8/30/2022

ル・コルビュジエのサヴォア邸/ ナタリー・デュ・パスキエのインスタレーション 

Nathalie Du Paquier expose à la Villa Savoye de Le Corbusier


パリ郊外の、RER線の西の終点ポワシーのサヴォア邸では、ル・コルビュジエの代表作のこのヴィラを背景とした、興味深いインスターレーションが時々企画されます。
この夏はナタリー・デュ・パスキエを招待した、白紙委任(フランス語でカルト・ブランシュ)展。

ではどういうインスタレーションか?というと、上の写真はナタリー・デュ・パスキエの絵と立体が組み合わさったコンポジション。下の写真はそれをサヴォア邸の廊下に置いた様子です。この場合コンポジションの台の部分、白いラインの入ったピンクの棚も、もちろんデザインの一部に含まれているのです。サヴォア邸の内装のドア、窓、戸棚などの直線、曲線、色などに呼応して、全体で面白いハーモニーが醸し出されます。


壁の色、ドアの輪郭、手すりや階段、スロープ、窓から入る光線の幾何学模様、それら全体からインスパイアされたナタリー・デュ・パスキエの作品は、とてもサヴォア邸にマッチしておしゃれでした。
    


サヴォア邸は、現代アートをインスタレーションするのに最適の器ですね。何から何までそれだけで "絵になる" 内装なのですから、それに負けない個性を持ち、且つその美しさをうまく引き出すアーティストとのコラボならば、ぜひ続けてもらいたいもの・・・

    

Carte Blanche à Nathalie Du Pasquier "Chez eux "  9月25日まで
Villa Savoye 82 Rue de Villiers, 78300 Poissy

ル・コルビュジエのサヴォア邸/  ポワシー

8/17/2022

スタインベックの本

Un Américain à New York et à Paris/ Steinbeck

" ニューヨークとパリのアメリカ人 " という本の話が雑誌に出ていたので、面白そうだと思い図書館で探しました。本という物はどんどん増え続け、古本下取りの書店に持って行き始末するのは心が痛み、重くて大変でもあるので、私はほとんどの本を図書館で借り、なるべく買わないことにしているのです。
図書館のネットで本はすぐに見つかりましたが、普通のパリ市図書館でなく "中央倉庫" にあると出ていました。予約して数日後に受け取ったのがこの本 !


なんと50年代の素適な本、ヴィンテージ なイラストが最高 !
よく調べてみたら、中央倉庫とは貴重な本、本棚に置いて沢山の人の手に触れては壊れやすい本等をストックして、希望者だけに貸し出す所なのだそうです。図書館のカードを持つ会員がオーダーさえすれば、その人の最寄りの図書館まで配達してくれます。倉庫の本は下写真のように補強のために古びた茶色の装丁が加えてありましたが、中はトップの写真の黄色い表紙のペーパーバックスのオリジナルです。


印刷年月日、印刷会社、1-30までナンバー入りの初版(プラス作家用の数冊)、当時有名な製紙工場の紙が使われた等々がちゃんと印刷されていました。1956年の初版本らしい。ナンバーはどこに打ってあるのか見つかりませんでしたが・・・


スタインベックが晩年スーパースター作家という身分でパリに滞在した時に、フィガロ紙からパリについて書いてほしいという申し出があって書かれたそうで、1956年にジュリアード社から、もちろんフランス語で出版されました。でもそれ以後再販されず、英語版も出なかった珍しい本だそうです。

8/08/2022

ムシャラビエ/ アラブ世界研究所

 

Le moucharabieh/ L'institut du Monde Arabe

セーヌ岸に建つアラブ世界研究所は、ジャン・ヌーベルを一躍スター建築家にした1987年建造の建物で、もう沢山の専門家達に書き尽くされていますが、moucharabiehシャラビエと現代建築のミックスが面白く、敢えてブログに取り上げてみることにしました。

これがアラブ世界研究所の正面広場のファサード。このガラスに見える細かいモチーフが、現代のムシャラビエです。
これが内側から見たところ。アルミニュームの階段やエレベーターと相まって、素晴らしくメカニカルな美しさです。


ムシャラビエとは中東の国々に見られる伝統的な窓で、熱い太陽を遮りつつ風通しのよい透かし模様のデザインです。外からは見られずに内側から外を見ることができるので、イスラムの女性達を隠す役目も。もちろん装飾的価値も大きかったのでしょう。
この伝統的ムシャラビエを、ジャン・ヌーベルはアラブ世界研究所の南側ファサード一面に取り入れたのです。でもぐっと現代的で超クールなメタル製 !

