Elles font l'abstraction No.2
間が空きすぎてちょっと新鮮味が薄れてしまいましたが、アブストラクションの女性画家達展の続きです。
アブストラクション/抽象画は1910年くらいから、一般的にはカンディンスキーやモンドリアンが元祖とされていますね。けれど突然彼らが出現したのではなく、1800年代中ごろからそういう動きが色々あり、20世紀初頭に開花したのです。印象派の画家セザンヌも、後半は抽象的な画風になり、後のキュービスト達に大きな影響を与えています。さて女性達はというと、1850年ごろに、当時流行った宗教的なスピリチュアリズムをベースとしたシンボル的な絵を描き始め、彼女たちは自覚していなかったけれど、アブストラクション絵画の先駆けになったというのです。
Georgiana Houghton(左) Hilma Af Klint ヒルマ・アフ・クリント(右) の作品のタイトルはそれそれ The omnipresence of Lord, The Eye of God, The Chiristian Religion, The Mohammedain standpoint 等宗教色が濃厚。どうやら宗教と見なされたから社会に容認されていたらしく、抽象画家として正当に評価されたのは最近だそうです。
何メートルもの大きな薄い布を蝶のように羽ばたき、体でアブストラクション絵画を表現して大流行したベルエポックのダンサーLoïs Fuller、30年代に未来的なアエロダンスを踊ったGiannina Censiなどのパフォーマンスは、当時の画家達に大きな影響を与えました。特に女性画家は舞台衣装、舞台装置からテキスタイル全体の分野での活躍が目立ちます。バウハウスで女性は全員テキスタイル部に配属されたように、『布』は純芸術ではない、女にやらせろというわけ? ともあれ、この分野での女性の活躍は目覚ましかったのです。
Helen Saunders
私の大好きなソニア・ドローネー。コラージュやテキスタイルデザインがとてもステキです。
下はヴァネッサ・ベル(ヴァージニア・ウルフの姉)。彼女は自宅を、当時としてはアヴァンギャルドな、女性の自由な空間を作り出そうと試みたそうです。彼女のインテリアやテキスタイルの写真が展示されていました。彼女はウルフの本の装丁デザインも手掛けています。
Lioubov Popovaの繊細な水彩の衣装デザイン。見とれてしまった美しさでした。
特に皆が注目して足を止めていたのが、モーリス・ベジャールの振付で、2人のダンサーが、マルタ・パンの彫刻を中心に踊るヴィデオ。マルタ・パンは蝶番のようなものでムーブメントのある、人体の動きを思わせる彫刻のシリーズを作りましたが、それが素晴らしいベジャールの振り付けで、ダンサーと一体になって、目を見張るような視覚的な効果を生み出しています。このヴィデオ、You Tubで Maurice Béjart, Le Teck で探すと見ることができます。ジャズとマッチしてすごいので必見です !!
後半1/3は現代の画家達で、そちらの方はあまり面白くなかったので省き、私の大好きな2人の女性画家の作品でブログを終わりたいと思います。ヴィエイラ・ダ・シルヴァとジョーン・ミッチェル。ブログトップの絵もミッチェル(ミッチェルの絵は2つとも1部分だけを拡大しました)です。2人とも、独立してブログに取り上げたい人 !!
Elles font l'abstraction Centre Pompidou 8月23日まで
関連ブログ :
マルタ・パンの浮かぶ彫刻
マルタ・パンとアンドレ・ヴォジャンスキーのアトリエ・ハウス