5/06/2017

板茂さん設計のラ・セーヌ・ミュジカルがオープン


L'ouverture de La Seine Musicale dessinée par Shigeru Ban

パリ市内を出たセーヌ河が、ヘアピンカーヴで大きく蛇行して北に向かう中州、セガン島に、また新しい音楽の殿堂ラ・セーヌ・ミュジカル(LSM)がオープンしました。プリツカー賞を受賞した日本の誇る建築家、板茂さんが建築を担当し、日本でも最近大きなニュースになりましたね。
セガン島は1世紀近くルノーの工場の島として栄え、未だに年配の人は、セガンと言えば皆ルノーと考えるくらい。現代のノルマに合わなくなって1992年に工場が閉鎖してからは、幾つかプロジェクトがあったにも関わらず、約20年間幽霊島のように放置されていました。持ち主のオー・ド・セーヌ県がジャン・ヌーヴェルに依頼し、2014年に島全体の再開発が始まり、まず一番メインとなるLSMがこの4月にオープンしたのです。

中州にあるのでもちろん両側は水。両岸とは橋で繋がった巨大な船のような形で、その約三分の一に当たる頭の部分がLSMです。一番前がテラス、次にドーム型1150人収容のオーディトリウム(クラッシック、ジャズ用)、後方の白い建物が6000人収容のグランド・セーヌ(ロックなどアンプを使う音楽用)。中には数々のリハーサル室、オーディオ室、小学生から青少年向きの音楽教育の施設なども完備。屋上は植物を植えた空中公園。
長かった工事中、車で側を通りがかるたびに恐れ、心を痛めていましたが、完成した姿は案の定、セーヌはこうあって欲しいと思うどちらかというと保守的な私のイメージに全然マッチせず・・トルコの宮殿みたいだ、ジャン・ヌーヴェルのフィルハーモニー・ド・パリに匹敵する醜さ・・しかしオープニングの記事を新聞で読んで意見を変えました。このドームの外側に船の帆のように広がっているのはソーラーパネルで、それが太陽光線を目いっぱい受けるように、太陽と一緒に回転するのだそうです。だから丸い。しかもこの帆は太陽光発電の役割だけでなく、太陽を遮断して内部の空調にも貢献する。奇をてらうための無意味な資材の浪費ではない、スバラシイ! ドームの音響効果もスゴイという話だし、こういう事情ならば、セーヌに忽然と現れたトルコ船も仕方ない、早く実際のコンサートで内部を見てみたいものです。
ル・モンド誌に出ていた坂氏のインタヴューがとてもよかったので、次のブログに書きます。
ファサードの大ピクチャーウインドーは、どのようにかはわからないけれどオープンするらしい。外の街と建物の中との繋がりを作るためだそうです。
あちこちに置かれた、コンサートの休憩等の時に座るちょっと面白いベンチ。ゴムのような手触りの素材は、坂氏特有の素材、紙のチューブをつかったもののようです(??)
ドームを下から見たところ

これは正面。超巨大スクリーンには(多分パリで初めて)広告が映し出されて興ざめですけど、これだけのプロジェクトを進めてゆくにはオート・ド・セーヌ県も資金はいくらあっても足りないのでしょう。でもコンサートが実況でここに映し出されるのだそうです。
左の階段を登ると、眺めの素晴らしい芝生の屋上公演に出られます。
こちらは巨大スクリーン広場からムドンの町に続く橋。急速なコンクリート化が進むセガン島周辺では珍しく、昔のままの風景が残っている部分。でも風前の灯。
セガン島の、まだ開発が始まっていない船尾の部分(その他の文化施設、映画館やレストランができるらしい)と、ムドンから、元々工場が沢山あり、今急速にアパートに変わっているイッシー方面を見たところ。

このLSMでひとつだけ疑問は、パリ側にはメトロ9線Pont de Sévre駅、ムドン側にはトラムT2線 Brimborion駅があるけれど、どちらも橋を渡ったすぐ目の前ではないので、ちょっと遠い感じなこと。プログラムが夜11時近くに終わり、冬の夜道を、しかも吹き曝しの橋を渡るのは、クラッシックの演奏会でよく見かける足元の危ないお年寄り達には大変そう。

既に大御所のエマニュエル・エイムに迫る女性指揮者、ロランス・エキルベイとそのインスラ・オーケストラが、LSMをホームグランドとして活躍することになりました。すごい抜擢、女性の大いなる進出に拍手。
またカウンターテナーのフィリップ・ジャルスキーが、コンセルヴァトワールに入る年齢以前の子供7-12才と、その後18-25才の青年達の為のフィリップ・ジャルスキー音楽アカデミーを創設し、LSMの中に組み込まれました。自分の家は音楽に縁がなく、中学の時の音楽の先生の勧めがなければ今の自分は無かった、沢山の子供が音楽に接することができるようにという趣旨。素晴らしい歌はもちろん、人間的にも、口の悪いパリジャンから誉め言葉しか出てこない彼の夢の第一歩、これも拍手です。
このアカデミーに加えて、オペラの正規子供コーラスもLSMがホームグランドになります。

注: 敬称なしがこのブログのモットーなのに、日本人だけ ″さん″ が付いているのは、日本人の姓に敬称が付かないと、かっこが付かないから。大げさに言うと指名手配の犯人風の響き?というか、とても失礼な感じがしてしまうのは私一人でしょうか。日本人の特別扱いでは絶対ありませんのでご理解下さい。

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