4/24/2018

ペリエのグラス/ マルタン・ゼケリ


Le verre de Perrier/ Martin Szekely

日常使いの雑貨の中には、時々ハッとするほど優れたデザインのものがあり、集めたくなりますが、ペリエのグラスもその一つ。シンプルで機能的な美しさがあり、ペリエ社にとっては欠かせない宣伝効果も大きいこの優れものは、フランスのデザイナー、Martin Szekelyマルタン・ゼケリのデザインです。
マルタン・ゼケリは沢山のファーニチャーや内装、雑貨をデザインしていますが、一般に馴染みがあるのはこのペリエグラスと、これも知らない人はいないハイネッケンのグラス、MK2映画館の内装など。日本ではレンゾー・ピアノの建てた銀座エルメスの、カフェの内装を担当しました。


そういえばペリエのボトルも素敵ですね。調べたところ、このボトルのデザインはなんと1903年からずっと使っているものだそうです。1863年にミネラルウォーターとしてナポレオン3世に認可され、特にドクター・ペリエが温泉(沐浴とミネラルウォーターを飲む治療で、日本の温泉とはちょっと異なる)として開発していた水源を、1903年に買い取ったイギリス人、ジョン・ハームスワースが、水の "しずく" 型にデザインしたとか。
ペリエグラスはカフェの業務用なのでお店では買えないけれど、ブロカントで一つづつ集めたり、時には半ダース箱入りの工場出しなども見つかります。現在生産中なので、安くてお買い得のグッドデザイン。
このカフェのグラスはextraordinaire(素晴らしい)の文字が入ったデザインで、数が少ないコレクターアイテム。

4/09/2018

ファッション写真革命/ ピーター・ナップ


Peter Knapp/ Dancing in the Street

ファッション写真に革命をもたらした写真家、ピーター・ナップの小写真展 "Dancing in the streetが、オーステルリッツ河岸のレ・ドックス、シテドラモードで開催中です。
ピーター・ナップはエル誌の創刊者エレーヌ・ラザレフに見込まれ、60-80年代に20年以上エルのアートディレクターを務め、革新的なファッション写真を次々に発表し、エル誌を世界の一流ファッション誌にのし上げました。それまではお決まりのポーズで服を見せる為だけの物でしたが、彼の写真のモデル達は長い髪やコートを翻して走り、動き、笑う、新しい自由な女性達です。写真の斜め使いや、グラフィカルなドット、ライン、キューブを組み合わせた写真や紙面のレイアウト、ファッション専門でないカメラマンやイラストレーター等アーティストとのコラボなど、今では当たり前な事を、初めてやったのがピーター・ナップ。


     
by Le Monde

Dancing in the Street, Peter Knapp et la mode 1960-1970 
Cité de la mode et du design, 34 quai d’Austerlitz 13e  6月10日まで

4/01/2018

クリストフ・ミシャラックのパティスリー


Pattiseries Christophe Michalak

今日はイースター、キリストの復活を祝う宗教的な祭日ですが、長い冬が終わり春の訪れ(復活)を祝うお祭りでもあります。お祝いというとどこの国でも、やっぱり皆で集まりおいしい物を食べるのですよね。フランスで欠かせないのが、何かといえばチョコレートを食べたがるフランス人のこと、復活の象徴の卵やウサギの形をしたチョコレートです。なんでもイースターの週末には、フランス人1人平均900gのチョコレートを買うとか、フランス中で1秒毎に57㎏のチョコレートが消費されるとか・・の凄まじさ。復活したキリストも、これを知ったらきっと複雑な心境でしょうね!

そこで私もデザートを買いに、どこにしようか迷った末ミシャラックへ。なんと今回初めて!です。というのは、ガラス容器やプラスティックのカプセル使用、シェフご本人の写真がなにかと目立つ等で、何となく足が遠のいていたため。
イースター仕様の卵のチョコレートと、3つ卵の鳥の巣が乗ったケーキ(写真上)があったけれど、初めてなので定番ケーキにトライ。

カプセル入りが少々興ざめとはいえ、このように垂直型に積み重なったフォルムなので、カプセルなしではとても持ち運びできそうにないケーキ達。買った後は寄り路は止めて、そっと歩いて家に直行しました。


手前からゆず/ライム 、塩バターキャラメルのルリジューズ、ヘーゼルナッツ/プラリネのパリブレスト、ピーカンナッツ/チョコレート。メディアが騒ぐだけありますね、全部、本当に美味しかった。どれか1つを選ぶとしたら、とてもとても悩むけれど、ルリジューズ・・かしら・・


Michalak Paris   8 Rue du Vieux Colombier 6e

3/27/2018

ブランクーシとエリック・サティ


Brancusi et Erick Satie

彫刻家ブランクーシと作曲者エリック・サティは親友だったのですね。ポンピドーセンターの常設展示室脇の、見逃してしまいそうな狭い通路ばかりを使った、L’œil écoute直訳すると ″聞く目″ という展示で知りました。"目で見る" だけでなく "目で聞く" くらい、20世紀初頭に画家、音楽家、ジャズ、ダンス、演劇、写真家達が交流し影響し合った例を紹介しています。
写真下はブランクーシのヴァイオリンと、彼のコレクションの世界の国々の民族音楽のレコード(写真はそのごく一部です)。ブランクーシは玄人はだしのヴァイオリニストで、作曲までして、その楽譜が残っています。

"親愛なるブランクーシ様、マルセル・デュシャンがあなたの御親切な土曜日の招待を伝えてくれました。喜んで伺いますが、よろしければあなたにお会いしたがっているエリック・サティを同行していいでしょうか。まだ彼の都合が付くかどうかわかりませんが・・・"  

