by Charles Berberian, The New Yorker Nov.30
Le français Charles Berberian dessine la une du New Yorker
今週のザ・ニューヨーカーの表紙は、フランス人のイラストレーター、シャルル・ベルブリアンの描いたパリのカフェのデッサンが選ばれました。13日のパリ連続テロの告発と犠牲者へのオマージュのデッサンです。パリの街角、カフェのテラスに集まる人々、何でもない日常のひとコマだけれど、これがフランス式ライフスタイルの象徴、人生を楽しむこと・・
毎年世界中から、沢山の観光客がエッフェル塔やルーブルを見に来ます。でももしパリにあるものが歴史的なモニュメントだけだったら、こんなに沢山の人々を魅了し続けられるでしょうか? それらのモニュメントのバックグランドに、フランスのアール・ド・ヴィーヴルart de vivre(下参照)があってこそ、パリが魅力的なのだと思います。1月のシャルリー・エブドー事件では、言論の自由、フランス人が最も大事にする ″自由″ が侵され、今回はアール・ド・ヴィーヴル彼らの生き方の根本が踏みにじられました。
13日のテロに関する表紙は、ザ・ニューヨーカーのアートディレクター、フランソワーズ・モーリーからシャルル・ベルブリアンに依頼があり、急きょ仕上げたものだそうです。同紙の看板である表紙のデッサンは、それだけでも展覧会や本が出るほど有名。ベイブリアンのデッサンは、右端の、夜空であるはずの部分が真っ赤なのが印象的です。
フランソワーズ・モーリーはフランス人で、アメリカには ″まじめシリアス″ なマンガが無いと、70年代後半にニューヨークでイラスト/マンガ誌Rowを創立。シャルリー・エブドー事件の時にはなかなか世界の人に理解してもらえなかったけれども、フランスには古くはドーミエやビゴー、近代ではシャルリー・エブドー、ハラキリなどのまじめなマンガが文化の一部として根強いのです。タンタンやサンペのプチ・ニコラなど、フランスの文化を担うマンガも沢山ある。そして1993年からザ・ニューヨーカーのアートディレクターを務める辣腕プレス・ウーマン。彼女自身アーティストで、自らニューヨーカーの表紙のデッサンを描いたことが何度もあるそうです。素晴らしくムードのあるフランス式美人、夫はホロコーストをテーマとしたマンガ ″マウス″ で有名なイラストレーターのアート・スピーゲルマン。
アール・ド・ヴィーヴルはフランス人が好きな言葉で、英語はライフスタイルが一番近いけれど、なんとなくニュアンスが違うような気がします。楽しく生きるための術、アート、というような意味。
The New Yorker