ニコラはフランスでごく平凡な名前ですけど、もし連想ゲームをやったら、フランス人は真っ先に "ワイン" 又は "サンペ" と答えるはず。二コラはフランスで最もポピュラーなワインのチェーン店、サンペはフランスでタンタンと並ぶ人気のキャラクター、プチ・ニコラの生みの親のイラストレーターなのです。因みにサンペは自分の作り出した男の子に、このワインショップの名前を付けたのだとか…
今年は1959年にこの二コラが誕生して60年めになります。
プチニコラのデッサンを書き、名前を決めたのはサンペですが、どうしてもうまくストーリーが考え出せず・・そこでゴシニーの助けを得て、まず新聞社が要望したマンガとして世に出します。しかしサンペはマンガが嫌いな上に、この枠にはまったスペースにどうしても馴染めず。それが1959年、Sud Wuest Dimanche誌にイラスト付きのお話として連載されることになり、大成功をおさめました。
ゴシニーの文章とサンペのデッサンは、子供が本当の子供でいられた時代、子供が大人とは違う世界を持っていられた時代を、ポエジーとユーモアたっぷりに描き出します。ママン達の中で一番chouette(素敵の俗語)なママンは、いつもエプロンをしてキッチンに、パパは ソファーで新聞を読む・・(フェミニストがヒステリーを起こしそうな)平和な世界。
1964年までに5冊のお話が出版され大人気でしたが、ストーリーが繰り返しになってきたとサンペはゴシニーにお話しの打ち切りを申し出ます。たしかに子供たちの世界は、犯罪も政治も入り込まない、学校ー家-たまのバカンスだけの単純な世界で、そこがこのお話の魅力でもあるのですが、5冊読むと新しさはなくなりちょっぴりマンネリに。成功したストーリーを展開し続けるのは楽でしかも儲かる事は、映画や本がナントカ1,2,3と続くのでも証明済み。ここで儲け主義に走って、無理に面白い話を付け加えてダラダラ続けなかったのがサンペの偉いところ。
以後ゴシニーは、これまた大ヒットのカウボーイ、ラッキーリュークや、石器時代を舞台にしたアステリックスなどの超ヒットのマンガのライターとして大活躍し、サンペは、一部手描きの吹き出し以外はイラストのみの大人の絵本を沢山出版します。
私が一番好きなのは上写真のマルセラン・カイユー(日本では "マルセランとルネ" というタイトルのようです)。素晴らしい! イラストとかマンガと侮ってはいけません、これは "ポエム" です・・・
サンペらしいユーモアたっぷりのデッサンやポスターも数限りなく・・
日本でプチニコラはどれくらい知名度があるのかわかりません。タンタンの方が知られているのでしょうか? まだ読んだことがない方はぜひ一読を! なんとなく口元がほころんでしまい、ほのぼのする事請け合いです。
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