ここだけに集中して外の場所が森閑としていたのが、なんとなく不思議です。きっとテレビか雑誌で紹介されたのですね・・

 

横山大観記念館 東京都台東区池之端 1-4-24
根津とうふ工房須田 東京都文京区根津2-19-11
http://tofukoubou.jp/ 

9/13/2014

フリゾ・クラマーのレボルト/ パリ・デザインウイーク No.2

Revolt chairレボルト・チェアーとアーム付きレボルト・チェアー

Friso Kramer/ Paris Design Week No.2

オランダのプルーヴェ(ジャン・プルーヴェ1901-84)と評されるフリゾ・クラマー(1922~)の作品が、ギャラリー・カトリーヌ・ウアールに展示されています。1953年に作られた代表作レボルト・チェアーは、新しいオランダ・デザインの象徴として、翌54年のミラノ・トリエンナーレに展示されたモデルで、今ミッドセンチュリー家具愛好家の注目の的。パリ装飾美術館、ヴィトラ・デザインミュージアムなど、世界の美術館のコレクションにも加えられています。ギャラリー・カトリーヌ・ウアールはフリゾ・クラマーのスペシャリストで、去年春に“フリゾ・クラマー、レボルト”と題して、彼の作品をパリで初めて大きく紹介しました。パリ・デザインウイークは今日で終わりましたが、このギャラリーでは、多分いつもクラマーの作品が見られると思います。

アームの部分がとてもかわいいレボルト・アームチェアーと棚
 

因みにRevolt chairは、レヴォルトと書きたいところなのですが、日本のカタカナ表記レボルトに従いました。このブログでは、外国の固有名詞は全て日本のカタカナ表記通りに、日本で知られていない固有名詞は、フランスの名詞ならフランス語読み、その他の国はできるだけその国の発音通りを心がけていますが、難しいものは、フランス人が発音するままをカタカナにすることもあります。

Galerie Cathrine Houard  15 rue Saint-Benoit 6e 

9/12/2014

東京にて/上野から谷中へ No.1 旧岩崎邸、国立近現代建築資料館


Escapade Tokyo/ de Ueno à Yanaka No.1

私事で忙しかったこの夏の日本帰省中に、1日時間を取って上野の旧岩崎邸を出発点として、足のむくままに谷中方向に歩いてみました。初めての場所ばかりで、とても楽しい散歩でした。

★旧岩崎邸
鹿鳴館など数々の西欧式の建物を作ったジョサイア・コンドルが、明治29年に建てた三菱財閥岩崎家の館。シャトーやマノワール(館)などのヨーロッパの建築をそっくり再現していますが、装飾や彫刻に日本のモチーフなど、日本風なディーテールが沢山施されています。照明、部屋の構成、暖炉の配置、窓や鎧戸、開閉のシステム、取っ手などまで、ヨーロッパで見なれているものなのに、何となく違う・・理屈ではなくやっぱり日本だなあと思ってしまうのは、私の先入観のせいなのか、建築家が日本を意識したデザインにしたためでもあるでしょう、あまりバタ臭くない・・とても興味深いものでした。“シャトー”ではなくて“洋館”という言葉がぴったりなのです。

  
★国立近現代建築資料館
旧岩崎邸の敷地内にあり、予定外だったのですがちょっと入って見ました。2012年末に建てられた新しいもので、2013年度中の展示の総括的な資料を展示中。東京でお馴染みの建物の設計図などもあり、小規模ながら楽しく鑑賞しました。ちょうど責任者らしい方が2人の建築課の学生さんに説明中だったので、一緒にお話を少し聞かせて頂きました。私がパリから来たと知って、ポンピドーセンターなどが、以前から日本の建築家の図面や模型を大量に買っていて、外国に貴重な資料が沢山流出してしまったと嘆かれたのが印象的です。日本はこの資料館ができたので、これからですね、楽しみです。

  
   
左はお茶の水のアテネフランセの設計図、右は旧東急文化会館の渋谷パンテオンにあった、ル・コルビュジエによる大緞帳の原画“闘牛14号”と、製作工程の説明、写真等を載せた当時の印刷物(原画オリジナルは壁に展示してありましたが、写真撮り忘れ)。古びた色合いのミッドセンチュリーらしい原画、予期しない所でル・コルビュジエに巡り合うことができましたオリジナルと同じ西陣の織物会社が、当時と同じ手織りで復元し、今ヒカエリの東急シアターにかかっているそうですが、5分の一の縮小版だそうですね。23.6mX9.8mが4.8mX2mになってしまうと、大分デザイン的にもちがってきますが・・ところで本物はどこに?なぜ本物を修復できなかったのでしょうか?

