11/30/2016

メディアテック・フランソワーズ・サガン



Médiathèque Françoise Sagan


17世紀初頭にサン・ラザール修道会の病院が建てられ、1998年に公立病院として活動を停止するまで約350年間、監獄と病院を繰り返してきたカレ・サンラザールに、オーディオコレクショ完備の図書館メディアテック・フランソワーズ・サガンが去年オープン。総面積4.300㎡(内2.600㎡が一般用)の、パリでも最も大きい一般向け図書館の1つです。交通の激しいマジャンタ通りや東駅がすぐ側なのに、小公園と中庭に囲まれ、ちょと昔々のパリを感じさせる建物が残った周りはなかなかいいムード。
元病院のチャペルだったらしい側面
3つクッションを重ねた形の面白いスツール

座り心地のいいおしゃれな椅子やデスクコーナーが沢山あり、たっぷりとしたスペース、何より本が新しいのが気持ちよく、私のお気に入りの図書館の1つです。

Médiathèque Françoise Sagan   8 rue Léon Schwartzenberg 10e

11/21/2016

バウハウスのエスプリ


L'esprit du Bauhaus/ Musée des Arts Décoratifs

最近デザイン、建築等の準アートの展覧会が、絵画彫刻等純美術の巨匠の展覧会と肩を並べて沢山のビジターを集めています。パリはルーブル、オルセー、ポンピドーなど大美術館から小さなアトリエ美術館まで数えきれないほどあり、それらが毎年平均2回(秋冬-春夏)の特別展を企画。デザイン系の展示も加えると、全部などとても見きれません。そのため美術館同志の競争も激しいのでしょうね、どこも入場者を集めようと素晴らしい企画を展開してくれるのはとても嬉しい事。装飾美術館のバウハウスのエスプリ展は、今最もレアな題材なので、かなりの混雑でした。
エスプリがテーマなので、バウハウスの創立から解散まで、各時期の彼らの思想というかデザインに対する態度とその活動を、順を追って紹介しています。それらについては本やネットで読んでいただくとして、ここでは私が気に入った物だけ、主観的な紹介をしたいと思います。
 

一番好きだったのが1923年に催された第1回目の展示会のポストカード。カンディンスキー、パウル・クレーを始めとするバウハウスを代表するメンバー達の、正に彼らのエスプリの結晶のようなデザインばかりで、しかも適度に古びた色合いがなんとも言えず素適でしばし見とれました。上のカードは、ワイマール駅からハウス・アム・ホルンまでの地図のカードで、バウハウスについて書いた本の挿絵によく登場します。本物に巡り合えて感激!
      
     
左はワイマール校の階段の壁画などのデザイン画、右は、ハウス・アム・ホルンのキッチンの陶器。私が行った時はシーズンオフで閉館中でハウス・アム・ホルンの中が見れなかったのでこれも大満足。


左ジョセフ・アルバースのサイドテーブル、右はマルセル・ブロイヤーのテーブルと椅子に、壁に掛ったカンデンスキーの絵。丸ごと3点セットでそのまま欲しいモノクロの美しさ。
カーヴが美しいルートヴィヒミース・ファン・デル・ローエの椅子、右は解散後38年のウィルヘルム・ワーゲンフェルドの作品。シンプルで機能的な美しいデザイン! ヴィンテージなど手に入りそうもないので、誰か復刻版を出してくれたら、即買いたいデザイン!

芸術家と工芸職人との交流、芸術と技術の融合、異なる分野が協力し合って美しいものを作り出す仲間意識がバウハウスのエスプリの根底に流れているのですね。希望に燃えた若者たちが集まって活動する熱気が写真からうかがえます。やがてナチに追われて解散する短い歴史はまるで花火のよう。でも展示はそこで終わらず、最後に、解散以後バウハウスのエスプリを踏まえて作られた作品を展示したコーナーを加え、そのエスプリが現代に生きていることを示して終わっています。

最後に、会場で見たウィルヘルム・ワーゲンフェルドのシンプルなランプが気に入ったので、後でネットで調べていたら、アレッシア・セレンタノという現代のグラフィックデザイナーの、同じランプのグラフィズムを見つけました。バウハウスのエスプリを踏まえた、ランプの本質を捉えたシンプルで美しいグラフィズムが素晴らしく、ここに紹介することにしました。Bravo and thanks Alessia!
   
