3/30/2016

メッヘレンにて/ ベルギー

古いものと新しいものとが混じりあったメッヘレンの街角
Escapade Belgiqu/ petites réflections sur Mechelen, 

ブリュッセル駅に22日朝8:10着。そのままメッヘレンに行き一日散策し、夜はブリュッセルに戻り友人宅に泊まる予定でした。空港テロの数分後でまだ報道されていず、電車も平常ダイヤ、大事を知らずに電車に乗り、メッヘレンで連続テロのニュースを知りました。その頃にはブリュッセル行き、アントワープ行き両方向とも電車がストップしてしまったので、急きょメッヘレンに1泊することに。
美術館やモニュメントが非常時で全部閉まっていたので、ゆっくり散歩しながら見た事を書いてみたいと思います。
 

メッヘレン(フランス語ではマリーン)は古くから毛織物が発達し、中世にはフランドル地方の主都として栄えました。マルガリート・ド-トリッシュが摂政として統治した16世紀前半に最盛期を迎え、その後宮廷がブリュッセルに移り衰退しました。一番栄えた1400-1600年代の建物が旧市街のベースなのでとても古く、また戦争でだいぶ壊されたそうで、当然修復され、古いレンガと、コンクリートやスチールなどの、新しい建築資材を使った新旧のミックスが違和感なく、新鮮で逆にとてもおしゃれです。ベルギーやオランダはフランスに比べて、古い建造物を新しい素材で修復増築するのがうまいなあといつも感心してしまいます。パリは町の景観を保つために、余程でないと建物を新しく建て直せないので、公共の建物など外枠(壁)だけ残して、中を空にして中だけ新築するという芸当をやったりしています。
  
旧市街には沢山の古い建物が残っていても、周りは工場や新建築が沢山あり、ブルージュのような博物館的古さはないので、ベルギーの庶民の生活が感じられ、ツーリストも少なくほっとする町。(写真をクリックすると拡大できます)
    
上は古い教会をリフォームしたアートセンター。教会堂の中はコンサートやイベントのできるホールに使われています。

   
お茶に入ったマルクト広場近くのカフェは、赤レンガの恐らく1600-1700年くらいの建物に、内装は下写真のように、古いままの天井窓を活かしながらも、すっきりした近代的なデザイン。カフェの名前がBeansビーンズなので、コーヒー豆の大きな写真が壁一杯に。



    
  
ここのレモンタルトは、タルト台が最高!砕いたクッキーに、レーズンやナッツを細かく刻んでミックスして作ったみたいでとても美味。
 
上は町の中心マルクト広場の市庁舎。ちょうど夕日が映えて美しいのを見ながら、広場のテラスでこの町名物のビールGouden Carolusを賞味。あまり英語がうまくないギャルソンが魚のフライだというので注文したタパスは、なんと西インド諸島のアクラ(タラのマッシュのから揚げ、確かに魚だけど・・)。本家では入れないハーブ入りで熱々に揚げ、ビールと最高にマッチ。でもおつまみどころか夕食の量・・


        ホテルの大窓
小さい町なのでもともとホテルが少ないらしく、インフォメーションセンターで調べてもらったら高級ホテル1室と、町で一番安い2つ星1室しか残っていない・・インフォの親切な女性が、とても清潔で推薦すると保証してくれた安い方に決めたのが大当たり。建物の外見がぱっとしないだけで、部屋は誰も使ったことがないような超清潔、機能的で新品の水回り、ブラックとホワイトでシャープに統一したデザインインテリアの広々とした部屋、これが一番安いホテル? 素晴らしかったのは上写真の、壁一杯に大きくカットされた窓。正面の教会があまりに美しく(夜は照明が)中が丸見えになるのもかまわず、カーテン開け放しで過ごしました。部屋の明かりは消しておいて・・
    
最後に、何度見ても関心するベルギーの鉄道の駅について。
上はメッヘレン駅で、写真ではよく見えませんが、相当使い込んだホームの寒さ除け待合室とベンチ。60?80?年代のデザインか、レトロと言えばレトロ、なんとなく可愛い。よくまだ使っていると感動してしまうくらいで、ベインチなど長年の摩擦で黒光りしています。ブリュッセル駅も、新幹線のホームが新しい以外は、タイルのデザインがこれと同じでオンボロ。車窓から見たある駅では、階段の手すりや待合室の金属のフェンスが、錆びてボロボロで今にも崩れそうなのがありました。見栄を張らずに使えるものはとことん使う、見上げた経済観念です。

3/26/2016

無題

Sans titre
ベルギーの古都メッヘレンとブリュッセルに行ってきました。
22日早朝ブリュッセル・ミディ駅に着くと、事故の為空港行きの電車は本日運休ですとのアナウンスが流れています。
電車が1日中ストップするほどの事故? テロじゃないわよね・・・一瞬そんな考えが頭をかすめたまま、メッヘレン行きの電車に乗り継ぎました。けれどメッヘレンに着く頃には携帯が鳴りだし、家族や友人達からメッセージが次々に送られて、空港と地下鉄の連続テロのニュースを知りました。

今まではめったに見たことのなかった黒リボンの弔旗・・・それをこんなにも度々見ることになろうとは! 
そのたびに無実の沢山の人達の尊い命が犠牲になっているのです。怒り、そして無力感・・・

3/16/2016

ヴィラ・ワシリエフ


Villa Vassilieff/ Groupe Mobile

以前書いたモンパルナスのアトリエ小路は、不動産業者達に売られて壊されないように、パリ市が一軒一軒と買い集めていたそうで、最近その一角が、ヴィラ・ワシリエフ・アートセンターとしてリニューアル・オープンしました。この建物の由来については、以前のブログ(こちらをクリック)を見てください。
マークとベラ・シャガール、キスリング