旧岩崎邸 東京都、台東区、池之端一丁目
国立近現代建築資料館 東京都、文教区、湯島4-6-15 http://nama.bunka.go.jp/        

9/09/2014

セントウでムートのインテリア紹介/ パリ・デザインウイーク No.1


Muuto chez Sentou/ Paris Design Week No.1

スカンジナビアのインテリア・コレクション、ムートは、スカンジナビアのデザイナー達のオリジナルを扱いフランスにも沢山のファンがいますが、まだ直営店がありません。セントウは早くからムートをパリで紹介していたそうですが、パリデザインウイーク中に新コレクションを紹介しています。



Sentou  29 rue François Miron 4e  
Paris Design Week  13日まで

9/07/2014

ル・ボンマルシェで日本展


L'exposition “Le Japon rive gaushe” au Bon Marché

安藤忠雄さんの展示を見にル・ボンマルシェに行きました。展示というよりは、彼の作品直島のベネッセ・アートサイトにスポットを当てたビデオを、ベネッセハウスの象徴のような、オーバルを模って作ったホールで鑑賞するというもの。これは“ル・ジャポン・リヴゴーシュ”というタイトルで、デザイン、文化、食など、特別にセレクションした現代日本の100社ほどを紹介する、この秋のル・ボンマルシェの一大イベントの一環でした。

ベネッセのオーバルを模したビデオ室

店内は日の丸からインスピレーションを受けたのかも?と思われる朱赤の大小のドットや、丸い木組みの大きなインスタレーションが要所に配置され、インパクトのあるデコレーションが、一目でわかるアクセントに。一番上の写真はグルメ館の入口で、天井からは、マルチカラーの丸くかわいいガラスのランプが沢山下がっています。これは昨年末ロンドンの、ヴィクトリア&アルバート美術館の入り口ホールを飾っていたすばらしいシャンデリアとそっくりなので、同じ作者(オメール・アーベルOmer Arbelという人らしい)の作品かしら・・

         


      

沖縄など地方の特産品やスナックの試食会と販売、本館の2階ではフランス初登場のブランドやメーカーのポップアップストアー、マサトさんのヘアカット、お茶と和菓子のバー、和食のマスタークラス、日本人シェフのクッキングショーなどプログラムも徹底して、パリの日本マニア必見! 因みにこのマニアの数はかなりなようで、アメリカに次いで日本は行ってみたい国の第2位だと以前聞いたことがあります。

 
このドット、本当に日の丸がインスピレーションソースだとしたら、みごとにそれをル・ボンマルシェ風のフレンチにアレンジしてます。あまりにかわいいので、このプリントでオリジナルのトートバッグやポーチ、お化粧セットなどを作って販売中。

Le Japon rive gauche    Le Bon Marché 38 rue de Sévres 7e 10月18日まで

9/03/2014

フレディーズ・デリのグルメロールサンド


Freddie's Deli

トラック・フードで有名になった、カリフォルニア出身のクリスティン・フレデリックがオープンしたデリのスペシャリティーは、ビオのロール・サンドイッチ。おいしいパン(確かかの有名なゴントラン・シェリエGontran Cherrierのパンだったと思います)に色々詰め込んでロールしたもので、グリルしたターキー、ポーク、ビーフステーキ、ベーコンなどに色々な野菜を加え、アイオリ(プロヴァンスのガーリックの効いたソース)などオリジナルソースが、しつこくならない程度にかかっています・・少なくとも私の食べた、ポークのグリルの入ったのはそうでした。


このサンドイッチ、どんなアングルからも美しく見えないし、紙を取ってしまうとバラバラになるので写真を撮るのに困りましたが、外のサイトなどでも似たような写真しか出ていなかったので安心しました。外見はともあれ、中には香ばしいグリルド・ポークが沢山入っていて、病みつきになりそうな味。もたもたしているとこぼれるので、お上品に食べたい人は止めた方がいいでしょう。
8月中は雨が多くてうすら寒かったパリも、今週は日中平均25℃の良いお天気の予定。そんな日には、静かなミニ広場に面したフレディーズのテラスは一杯です。

Freddie's Deli  22 rue Crespin-du-Gast 11e 
http://www.freddiesdeli.com/ (しかしこのサイト、ロゴと住所しか出ていません)

8/31/2014

安藤忠雄さんのインタビュー


茨城春日丘教会(光の教会)
    
Tadao Ando “L'architecture est aussi affaire de spiritualité”


アルヴァ・アアルト賞、プリツカー賞などを受け、世界的に評価の高い日本の建築家、安藤忠雄さんのインタビューがエクスプレス誌に出ていたので、要所の翻訳を御紹介します。以前書いたグレン・マーカットのインタビューと全く異なるのに、底辺に流れるものには微妙に似た部分もあり、なかなか面白いと思いました。