写真下は、サティのジムノペディのためにブランクーシが作ったコスチュームを着てポーズするダンサー、リジカ。サティは天才の不運で生前は一般から認められず、極貧で亡くなり、ブランクーシが運動して葬儀や追悼コンサートが行われ、そのプログラムが残っています。

ところで、ポンピドーセンター前広場の片隅にあるアトリエ・ブランクーシは、意外に知られていないのではないかしら。ブランクーシに人気がないのか、3方を壁に囲まれた半地下の一見冴えない建物が見過ごされてしまうのか、ポンピドーの入り口に長蛇の列ができていても、ここはいつもシーンとした穴場、無料なのに。


旧アトリエ
ブランクーシは、少々パラノイアくらいに自分の作品と空間、作品と作品の相互関係を重視し、配置、方向、乗せる台などに固執したそうで、彼のアトリエ全体が一つの作品になっていました。1957年ブランク―シの死後アトリエをそっくりそのまま再現するという条件で作品は国に残され、最終的にはレンゾー・ピアノ設計の今の建物に1997年(ポンピドーのオープニングと同時)に保存されています。遺志に従って、元のアトリエを再現し、すっぽりガラスで囲み、外の通路から鑑賞するのです。

            

L’œil écoute Centre Pompidou 4月16日まで

3/16/2018

シャーリー・ジャッフの画集


Shirley Jaffe

知人のアトリエの、画集やアート雑誌、カタログが雑多に混じりあった本棚で、シャーリー・ジャッフの画集を見つけました。シャーリー・ジャッフはアメリカ人で、1950年代にジャーナリストの夫の仕事でパリに来て以来生涯をパリで過ごした、当時のアメリカ抽象表現主義を代表する画家だそうです。パリ美術界で高く評価され、現在世界の有名美術館に作品が展示されていますが、生存中にパリで大きな展覧会が開かれなかった為か、一般の知名度が少ないのか、初めて聞いた名前。南仏ではよく展覧会が開かれ、この画集もセレの近代美術館の出版です。


明るいトーン、ユーモラスと言っていいくらいの楽しいフォルムが、まるで音楽に乗ってリズミカルに踊っているような絵。童話の挿絵か、インテリアのデザインかなと思ってしまう、身近さ、暖かさを感じます。しかしとてもソフィスティケートでエレガント。すっかり大ファンになってしまいました。



シャーリー・ジャッフ 

3/06/2018

ヘリット・リートヘルトのシュレーダー邸/ ユトレヒト

Rietveld Schröder House à Utrecht, Pays-Bas

バラバラに書いていたオランダ編の最期はユトレヒトのシュレーダー邸です。
シュレーダー邸は、オランダの家具デザイナーで建築家のヘリット・リートヘルトが設計し、デ・スティルの代表的建築として、ユネスコの世界遺産に指定されています。上の写真を見てもわかるように、まるでモンドリアンの絵をそっくり建築に映したような家。正面玄関を入ると、1階の左手にキッチン(写真下3つ)。リートヘルトのジグザグ・チェアーと、それにマッチしたテーブルがありました。

写真下のドアの奧がメイドさんの部屋。1924年完成とは思えない、古さを感じない食器棚!
写真下3つは1階西側の書斎で、一時リートフェルトが仕事場として借りていたことがあるそうです。ご主人を亡くしてこじんまりした小さな家に住みたいというシュレーダー夫人の意思で、この家はとてもコンパクト。でもル・コルビュジエのサヴォア邸マレ=スティヴァンスのカヴロワ邸などの大邸宅と同じに衛生面には神経質で、各室に洗面台があります(カヴロワ邸は洗面台どころか、各室にバスルームがありましたけど・・)
玄関正面の2階に上がる階段には、電気のメーターと、電話用のベンチ、家族各々のレターボックス。
 階段を上がったところ。リートヘルトのデザインした " 赤と青の椅子 " の世界そのもの。
2階の居間兼ダイニング。奥のグレイの壁の向こうは長男の寝室で、この壁はスライド式。娘たちの部屋の壁もスライドして、全部取り払うと、居間と繋がった1つの大きなスペースになったり、必用に応じて好みのスペースに変えることができます。パリ郊外ムードンのテオ・ファン・ドゥースブルフの家でもお話したのと同じ仕組みでした。

ダイニングの窓は、家の角の部分から壁の幅いっぱいに開けられる構造で、より明るく、また外に広がる田園の景色を十分に楽しめるように配慮されています。残念ながら今はすぐ前を県道が通ってしまいましたが、幸いメインの住居スペースが2階になので狭苦しい感じはしません。

長男の寝室

2人の娘の寝室
小さい家なのでバスルームは1つだけ。日本のバスタブに似ていて面白い。
県道の向こう側 Erasmuslaan にリートヘルトの設計したアパートが2軒あります。ソシアル・ハウジングと書いてあり公営住宅なのでしょうか、公開はしていませんが外から見ることができます。下写真はそちらへ行く時に見た県道下のトンネルの壁に張ってあったタイル。赤と青の椅子などのデザインチェアーを集めたデルフト(かしら!)の青タイル!

Rietveld Schröder House   Prins Hendriklaan 50, Utrecht, Netherland
運河に囲まれたユトレヒトの旧市街の外約2kmにあります。ユトレヒト中央美術館Centraal Museumから東に向かって歩いて約25分ほどの場所。床の保護のため入り口で靴にカヴァーをしての見学です。案内兼監視役の方が付いてスライドの壁を動かしたり窓を開けたり実演してくれ、説明はオーディオガイド(日本語あり)。
事前に以下の中央美術館のサイトから予約が必要です。
https://centraalmuseum.nl/en/visit/locations/rietveld-schroder-house/
尚同じチケットで、同日に中央美術館にも入れます。