Etonnantes cariatides de la rue Boulay
17区のブーレィ通りは、あまり魅力的とは言えない近代建築のアパートが並ぶ、自動車の通りも少ない静かな通り。そこを歩いていると・・・
プチ・セール通りとの角のアパートの壁に、おかしな出っ張りが見えてきます。よく見ると、鹿の頭をした男に、犬が飛びかかっている彫刻。
そう、これはギリシャ神話のアクテオン。
アクテオンと言えば対になるのは女神ディアーヌ・・・で、彼女はこちらにいます・・
突然現れたこの彫刻は、バルコニーの部分を支えるカリアテッド。カリアテッドとは柱の代わりに、屋根やバルコニーなどを支える装飾的な像(多くは女性)で、パルテノン神殿の天井を支える、古代ギリシャの優雅なドレープのコスチュームを着た女性達のカリアチッドが特に有名ですね。
ブーレイ通りのカリアテッドは、狩猟中に女神ディアーヌの水浴び姿をのぞき見してしまったアクテオンが、怒った女神に鹿に変えられ、自分の猟犬に食い殺されてしまったというギリシャ神話のお話が元です。左右が男女、背景もアクテオンのキュービスト的な岩、ディアーヌのアールヌーボー風な植物と、全く異質なのにうまくペアになっていて珍しいし、セクシーで残酷な意味深の神話とは縁遠い、平凡な建物に忽然と現れたカリアテッドも珍しい・・・作者のフィリップ・ルビュッフェは、ブーレイ通りとプチ・セール通り(Petit serfは小鹿の意味)の角なので、鹿のイメージからインスピレーションを受けてこの神話を元にしたのだとか。1987年の作品です。
個人的にはあまり好きな彫刻ではないけれど、ディアーヌのバックの植物は迫力があります。
Cariatides de Philippe Rebuffet "Actéon changé en cerf"
パリ17区、rue Boulay ブーレイ通りと passage du Petit-Cerf プチ・セール通りの角