Design démocratique de coopérative danoise de distribution FDB
メゾン・ドュ・ダネマークが創立60周年を記念して、デンマークの一般大衆用にデザインされた家具の展示(+販売)をしています。
40ー60年代は、アルネ・ヤコブセン、フィン・ユールなどがデンマークデザインの黄金期を築きましたが、彼らの家具は安いものではなく、エリート層が顧客でした。一方コペンハーゲン王立家具アカデミーの教授だった建築家カーレ・クリントが、1924年頃から、機能的でエルゴノミックな、大衆向けの家具作りを始めました。アメリカのシェーカー家具、イギリスのウインザー・チェアー、スエーデンのパインウッド家具などのスタイルを研究して作られたシンプルなもので、家具職人の協同組合コーポレーションFDB形式で発展し、クリントに師事しアシスタントでもあった初代ディレクター、ボーエ・モーエンセンから4代の間、デンマーク中の家庭で愛用されました。1942~67年までの、この展示会のタイトルがズバリ示すように、デンマークのデモクラティックなデザインの家具達が展示されています。
上ボーエ・モーエンセン1952年の椅子SKAL、下ポールMヴォルター60年代のチェストF17
上アイヴァント・ヨハンセン50年代椅子J67、下同テーブルR103
FDBの機能主義、モダニズムの家具は、それまでの装飾が多く、詰め物をして布を張ったクラッシックな家具に比べて、2DKの当時の新興住宅にマッチするように作られ、新しいライフスタイルをも提唱するコンセプトだったようです。安価でカタログ販売も可能なので、各家庭のバジェット次第で家具を少しずつ買い足してゆけるなど、大戦後の若いカップルが借金せずに買えるメリットも。教会や学校などの公共施設にも沢山使われました。カーレ・クリントにとって重要だったのは、家具職人の木工テクニック、素材(ほとんどがデンマーク産の木材)、工房の作業の3つ。大きな工場システムは考えていなかったのだそうです。1927年に木工職人達が年に1回展示会を催すようになり、以後1966年まで、デザインを重視したデンマークのインダストリー家具の発展に大きく貢献。1933年からは年1回、デザインコンクールも開かれるようになりました。
FDBの活動は25年続きましたが、協同組合は徐々に世界の動きから取り残され、60年代後半から、機能主義と木工の技術は、ポップアートとプラスティックに押され衰退。1968年、イケアの最初の店舗がデンマークにオープンした同じ年、FDBのデザイン工房がクローズし、1980年には、アジアや東欧の家具に押されて工場も売却。
ボーエ・モーエンセン40年代テーブルC24
2013年からCOOP(元FDB)として復刻版を販売。デンマークのインテリアデザインショップ、ヘイでも復刻版が出ています。
J46, J67 COOPの 2013年復刻版
右フォルケ・パルソン1967年椅子J77、ポール・ボルター1951年テーブル D20復刻版COOP2013
ポール・ヴォルター50年代椅子J107復刻版Hay2011
ボーエ・モーエンセン1952年椅子J523復刻版COOP2013
ポール・ボルター1951年テーブルD20 復刻版COOP2013
上のヨーゲン・ベクマークが50年代にデザインした椅子J108は、外国への販売を前提に、コンパクトなパッキングで、消費者が簡単に組立できるスタイル。イケアを作ったのはスエーデンでも、アイデアソースはデンマークのFDBだったのです!
ハンスJウェグナー1944年ロッキングチェアーJ16
ポール・ヴォルター50年代ホワイトチェアー
ボーエ・モーエンセン1947年椅子J39、シェンカーテーブル
リボンを巻いたデザインのFDBのロゴ
展示会場の入り口には、テーブルの上に当時の沢山のデザイン建築雑誌が広げられ、FDBの椅子に座って閲覧できます。素晴らしい資料!
Meubles pour le peuple 7月19日まで
Maison du Danemark 142 Av. des Champs-Elysées 8e
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