Wilhelm Wagenferd Lampe by AlessiaCelentano http://www.alessiacelentano.com/arbeiten/grafik/plakat-bauhaus 

L'esprit du Bauhaus, Musée des Arts Décoratifs 107 Rue de Rivoli 1e 2月26日まで   

11/14/2016

ジャンカルロ・マッティオリのネッソ


Nesso de Giencarlo Mattioli

ピピストレッロと同じくらいこの頃よく見かけるこのランプは、イタリアのデザイナー、ジャンカルロ・マッティオリがデザインしたネッソ。1965年ミラノのサロンでグランプリを獲得し、アルテミッド・ドムス社から販売された70年代を代表するベストセラーです。マッシュルームのようなかわいいフォルム、カサの中央のへこみはおヘソのようでもあり・・カサの下に4つの電球が隠され、明かりを点けても直接目にまぶしくなりません。


2003年からは小型版のネッシーノ直径32cmも販売開始。因にネッソのカサは54cmとかなり大きいので、床に置く事くこともできます。オレンジのネッソを床に置くと、とても70年代風のインテリアに・・

11/08/2016

ジャジーなヴィンテージ・ファブリック

 
 Jazzy vintage fabric

布が大好きです。最近一番気に入っている、というより夢中なのがこのヴィンテージファブリック。大胆なアブストラクトの油絵のようなモチーフと、なんとも言えずステキなグリーンのトーン、パンチが効いているのにうるさくないブルー、イエロー、ブラック・・・見た時すぐ閃いたのはJAZZという言葉、とてもJazzyなデザイン!


丈夫なインテリア用の100%コットンで、ヴァインテージとしては色あせやキズが少なく、大物インテリアに使える十分なサイズがあり、普通法外な値段で売られているのですが、これは奇跡的にお手頃価格だったので、今でも不思議・・・椅子直しをしていると以前書きましたが、ミッドセンチュリー風な椅子をこれで張り替えたいというのが最初のアイデアでした。でもせっかくの大きな布を切ってしまう気になれず、そのままベッドカバーにしています。

縫い代をほどいたら、ずっと隠れていたので真っ白なラベルにこのモチーフの名前が現れました・・・BROADWAY!

11/03/2016

フィリップ・スタルクのカフェ・ザZA/ レ・アール


ZA de Philippe Starck aux Halles

レ・アールのカノぺの下にオープンしたカフェ・ザZAは、フィリップ・スタルクがデザインした、パリには珍しいハイテクを駆使した未来派カフェ。トップの写真を見てください。テーブルの中央に黄色の樹脂(でしょうか?)のベルトと、テーブルにナンバーが付いていますね、これがハイテクのカギ・・

 
ずらっと並んだ100席以上の椅子に、見知らぬ人々と肩を並べてテーブルを囲むターブル・ドット式。席についたらおもむろに自分の携帯を取り出し、メニューをチャージして携帯でオーダーします。オーダーした人の位置は携帯でキャッチされ、プレートに乗ったお料理や飲み物が中央のベルトで運ばれ、自分の番号の前でピタリと止まったら、ベルトコンベアから降ろして食すという仕組み! 食品がスーッと自分の方に動いてくるのを見ているとちょっと可笑しくなってしまい、パリのカフェにいるとはとても思えない! このベルトコンベアは、もしかしてスタルク氏、日本で回転寿司を食べて閃いたのではないか、と思ってまたクスクス笑いが込み上げてしまいました・・
またこのカフェは2000-4000のディジタルの新刊本のストックを持ち、こちらも携帯で選ぶと忽ち印刷してくれる外、本当の本(?)の並んだ本棚も置かれて、お食事の後、ゆっくり席で読書を楽しむことができる文学カフェでもあります。自転車の修理コーナーもあり。
お料理はたいしたことがないみたいですが、名前がゾムレツ(オムレツ)、ザラダ(サラダ)など、名前の始めがZAにしてあるなど、やりすぎというか、スタルク氏が相当楽しみながらデザインしたのでは、と思われました。


ZA    La Canopée, Forum des Halles