" L'Opéra" le filme de Jean-Stéphane Bron
ドキュメンタリー映画 ″オペラ″ が上映中です。どちらかというと政治的なドキュメンタリー専門のスイスの監督ジャンセバスチャン・ブロンの作で、オペラ座の舞台裏を垣間見ることのできる興味深いフィルムです。
演技が終わった後舞台裏で精魂尽きて倒れ込むダンサーや、自分の歌がダメだと落ち込む若い歌手を映しながらも根性ものストーリーにならず、また日本人好みの、みんなで協力して一つのオペラを作り上げるのだ! とかの安易な美談にもならないのは悪くない・・・けど、淡々と何のコメントも無しに色々なシーンがバラバラに出てくることになり、お話としては盛り上がりに欠けていました。そのかわり掃除人や衣装の洗濯係に至るまで、各人がオペラを担う重要な役割を持っていることが感じられます。
オペラの総ディレクター、ステファン・リスネ+そのスタッフが沢山登場します(too much!)。ゼネスト中にその日のプログラムを何とか上演しようとする場面、公演間近に病気で歌えないという歌手からの電話を受け代役を探す場面、バンジャマン・ミルピエの辞職という大嵐の場面・・華やかなオペラの陰に隠れて見えない幾多の障害を映しているのですが、長すぎ、政治ドキュメンタリー臭あり。私としては、直接舞台裏の指揮者や出演者に密接した場面が多い方がよかった。
しかしやっぱり音楽好きには面白い映画。シェーンベルクのオペラに本物の生きた雄牛を登場させる演出があり、その雄牛の ″調教″ は、彼が登場する場面の音楽を毎日繰り返して聞かせることから始まるのです。急に聞いて驚いて暴れないように! フンなどが落ちている柵の中、芸術からは程遠いヌボーとした顔の雄牛の横で、スピーカーからシェーンベルクの曲が流れてくるのは本当に可笑しい。またヘッドフォンを付けたオペラの進行係とスタッフが、舞台裏で舞台に合わせてアリアを口ずさむシーンは、声の良さとかテクニックは別にして、メロディーは二人ともなかなかのもの。素人でも、毎日聞いていると難しいアリアも鼻歌で歌えるようになるのか??羨ましい。
日本でも近く上映が予定されているそうです。
こちらはバレーファンにお勧めする ″オペラ座に挑んだ男″ のタイトルで、今はオペラを去ってしまったバンジャマン・ミルピエの指導風景を撮ったドキュメンタリー。日本では昨年末でしたか公開されましたね。日本語のタイトルはスバリ過ぎて生々しいけれど、原題は relèveルレーヴ(又はロレーヴ)、交代、引継ぎ、継承のような意味です。バンジャマン・ミルピエの才能が光り、ダンサー達の作り出す動きの美しさはもちろんのこと、革新的で柔軟性のある彼の考えと、300年以上続く伝統の間に摩擦が起こってしまう様子が、はからずもドキュメンタリーとして映し出されています。
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