2/09/2022

デュブュッフェ+ヴィレグレ、ポスター展


Jean Dubuffet et Jaques Villeglé : Une affiche dans la ville 


ジャック・ヴィルグレは、コラージュで知られるアーティストです。ブルターニュのレンヌとナントのボザールで絵と建築を勉強した後、取り壊された壁の瓦礫を彫刻にしてみたり、捨てられた映画のフィルムにべったりと厚い墨をペイントし、乾かし、ひび割れを入れてみたりと特異なアプローチを試み、1949年頃からは、剥がした広告でコラージュを始めました。今のストリートアートの先駆けですね。


ジャン・デュビュッフェは、パリで最初の個展が大スキャンダルを引き起こすなど、アンフォルメル運動のアーティストとして、フランスだけでなく世界の近代美術に大きく影響を与えたアーティストです。ところが赤、黒、青の3色だけ使った線やストライプのマンガチックな繰り返しが、少々退屈な画家、というイメージが私にはありました。ブログを書くために色々調べてみたら、この一見単純なウルループ(デュビュッフェ自身で名付けた3色の線で描かれた不思議な人物)に到達するまでの彼の芸術的なエボリューションについて、沢山の資料がありました。ご興味ある方は、図書館やネットなどで読んでみて下さい。


世界の画廊や美術館から引っ張りだこになったデュビュッフェは、自分の展覧会のポスターは全部自分でデザインしていました。1975年、パリの展覧会のポスターが街中に貼られていたある日、通りがかったヴィレグレがそれに目を止め、剥がして持ち帰り、このシリーズが誕生したのだそうです。今回のデュブュッフェ+ヴィレグレのポスター展は、このようにデュビュッフェのポスターを  "盗み"  コラージュしたヴィレグレの作品と、デュビュッフェがデザインしたポスターやその原画を合わせて紹介しています

上3つとトップの写真は、ヴィレグレのコラージュの一部を拡大したものです。
裂かれたウルループが、外のポスターの中に見え隠れして面白いですね。特に全体がその当時70年代のポスターなので、現代人の目には益々レトロで楽しい作品に。

同じ様な絵/デザインばかりと思っていたデュブュッフェを、こうしてゆっくり見てみると、かなか面白い事を発見しました。

会場はパリのデュビュッフェ財団。めったに一般向けの展覧会をしないためか、財団がパリにある事も知らなかった私は初めてで、実は嬉しい驚きでした。セーブルバビロンに近い賑やかな大通りの門を入ると、突然目の前にシーンと静かな中庭が・・・まるで一世紀タイムスリップで逆戻りしたような錯覚で、思わず立ち止まってしまいました。庭の小道を進むと、奥の白いエレガントな一戸建ての家が財団なのです。この家は、アールブリュットの展覧会を開くためにデュブッフェ自身が60年代に買ったもので、現在は財団が管理し、彼の作品の保管/展示や、専門家に資料公開などしています。

上は中庭奥の財団から、大道りへの出口に向かって撮った写真、下は中庭の小道から、奥の財団に向かって撮った写真

Fondation Dubuffet    137 rue de Sèvres 6e

ジャン・デュブュッフェの塔/ イル・サンジェルマン

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