7/10/2016

チェコの写真家ジョセフ・シュデック/ 私の窓から見た世界


Josef Sudek/ Monde à ma fénêtre au Jeu de Paume

チェコを代表する写真家、ジョセフ・シュデックの展覧会がジュ・ド・ポームで開催中です。
戦場を駆け回り、世界中を旅する写真家は多いけれど、彼の写真は90%が母国のチェコと特に自分のアトリエが被写体です。母親の住むドイツに行った以外はチェコに止まり、身の回りの日常に見られるオブジェや、アトリエの窓から見える景色を撮り続けました。
飽くことなく撮り続けた、アトリエの窓からの風景。枯れ木や雪景色、上の写真のように洗濯物が見えたり、花が咲いていたりと変化はあっても、どれもガラス越しで、ガラスの曇りや水滴の流れなどの効果を、あらゆる手法でとらえた詩情あふれる作品をシリーズで発表しています。
シュデックは何でも取っておくのが趣味だったそうで、彼の机の周りは山のように雑多な物が積み重なり、それらを使い、これもシリーズで沢山の作品を残しました。上の写真のコップの光と影、卵の楕円の表面の陰影、皺になった紙など、日常のなんでもない物の美しさを表現し続けました。窓辺に置かれたガラスのコップの花、卵、皿など、女性的なテーマが多い。
夜のアトリエやその庭、プラハの夜景など黒っぽいが作品が多く、チェコの自然を写しても、みな影絵のよう。彼の作品を見ていると、カラー写真の発明は、はたして本当に ″進歩″ だったのかと疑問に思うくらい、黒白写真が文句なく美しい!
上記は商業用の写真。このように黒白の効果が絶大な近代的なデザインの作品も素敵です。でも彼の作品は、どれもみな the sound of silence!

Josef Sudek/ Monde à ma fénêtre    9月25日まで

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