Brancusi et Erick Satie
彫刻家ブランクーシと作曲者エリック・サティは親友だったのですね。ポンピドーセンターの常設展示室脇の、見逃してしまいそうな狭い通路ばかりを使った、L’œil écoute直訳すると ″聞く目″ という展示で知りました。"目で見る" だけでなく "目で聞く" くらい、20世紀初頭に画家、音楽家、ジャズ、ダンス、演劇、写真家達が交流し影響し合った例を紹介しています。
写真下はブランクーシのヴァイオリンと、彼のコレクションの世界の国々の民族音楽のレコード(写真はそのごく一部です)。ブランクーシは玄人はだしのヴァイオリニストで、作曲までして、その楽譜が残っています。
"親愛なるブランクーシ様、マルセル・デュシャンがあなたの御親切な土曜日の招待を伝えてくれました。喜んで伺いますが、よろしければあなたにお会いしたがっているエリック・サティを同行していいでしょうか。まだ彼の都合が付くかどうかわかりませんが・・・"
写真下は、サティのジムノペディのためにブランクーシが作ったコスチュームを着てポーズするダンサー、リジカ。サティは天才の不運で生前は一般から認められず、極貧で亡くなり、ブランクーシが運動して葬儀や追悼コンサートが行われ、そのプログラムが残っています。
ところで、ポンピドーセンター前広場の片隅にあるアトリエ・ブランクーシは、意外に知られていないのではないかしら。ブランクーシに人気がないのか、3方を壁に囲まれた半地下の一見冴えない建物が見過ごされてしまうのか、ポンピドーの入り口に長蛇の列ができていても、ここはいつもシーンとした穴場、無料なのに。
旧アトリエ
ブランクーシは、少々パラノイアくらいに自分の作品と空間、作品と作品の相互関係を重視し、配置、方向、乗せる台などに固執したそうで、彼のアトリエ全体が一つの作品になっていました。1957年ブランク―シの死後、アトリエをそっくりそのまま再現するという条件で作品は国に残され、最終的にはレンゾー・ピアノ設計の今の建物に1997年(ポンピドーのオープニングと同時)に保存されています。遺志に従って、元のアトリエを再現し、すっぽりガラスで囲み、外の通路から鑑賞するのです。
L’œil écoute Centre Pompidou 4月16日まで