2/14/2016

若きウェルテルの黄色のベスト


Le gilet jaune de Werther/ L'opéra de Massenet

先日観たマスネのオペラ ″ウェルテル″ で、ウェルテル役のピョトール・ベクザラの衣装は、濃いブルーのジャケットに黄色のベストでした。あまりにも有名なヨナス・カウフマンのウェルテルの衣装も黄色のベストだったので(上の写真はそのDVDのカバーの一部)、演出家が同じだからと思っていました。後になってオペラ座のコスチューム責任者の方の談話を読みゲーテの原作 ″若きウェルテルの悩み″ が発表された当時、熱狂的なウェルテル・ブームになり、ウェルテルのナイトブルーのジャケットに黄色のベストを着るのが大流行りしたことを知りました(それに自殺も!)。この服装はロマン派の象徴のようになり、18世紀後半のファッション全体にも大きく影響を与えたのだそうです。純文学からブランシェ・ファッションが生まれた時代・・優雅ですねー。

ところでフランスでWertherは、最後のRを発音しないでヴェルテーと曖昧に聞こえます。しかもオペラはフランス人マスネ―が作曲し、美しいフランス語で歌われるのです。そのためにか原作はゲーテで、実らぬ恋にピストル自殺するのに、オペラのヴェルテーと小説の若きウェルテルの悩みが同じものとは、全くマヌケにも長い間思い至りませんでした。休憩時間に誰かがウェルテルと発音しているのが聞こえて、ハッと気が付き、そのあと笑いが止まりませんでした。原作はドイツ語だということを考えなかった私の大ミス。でもアルファベットの国民が、固有名詞を勝手に自国語に変えてしまうのも困りものです。例えばヴェルディのオペラ、ジョバンナ・ダルコって誰かというと、ジャンヌ・ダルク!

今回のシャルロット役のエリナ・ガランチャは、私には超の付く最高と思えましたが、ある批評の中にフランス語が不明瞭だと出ていました。フランス人はオペラの発音特にフランス・オペラには厳しくて、まあそれがポエムの美しさの決め手なので当然ではあるけれど、外国の歌手にも容赦しません。それだったら ″ヴェルテー″ もやめてほしい・・・でもウェルテルにしたらフランス・オペラではなくなるし・・ややこしいですね、

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