9/08/2021

ルディ・リッチオッティのパヴィヨン・ノワール/ エックスアンプロヴァンス


Le Pavillon Noir de Rudy Ricciotti/ Aix-en-Provence

エックスアンプロヴァンスの近代建築の2つめは、ルディ・リッチオッティのパヴィヨン・ノワール。国立演出センターと訳したらよいのでしょうか、劇場も組み込まれたコンテンポラリーダンス専門のセンターで、現在プレルジョカージPreljocajバレー団のホームグランド。
  

太いコンクリートの柱が網目のように連なった外枠と、ガラスの組み合わせ。お世辞にも優雅とは言えない無骨なコンクリートと、透明なガラスのスーパーポジション。


真正面から写真を撮るとあまりサマにならないけれど、こうして斜めに撮るとなかなか。よくよく見ているうちに、なんとなくいいなあと思うようになってきました。ガラスに青空や緑の木の葉が写り、それにコンクリートの直線が、鋭角な影を落とします。


そしてこの "いいなあ" という気持ちは、帰ってから見たサイトの写真(下)で確実に・・外から見ると重そうなコンクリートも、こうして内側から見ると、素晴らしい舞台装置のよう。ここで踊るダンサー達には、太陽の光や雲など、一日中変わり続ける、無限に広がる空が背景なのです。コンクリートの直線と影が、現われては消え、移動する、100%天然の演出効果。 
         Photo by Maison co  
逆に夜明りがつくと、中がよく見えるようになります。階段など内側の構造がシャープな影となり、練習するダンサーたちの動きが、光の加減で幻想的に見えて美しいそうです。
壁はあっても内と外が遮断されず、呼応しているのですね。


右が隈氏のコンセルヴァトワール、見えないけれどその延長線にパヴィヨン・ノワール、左がヴィットリオ・グレゴッティのグラン・テアトルと、近代建築が3つ並んだ地区の全様です。真夏のカンカン照りの日だったので、日影が全くないのっぺりしたアスファルトの大広場には閉口しました。旧市街は並木が美しく、街角には沢山の噴水がある事で有名なのに・・・美しくもない鉢植えの木でごまかさないで、ぜひプラタナスの並木を植えてもらいたいものです。

                   
                

エックスアンプロヴァンスは、大小様々の130もの噴水があるそうです。
写真下は、スイスの収集家ジャン・プランクがグラネ美術館に寄贈した、印象派、ポスト印象派の画家たちの作品を集めた、グラネ20世紀美術館とその前の小広場。17世紀建造の元チャペルを改造したもので、エックスの旧市街に溶け込んだ美しい美術館です。

                

このように、エックスアンプロヴァンスはフランスでも有数の美しい町の一つですが、大学があるので若者が多く、またこの地方の商業や文化活動の中心地としても、過去にのみ生きる古都ではありません。新市街が広がり、大型ビルが建つのも現代では仕方のない事、というより、都市が生きて活動するには、必要不可欠かもしれません。問題は新旧の融和をどうコントロールするか・・・コントロールできるか ?

Le Pavillon Noir,  530 Av. Wolfgang Amadeus Mozart, 13627 Aix-en-Provence

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