オープニングを記念して、今マーク・ヴォーという無名カメラマンの作品の中から、一部をセレクションして展示しています。マーク・ヴォーの本業は大工で、第一次大戦中に負傷した後カメラを習い、1920年から60年代まで、モンパルナスの芸術家達やパリを撮り続けた人だそうです。彼の残した写真はなんと25万枚に及び、そっくりポンピドーセンターの保存室に30年以上眠っていたものを、今回初めて公開されることになりました。この展示の責任者の言葉を借りると:  ポンピドーの保存室でこれらの写真を手にした時、まるで当時の芸術家たちの生活や仕事ぶり、また第二次大戦で失われてしまった作品の数々が、突然生き返って目の前に現れたような気がしました・・・ 
マーク・ヴォーの撮ったカルダーのモビール
明るく広い2階は、現代アーティストの展示と、エコール・ド・モンパルナス(EdM)の作品がミックス。壁にこのアトリエの実物大の写真が貼られ、その前に本物のインテリアが置かれ、面白い3次元の空間が。これも作品です! EdMの出版物があちこに配置され、閲覧可。
 
各所にゆっくりできるコージーコーナーが。
下は黒いラッカー仕上げの木枠に、ビニールコードをはめ込んだシンプルなヴィンテージのサイドテーブル。すごくかわいい!
 アトリエのあちこちに作品が展示されていますが、まるで個人の家に飾ってあるように配置されているので、作品を身近に感じられ、大美術館にないホッとするくつろぎが・・ それに新旧作品のミックスが楽しい。

マーク・ヴォーの写真の中に、空になったルーブルの写真がありました。ナチ占領下のルーブルの疎開について(こちらクリック)以前書きましたが、きっと彼は画家仲間から疎開の噂を聞いて、ルーブルまで行ってみたのですね。
どの額に何が入っていたか、白墨のようなもので書いてあるのが見られます。

マーク・ヴォーの膨大な写真の中には、失われてしまった作品はもちろん、無名で終わったけれどEdMを支えた芸術家達、彼らのミューズやモデル、特に消えてしまった女性芸術家達の情報が沢山あるようです。残された膨大な写真を、どのように仕分けし保存するかが検討され、沢山ありすぎで難問のようですが、いつの日か大きな展覧会が開かれるのを期待しましょう。

パリ市からここの運営を任されたグループBétonsalonは、ヴィラ・ヴァシリエフの歴史を重視し、その根底にあった ″多国籍のアーティストたちの集まる空間″ を目指して、今後若いアーティスト達の支援を続けるようです。単なるレトロ趣味で終わらずに、ビデオなどをうまく使った新しい見せ方にとても好感が持てました。

Villa Marie Vassilieff, Groupe Mobile 7月2日まで
Chemin du Montparnasse  21 Av. du Maine 15e

3/07/2016

リサイクルのデザイン・カーペット Re Rag Rug


Les tapis designs avec des matières recyclées: Re Rag Rug

工場でゴミとして捨てられる端切れ、古いTシャツなどのテキスタイルをリサイクルして作ったカーペットの展覧会が、マレのスエーデンセンターで開催中です。イケアや、ホーム・リネンのブランド、リニュームで活躍した2人のウエーデンの女性デザイナーの作品で、彼女たちの経験を活かし、ニッティング、ソーイング、アップリケ、マクラメ、刺繍など、機械を使わない手仕事で作られた12点のユニークなカーペット達。
素材はテキスタイルの ″ゴミ″ でも、その限られた素材から、最高のデザインを作り出すことが一番のキーポイント。
また手仕事なので広いスペースなしの家内工業が可能なため、これらのテクニックのノウハウをアジア・アフリカに伝え、そこに手工業を起こすことが可能になります。

                                   
                                   
数々のテクニック(クリックして写真を拡大して見てください)。
 
デザイン賞を受たり、香港のレーンクロフォードや、有名ホテルなどから特注を受けるなど注目されています。
Expo Re Rag Rug    Institut Suedois   11 Rue Payenne 3e   4月10日まで 
https://paris.si.se/agenda/expo-re-rag-rug/
Re Rag Rug by Studio Brieditis & Evans http://www.brieditis-evans.se/

3/02/2016

スエーデン館のかわいいポスター


Une affiche sur la porte de la Maison de Suède

シテ・ユニヴェルシテールのスエーデン館の入り口のドアに、面白い張り紙を見つけました。
フランス語とスエーデン語会話の交換会、毎週木曜19-21時、無料。お菓子やコーヒーが出て、楽しく会話を学ぼうというミーティングのお知らせです。面白いのはこのかわいいイラスト。スエーデン人は女の子で、金髪(妥当)に花の冠(少し子供っぽいけれど、自然を愛するスエーデン人を意味しているのか、これもありそう)。一方ちょび髭のフランス男の方は、ベレー帽にブルターニュのマリーンTシャツ、バゲットを小脇に抱えて・・・えー!古いなあ、いまだにまだこんなイメージなの? つい一人でニッコリしてしまい、なんとなくハッピーな気持ちに! ベレー帽はとっくの昔に姿を消し、この頃バゲットは袋に入れてくれるので、裸で持つ人はいないです。マリーンTシャツだって、けっしてメジャーではないし。

固定観念は覆しにくいという良い例。でもズバリのイメージにするには、アメリカ男はカーボーイハット、イギリス男は山高帽にコウモリ傘になるのでしょう。今では世界中同じファッションになってしまったので、100年前のこの古臭くも楽しいイメージが、これからまた100年先にも受け継がれるのでしょうか?