Julieta de Pedro Almodovar au Studio 28/ La plus ancienne salle de cinéma
モンマルトルの丘の中腹に、ストゥディオ26という小さな映画館があります。1928年にオープンしたので28なのだと思いますが、パリに残る最も古い映画館。カンヌ映画祭と同時にペドロ・アルモドバルの新作ジュリエッタを上映したので見てきました。
ジュリエッタ(スペインの発音ではホリエタと聞こえる)は、アルモドバル得意の母と娘がテーマ。母の若いころと現在を演じる2人の女優を中心に、娘、その親友、夫の愛人、家政婦と、殆ど女性ばかりが構成するストーリー。ペネロペ・クルズ主演だったヴォルヴァには及ばないけれど、見ごたえが十分。一番始めのイメージは、ゆらゆら揺れる画面いっぱいの赤・・・何だろうと思っていると、ズームが動いてそれはジュリエッタの赤い部屋着・・以後要所要所にビビッドなカラーが出てきます。カメラのアングルも絵画的で美しい。
ジュリエッタの夫は漁師、父親も特にリッチそうでなく、ジュリエッタ自身も哲学の教師をして一人で暮らしている割には、彼女の住むアパートのインテリアや、シルクのキモノ風の部屋着(真っ赤の無地とマルチカラープリントのと、しわ一つ無いエレガントなのが2つ出てくる)などがおしゃれでハイソ、時間がたっぷりのマダム風で働く女性には見えない。生活の匂いが無いのがちょっと気になりましたが。それとも高給取りの哲学教師なのか?
上はレトロなストゥディオ28の入り口
ストゥディオ28は1948年にロロー家が買い取り、以後現在まで同じロロー家が情熱を注いで家族経営しています。人間味のある映画館だと評判で、現にジュリエッタの上映時間に私の連れが5分ほど遅れてしまったのですが、切符を預かって渡してくれただけでなく、切符の販売数では満員だったので、暗い中で席が見つけられないだろうと、空いている場所にオーナー自ら(だと思うと彼女が言っていました)が椅子を運んで置いてくれて、全部座って見れました!
上はこの映画館をバックアップしたジャン・コクトーのデザインしたランプのある館内。170席。大ヒットした映画アメリープーランの中で、彼女が通うのはこの映画館です。 通りの上手にはモンマルトルに唯一基残る風車が見えるし、下手に下るとアメリーの働いていたカフェがあり、モンマルトルの散歩コースにぴったりです。
下は館内の中庭にテラスのあるカフェ。サラダの付いたキッシュの軽食も食べられます。