9/12/2017

ロヴェール・マレ=ステヴァンス、カヴロワ邸1階、リール No.2 


Villa Cavrois/ visite du rez-de-chaussée

カヴロワ邸は、リールから市電で、北のベルギー方向に約30分行った郊外にあり、国境は多分10キロ以内。
市電Tram R線のヴィラ・カヴロワ駅で下車。後は表示がきちんと出ているので迷いません。徒歩約15分。途中は瀟洒な一軒家が並ぶ住宅地なので、ちょっと楽しい散歩。
          
カヴロワ邸は、テキスタイル工業で富を築いたポール・カヴロワが、1925年のパリの展示会や、パリのマレ=ステヴァンス通りに現在も残る彼の建築を見て、経費無制限で白紙委任したもの。建築家にとっては、自分の持てる最高のものを、資金の心配をせずに最高の材料を使って具体化するという最も幸せな仕事となりました。ポールとリュシ-・カヴロワ夫妻は、特に美術のコレクターでもアヴァンギャルド志向でもなかったそうなので、よほどマレ=ステヴァンスの提唱する近代的で快適な家に心酔したのでしょうね。
衛生面では、当時まだ珍しかった冷水と温水の出るバスルームを贅沢に各寝室に付け、見学途中でまたバスルーム!と呆れてしまうくらい沢山。洗面台もあちこちにあって、建物全体にある水道の蛇口の合計は、きっとすごい数になるでしょう。
元の敷地は5ヘクタール、建物の面積1840㎡、テラス820㎡、それにプール。1929年に工事開始、1932年に完成。
全てが新しい建築とはいえ、夜会のできる中央の広いサロン、大人と子供の食堂が別な事、男性用の喫煙室や女性用の化粧室ブードア、キッチンの外に広い配膳室がある事、子供の教育と遊戯用のナースリーなど、家の構成は昔の貴族のシャトーと同じなのが面白く、近代建築のお城と言われる理由が理解できます。
上は玄関の側から見たところ。
下右: 入り口のガラスとスチールのドアが、同じマレ=ステヴァンスの設計したパリのモーリス・メジンスキーのアトリエの入り口と似ていて、まるで彼のサインの様。
一階見取り図 
①玄関ホール ②サロン ③ダイニングルーム ④子供用のダイニングルーム ⑤配膳室とキッチン ⑥喫煙室と書斎 ⑦年長の子供2人の寝室
下右: 玄関ホールからサロンを見た所。障子を思わせる、光る擦りガラスのオーナメントがとても美しくインパクトがあって、思わずオォ!

この家の心臓ともいえるサロンを中二階から見下ろしたところ
サロンの片方には茶色のシエナの大理石の巨大な暖炉。両側にソファーと大理石の半円形のサークルがベンチになり、コージーコーナーを演出。写真で見た感じより、実際はずっとスペースが広いのです。
暖炉の反対側のソファーのあるコーナー
サロンに続く、スゥエーデンのグリーン大理石を豪華に使ったダイニングルーム。アールデコのシャープですっきりした装飾。
大人のダイニングルームに続く子供用のダイニングルーム。大人用よりはずっと小さいけれど、でもかなり立派。壁に遊び道具やゲームのレリーフがあっても、子供向けにはかなり渋いテイストです。
配膳室
巨大なキッチン。カヴロワ家は子供が多く、住み込みの家庭教師や使用人もいた大所帯、また沢山のお客様を招待した夜会などを開くこともあったので、これくらい大きいキッチンが必要だったのでしょう。邸のお披露目は1932年の長女の結婚式だったそうです。
左: お天気のよい季節に屋上のテラスで食事するための、食品昇降機
青年になった子供の部屋ナンバー1、デ・スティル風。モンドリアンの絵がそのまま部屋になったよう!
このモンドリアンルーム付きの浴室は、ちょっとがっかりさせられた普通のクラッシック型。現代のパリなら、小さなワンルームアパートより大きいかも、という広さ。でも一人用です、なぜって目と鼻の先に隣の寝室用の別のバスルームがあるから!


こちらはそのお隣の、青年になった子供の部屋ナンバー2、イエローに、渋いグレーの木目のウッド使い
こちらのバスルームは天井の部分が寝室と繋がってオープンで、お隣のものよりずっと小型でも、ちょうどいいサイズで使いやすそう。イエローと白黒タイルの組み合わせがかわいいので、私はこちらのバスルームの方が好みでした。
書斎

2階の主寝室と小さい子供たちの領域は次のブログで!

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