72才、40年のキャリアを持つ安藤忠雄は、特異で、無駄の全くない、壮大な建物を作り続けている。彼のモットーは単純なヴォリュームとフォルム、そして水、空、風などの自然との絶えることのない対話だ。修道僧のような服と地味な風貌に反して、いたずらそうに輝く目、大阪のバッドボーイのしゃがれ声の安藤忠雄は、彼が設計した素晴らしい美術館とホテルのある直島に私達を迎えてくれた。
- ポンピドーセンターとル・ボンマルシェと2か所での展示・・パリの秋になりますね?
はい、フランスをまた訪れることができてうれしいです。私にとってフランスは昔の日本と同じく文化の国ですが、日本は1945年の敗戦後、あまりにエコノミー優先になってしまいました。エコノミーの発展だけでは何の価値もありません。フランスは私のキャリアの出発点なのです。
- いつ頃から建築家になろうと思ったのですか?
15歳の時家の新築の際に、古い家が新しく変身する様子に大きく心を動かされました。建築家になろうと決心したのですが、大学へ行く余裕がなかったので、アルバイトや1戦千円のボクサーをやったりして、通信教育でデッサンを習いました。
- ル・コルビュジエの仕事に大きく影響を受けたそうですが、どのようにして彼を知ったのですか?
大阪の本屋で見たのです。高くて買えなかったので毎日立ち読みし、売れてしまわないように別の本の下に隠したりしました。彼の作品を見ていて本人に会いたくなり、1965年にシベリア鉄道を使ってパリまで行ったのですが、数日前に亡くなったと聞いてとてもがっかりしました。
- そうしてパリを発見したのですね?
まずサヴォア邸を見に行きました。とても傷んでいましたが、当時の文化大臣アンドレ・マルローがすでに修復の支持を出していました。作家を大臣にするなんて、ドゴールは大したものです。今ではユネスコの世界遺産ばかりが話題ですが、フランスは50年も前にもうそのビジョンを持っていたのですよ。次にロンシャンのル・コルビュジエの教会を見ましたが、中は信者で一杯で、建築がこのように素晴らしい機能を持つことを発見してショックを受けました。またヴォリュームと光が最も建築に重要だということも大きな発見でした。特に光は、建物に生命を与えます。
- パリの後の旅では何を発見しましたか?
地球は巨大で、日本に似ているものは何もないということです。マルセイユからアフリカに渡り、ケープタウンまで行きました。それからマダガスカルから貨物船でインドへ、独立直後のシンガポールは、まだただのジャングルでした。私は建物を作りたいと思っていましたが、この旅以後は、建築によって社会に何かできるのではないかと思うようになりました。
- あなたにとって建築とは?
世界共通の言葉、三角や四角などジオメトリーを扱う仕事だけれど、結果としては人間の心に訴えかける意味のある場所を作らなければならないので、精神的なものでもあります。
- ヒューマニストの建築を提唱しておられますが、あなたの好むコンクリートは固く冷たい素材ですね。
コンクリートはフランス人が1897年に発見して、オーギュスト・ペレが好んで使いましたが、ペレはこれで教会も作っているのですよ。コンクリートはオーガニックの素材ではありませんが、安くて誰にでも手が届く21世紀の素材です。それで素晴らしい物を作る・・全てはそれをどう使うかによると思います。
- シンプルなフォルムの信奉者ですね?
飾りのない裸で、自由なスペースやヴォリュームが好きです。また内と外、建物と自然、個人と世界のつながりや、風、光、影に対してオープンであるよう心がけて仕事をしています。私は光の事ばかり話しますが、影もとても重要なのです。
- 直島では自然を重視するあまり、美術館は半分地下に隠れて、景観を害さないようになっていますね・・
どのように自然と対話してゆくかは、私の重要なチャレンジの1つなのです。
- 世界的な名声を得た今、今後の目標は?
色々な賞をもらっても、私の生活も仕事も変わっていません。しかし年月が経つうちに、ますます私の仕事が社会に与える影響について考えるようになりました。神戸震災や福島の後では、より切実に平和と安全のある物を作りたいと思うようになりました。私の建築で社会に何が貢献できるでしょうか?(エクスプレス誌より)


インタビューには直島の美術館とホテルについて長い部分があるのですが、それは敢えてカットしました。直島について興味のある方は、日本の各種サイトで御覧ください。
ポンピドーとル・ボンマルシェの展示については、それぞれ追って書いてゆきますのでお楽しみに。

8/30/2014

ポーズ・カフェ

Pause-café

8月ももうすぐ終わり、来週から新学年が始まります。
フランスの9月は元旦と同じくらい、もしかしたらそれよりもっと重要な全ての始まりの月で、学校関係はもちろんのこと、美術館や劇場のプログラム、各種催しは9月から翌年の夏までをワンサイクルとして展開します。フランス人の頭の中には、9月から仕事を始め、翌年の夏のバカンスで1年の疲れを癒すという図式が出来上がっているのでしょう。だから手帳も1月始まりと9月始まりの2種があります。
予定よりずっと長くお休みしてしまいましたが、気分を新たに、またブログを続けたいと思います。