10/06/2019

ガガーリンの旅


Voyage de Gagarine

ガガーリンって、あの宇宙飛行士のガガーリン。でも旅行といっても宇宙旅行ではなくて、彼の名の付いたイヴリー・シュル・セーヌの集合住宅のお話しです。
1963年、このcité Gagarineシテ・ガガーリン376世帯の落成式には、61年人類初の宇宙飛行で英雄となったガガーリン大佐ご本人が出席し、記念の植樹をしたそうです。イヴリーは昔から労働者の町で、共産党の一大拠点だったそうで、建物のデザインもロシアの労働者アパートの影響を受けているとか。因みにガガーリンの名が付いたアパートはパリ郊外にこのほか2つあり、どちらも労働者の町です。
シテ・ガガーリンはイヴリーの町のシンボル的存在だったのに、老朽化してスラム化し、建て直す事になりました。解体工事を目前にして、名残を惜しむ市民のお祭りが催され、一部をアーティスト達に開放し、捨てられ残された家具、雑貨、本、写真、バスタブ、トイレなどの廃物を利用したインスタレーション "ガガーリンの旅" が一般公開されていました。ポップな物、バスキア風、マンガ風、宇宙的な物など色々ありましたが、以下は私好みのセレクションです。

面白かったのが上とトップの写真の "夢" というタイトルの部屋。子供たちが参加したインスタレーションで、実際の方が写真よりもっとよかったです。一見楽しげでありながら、古びた建物、時代遅れのカーペットなどから、そこはかとないもの悲しさも・・・
これは一番グラフィカルだったもの。ブルーの照明とストライプ、壊れた壁や色々なオブジェが混じりあっています。写真写りがよいインスタレーション。
下は淡々としてユーモアいっぱいの壁画。壁とその腰板を黄色くペイントし、窓から覗いた電車の車内を描いています。棚の荷物もなんとなく可笑しいし、ボロボロで剥げかけている壁紙をくるっと巻いて、電車の窓のストールに!
単純な線だけで説得力のあるデッサン、外の展示のようなアグレッシブさが全くありませんね。
 
壁、天井、床を思いっきり使えて、どんなに壊してもいいのですから、さぞかし皆楽しんだことでしょうね。
壁紙をベースにして絵を描くと面白い効果がありますね。こんな時代遅れになった壁紙に囲まれて生活していた人がまだいたなんて驚き!

Cité Gagarine    1 allée Gagarine, Ivry-sur-Seine 94200

関連ブログ: イヴリーの星形アパート/ジャン・ルノーディ

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