6/20/2017

マルセル・ブロイヤー&巨匠達のユネスコ本部



Le siège de l'Unesco construit par les maîtres d'architectes de modernisme

1958年に完成したユネスコ本部は、50年代建築の集約ともいえる建築でしょう。マルセル・ブロイヤー、ピエールルイジ・ネルヴィ、ベルナール・ゼルフュスの3人が設計を担当し、ルチオ・コスタ、ヴァルター・グルピウス、ル・コルビュジエ、スヴェン・マルケリウス、エルンスト・ロジャースエーロ・サリーネン達が協力したのです。押しも押されぬトップだったル・コルビュジエが全部担当する野心を持っていたのに、アメリカからストップがかかって、結果的にはまるでユネスコの趣旨を体現するような、多国籍の建築家の共同作業になったようです。
1954年に工事が始まった時には、このコンクリートへのオマージュとも言えるアヴァンギャルドの建物に、パリジャンの大反対運動が起こり大変だったらしい。そうでしょうねえ、場所はリッチでシックな7区の真中、それに近代建築を見慣れた今の私達でも、美しいと言える建物ではないですから、特に外見は。
メインのY字型の建物に、南側の庭園に突き出た会議室とそれを繋ぐ幅広のパッサージュ、そしてこの図にはないけれど北側の庭に別館があります。





南側ファサードの窓の周りに付いている縦横のメタル等の飛び出しは、クーラーが無かったので太陽を遮る為の仕組み。面白い形の正面入り口は、尼僧のフード、コルネットと呼ばれるピエールルイジ・ネルヴィの作。セメントを型に流して作られたもの。

メインホールの柱。このY型の建物は75のピロティーで支えられています。このビロティーの並んでいる様子は、ダイナミックで美しい。壁のランプが素適。
ソファーや椅子も、修理しつつ、創立当時のオリジナルを大事に使っているそうです。

ユネスコ本部は、沢山の巨匠の作品が建物と融合して、生きた展示がされている場所でもあります。下はホアン・ミロ作の壁。元は野外だったものを、作品の保存を目的に、Y型ビルと会議場を繋ぐパッサージュにしたもの。
ヘンリー・ムーア
アコーデオンと呼ばれる会議場の建物と、カルダーのモビール
会議場内部、椅子は全部これ、かわいい!
こちらは会議場前のホールの面白い形の階段と、カレル・アペルKarel Appelの油絵
会議室前の広いホール。パブロ・ピカソ、イカルスの墜落、コンクリートとマッチして素晴らしい。コンクリートの良い面、美しい面をうまく引き出していますね。
面白い電話コーナー。オレンジ色のカウンターと紫のソファーセットは、建築家オディール・デックのデザイン
アントニ・タピエス

パッサージュ横の庭に作られた、安藤忠雄さんの " 瞑想の場 " 。ユネスコ50周年記念に、日本の沢山の人々の寄贈で作られました。花崗岩の敷石は、被爆した広島のものを除染して使っています。
メインビルの北側には、日系アメリカ人イサム・ノグチ野口勇の平和の庭園と呼ばれる日本庭園が。
庭に面したビルの下には数個の石のスツールが並び、正面の壁には・・

・・・長崎の原爆で破壊された浦上天主堂の瓦礫の中に残っていた天使像。教育と文化を軸に世界平和を目指すユネスコの象徴ですね。テロのニュースが絶えない現在、考えさせられます・・

UNESCO     7 Place Fontenoy 7e   https://en.unesco.org/

0 件のコメント:

コメントを投稿