Villa Vassilieff/ Groupe Mobile
以前書いたモンパルナスのアトリエ小路は、不動産業者達に売られて壊されないように、パリ市が一軒一軒と買い集めていたそうで、最近その一角が、ヴィラ・ワシリエフ・アートセンターとしてリニューアル・オープンしました。この建物の由来については、以前のブログ(こちらをクリック)を見てください。
マークとベラ・シャガール、キスリング
オープニングを記念して、今マーク・ヴォーという無名カメラマンの作品の中から、一部をセレクションして展示しています。マーク・ヴォーの本業は大工で、第一次大戦中に負傷した後カメラを習い、1920年から60年代まで、モンパルナスの芸術家達やパリを撮り続けた人だそうです。彼の残した写真はなんと25万枚に及び、そっくりポンピドーセンターの保存室に30年以上眠っていたものを、今回初めて公開されることになりました。この展示の責任者の言葉を借りると: ポンピドーの保存室でこれらの写真を手にした時、まるで当時の芸術家たちの生活や仕事ぶり、また第二次大戦で失われてしまった作品の数々が、突然生き返って目の前に現れたような気がしました・・・
マーク・ヴォーの撮ったカルダーのモビール
明るく広い2階は、現代アーティストの展示と、エコール・ド・モンパルナス(EdM)の作品がミックス。壁にこのアトリエの実物大の写真が貼られ、その前に本物のインテリアが置かれ、面白い3次元の空間が。これも作品です! EdMの出版物があちこに配置され、閲覧可。
各所にゆっくりできるコージーコーナーが。
下は黒いラッカー仕上げの木枠に、ビニールコードをはめ込んだシンプルなヴィンテージのサイドテーブル。すごくかわいい!
アトリエのあちこちに作品が展示されていますが、まるで個人の家に飾ってあるように配置されているので、作品を身近に感じられ、大美術館にないホッとするくつろぎが・・ それに新旧作品のミックスが楽しい。
マーク・ヴォーの写真の中に、空になったルーブルの写真がありました。ナチ占領下のルーブルの疎開について(こちらクリック)以前書きましたが、きっと彼は画家仲間から疎開の噂を聞いて、ルーブルまで行ってみたのですね。
どの額に何が入っていたか、白墨のようなもので書いてあるのが見られます。
マーク・ヴォーの膨大な写真の中には、失われてしまった作品はもちろん、無名で終わったけれどEdMを支えた芸術家達、彼らのミューズやモデル、特に消えてしまった女性芸術家達の情報が沢山あるようです。残された膨大な写真を、どのように仕分けし保存するかが検討され、沢山ありすぎで難問のようですが、いつの日か大きな展覧会が開かれるのを期待しましょう。
パリ市からここの運営を任されたグループBétonsalonは、ヴィラ・ヴァシリエフの歴史を重視し、その根底にあった ″多国籍のアーティストたちの集まる空間″ を目指して、今後若いアーティスト達の支援を続けるようです。単なるレトロ趣味で終わらずに、ビデオなどをうまく使った新しい見せ方にとても好感が持てました。
Villa Marie Vassilieff, Groupe Mobile 7月2日まで
Chemin du Montparnasse 21 Av. du Maine 15e
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