よく見ると細かい金属のパーツが精巧に重なりあい組み合わさっているのは、一つ一つがカメラの絞りのように開閉して太陽の光の量を加減し、室内の温度調整ができるようになっているのです。すごいアイデア、伝統と近代のテクノロジーとのミックス、かつ美しさも忘れていないのはさすがですね。
ただし一部のパーツに故障が起こり、そのため全体の開閉が止まってしまい、最近修理してまた動くようになったと聞いています・・建設から30年が経っているのですから、最近のテクノロジーはまた格段に進歩しているはず・・・


以前ブログで取り上げたマルセイユの、ルディー・リッチオッティの地中海文明博物館も、ムシャラビエのバリエーションでしょうか。地中海の波と、マルセイユと密接な関係の対岸のモロッコやチュニジアのイメージが混じりあった、これも本当に美しい現代のムシャラビエですね。
これはシテ・ユニヴェルシテール、パリの大学都市に2020年に建ったばかりのチュニジア館。ゆるくカーヴを描く建物の壁を、アラビア文字をデザイン化したムシャラビエが包んでいます。学生たちの部屋は、フィルターを通したような太陽が美し影を落とすそうです。

この他個住宅人用にも、リビングの仕切りやバルコニーのデザインに、近代的にアレンジしたムシャラビエのバリエーションを最近よく見かけます。

ルディ・リッチオッティのミュセムMucem地中海文明博物館/ マルセイユhttps://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2021/09/musem.html

8/01/2022

FRACフラックの壁紙

Papier peint / FRAC Romainville


先週末のブログ 、フェミンコ財団とコミュヌマについて書いた時に登場したFRACフラック、イルドフランスの自治体が運営するコンテンポラリーアートセンターの、展示スペースの半分をカヴァーしていた壁紙がちょっと素敵だったので一言追加します。多分フラック所蔵の沢山の作品の写真や絵画が、細かくジオメトリーのモザイクの様に印刷されたもの・・ちょうど展示されていた60年代の素適な静物画とのハーモニーがとてもモダン!

FRAC île-de-france, les réserves, romainville
Komunuma
43 rue de la Commune de Paris,  93200 Romainville

7/23/2022

フィミンコ財団とコンテンポラリーアートセンター・コミュヌマ

 

Fondation Fiminco et Le Centre d’Art Contemporain Komunuma

パリでアートギャラリーが集まっているのはサンジェルマンデプレ、マレ、サントノレなどですが、それらの既成の地域を脱して、パリ郊外にサテライトのように、見逃せないアートセンターが少しずつ増えています。以前このブログでも取り上げたパンタンのロパック画廊はその先駆けです。それらサテライトは正直あまりぱっとしない北西部の町に多く、それは多分地価が格段に安いことと、修復すれば個性的な空間の創れる、買い手の無い古い工場や倉庫が沢山残っているから。文化的なグレードアップを望む町からのバックアップもきっと大きいのでしょう。
Komunumaコミュヌマ・コンテンポラリーアートセンター/Fimincoフィミンコ財団も、パリの "ブルックリン" を目指して2019年、郊外のロマンヴィルにオープンしました。


ずっと内部が見たいと思っていたのにCovid等でなかなかチャンスがなく、今回はレジデントという、援助を受け一年間アトリエ使用をしていた新人アーティスト達の、年度末の展覧会が開かれていたのを利用して内部を見てきました。1911年に製薬会社の工場として建てられた、アールデコのレンガのシャープなデザイン!

フィミンコ財団のメインビルディングには、展覧会場とオフィス。
"ロ" の字型に、中庭を囲んで主要の建物が集まっています。写真左はフィミンコ、写真右はギャラリーが集まるコミュヌマ(コミュニティーの意味)の入る建物。写真下、各ギャラリーにも、オフィスはもちろん、展示スペースがあります。

写真左はFRACフラックという、イルドフランス県の運営するコンテンポラリーアートセンターが占める建物からの眺め。左に見えるのはレジデント達のアトリエと住居の入った建物。写真右は中庭に面した素敵なカフェ。

以下の写真はフィミンコの展示スペース。1階と、特に2階は驚くほど広く天井の高いメインホール。一部に中2階が付いています。すごいヴォリュームに感激!どんなインスタレーションも展示可能ですね。格子の巨大な窓から入る光が壁や床に映り、展示された作品が、実際よりよく見えてしまったり・・・

工場の名残、建物を貫く炉

周りには同様のレンガの工場が沢山残り、一部は壊された瓦礫が残ったまま、一方近代的でテラス付きの住み心地の良さそうなアパートも建っていたりと、下町ロマンヴィルに、中洲の様に突然現れたデザインな一角。本当にブルックリンに変貌するか、失敗して放置されるか⁉ Covidで2年間不運でしたが、大きな可能性を持っている地区で楽しみです。

Fondation Fiminco,   43 Rue de la Commune de Paris 93230 Romainville
メトロ5番線 Bobigny - Pantin - Raymond Queneau 
地下鉄で行けるといっても元工場地帯の郊外です。駅から殺風景で車の多い道路を15分くらい歩かなければなりません。
展示の内容、オープニングの曜日と時間をよく確認してから行きましょう。

タダエスロパック・ギャラリー/ パンタン散歩