ADインテリア主催で、パリファッションウイークのプログラムとして、有名インテリアデザイナーがインスタレーションを発表しています。毎年約10社に白紙委任し、サロン、キッチン、寝室等の生活の場を、一定のテーマ(各自自由に選択)に従ったインテリアで、最高のデザインと現代のエスプリを演出するもの。バロック、ミステリアス、エコロジックなど個性的なインスタレーションの中で、一番私が気に入ったのがこれ、オラ・イト(本名イト・モラビト)のキッチン。
Daniel Burenダニエル・ビュレンのシャープな黒白ストライプの大理石の床をメインテーマとし、それにマッチするグラフィカルな什器はブルーからグレイのトーン。四方の壁には部分的に鏡がはめ込まれているので、グラフィックの迷路に入り込んだような、ちょっと目がくらっとするくらい衝撃的です。
棚にはソットサス、ジャン・プルーヴェ、ル・コルビュジエといった本が置かれ、アクセントの赤や黄色の陶器は50年代ヴィンテージと、オラ・イトが好きそうな物ばかり。そういえばこの什器も、ル・コルビュジエ風です。
さて会場はモネ・ド・パリ、モネ(貨幣、小銭の意味もある)と呼ぶのは、造幣局だから。造幣の技術はフランスでも最も古い手作業の1つで、王様が管理していたので王宮の側、つまりいつもシテ島の周辺にあり、今の建物はルイ15世によって1775年に完成したそうです。もう何年も修復工事が続いていましたが、最近、ギイ・サヴォイのレストランも組み込まれて新装オープンしました。
ヴェルサイユやルーブルのように観光客が殺到しない無名の建物でも、こんな豪華なのがそこら中にあるのですから、フランスの文化財は奥が深いです。もっと軽くいかにもエコロジーな建物や、元工場やアトリエを改造した建物が人気なので、なんとなくパリの町は時代遅れで重~い感じがしてしまいますが・・・でもこんなクラッシックな場所で、超モダンな物を見るアンバランスも悪くないものです。
AD Intérieurs, Monnaie de Paris 11 quai de Conti 6e 9月18日まで
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