11/06/2017

フィロラオスのアトリエ


Maison et atlier Philolaos à Saint-Rémy-lès-Chevereuse

今秋の文化財の日に、パリの南サンレミ・レ・シュヴルーズにある、彫刻家フィロラオスのアトリエを見学しました。フィロラオスはギリシャで生まれで、アテネとパリのボザールで修業した後、60年代からパリで活躍し、2010年に亡くなった彫刻家です。奥様が案内して下さり、予約制だったので参加者は7人だけの少人数。思い出話が沢山織り込まれた、とても楽しいご説明でした。以前書いたマルタ・パンとアンドレ・ヴォジャンスキーのアトリエとは、丘の上と下のご近所に当たります。

フィロラオスは、彫刻家という1つのジャンルにはめられないアーティストだったのですね。アトリエも別棟の母屋も、全部自分で設計し、家具、暖炉、ランプシェード、戸棚、パン焼き窯まで、あらゆるものを自分でデザインし作ってしまったのです。インテリアはアットホームで、家庭を大事にした人だったことが偲ばれました。


アトリエの中二階は暖炉のある居間とミニ・キッチン、階下は寝室があり、元はここで生活していたのだそうですが、奥様曰く ″木材や金属を使うからうるさくてね、子供が生まれた時に別に家を建てることにしたの″。階段の左にある金属の円筒のような物は、留め金を開けると中はカップボード、やはり蓋を開けると鏡台だったりと、面白い家具が一杯。
    
所狭しと並ぶ試作品やサンプル

叩いて湾曲させると、まっすぐに円筒にならずに、ある一定の法則に従ってねじれて湾曲するというスチール板の特質に注目し、その曲がりぐわいがとても気に入っていたのだそうです。彼の作品には繰り返し、この少しねじれたスチール版が登場します。
ねじれたスチールの外に彼のよく使った素材は写真下の、スチールをはめたコンクリートのサークル。ここではアトリエから母屋に続く階段に使われています。
丘の上なので目の前に緑の広がる窓、とても居心地のよさそうなリビングルーム。窓際の白いソファーはセメントで、床に固定してあります。公園のベンチのようだけれど違和感は全くなし。
こちらは温室風のパティオ。中央はロッキングチェアーで、意外にも座り心地が満点。フィロラオス得意のスチールとセメント使用。

Maison et Atelier Philolaos      65 route de Milon, Saint-Rémy-lès-Chevreuse, 78470

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