3/27/2018

ブランクーシとエリック・サティ


Brancusi et Erick Satie

彫刻家ブランクーシと作曲者エリック・サティは親友だったのですね。ポンピドーセンターの常設展示室脇の、見逃してしまいそうな狭い通路ばかりを使った、L’œil écoute直訳すると ″聞く目″ という展示で知りました。"目で見る" だけでなく "目で聞く" くらい、20世紀初頭に画家、音楽家、ジャズ、ダンス、演劇、写真家達が交流し影響し合った例を紹介しています。
写真下はブランクーシのヴァイオリンと、彼のコレクションの世界の国々の民族音楽のレコード(写真はそのごく一部です)。ブランクーシは玄人はだしのヴァイオリニストで、作曲までして、その楽譜が残っています。

"親愛なるブランクーシ様、マルセル・デュシャンがあなたの御親切な土曜日の招待を伝えてくれました。喜んで伺いますが、よろしければあなたにお会いしたがっているエリック・サティを同行していいでしょうか。まだ彼の都合が付くかどうかわかりませんが・・・"  

写真下は、サティのジムノペディのためにブランクーシが作ったコスチュームを着てポーズするダンサー、リジカ。サティは天才の不運で生前は一般から認められず、極貧で亡くなり、ブランクーシが運動して葬儀や追悼コンサートが行われ、そのプログラムが残っています。

ところで、ポンピドーセンター前広場の片隅にあるアトリエ・ブランクーシは、意外に知られていないのではないかしら。ブランクーシに人気がないのか、3方を壁に囲まれた半地下の一見冴えない建物が見過ごされてしまうのか、ポンピドーの入り口に長蛇の列ができていても、ここはいつもシーンとした穴場、無料なのに。


旧アトリエ
ブランクーシは、少々パラノイアくらいに自分の作品と空間、作品と作品の相互関係を重視し、配置、方向、乗せる台などに固執したそうで、彼のアトリエ全体が一つの作品になっていました。1957年ブランク―シの死後、アトリエをそっくりそのまま再現するという条件で作品は国に残され、最終的にはレンゾー・ピアノ設計の今の建物に1997年(ポンピドーのオープニングと同時)に保存されています。遺志に従って、元のアトリエを再現し、すっぽりガラスで囲み、外の通路から鑑賞するのです。

            

L’œil écoute Centre Pompidou 4月16日まで

3/16/2018

シャーリー・ジャッフの画集


Shirley Jaffe

知人のアトリエの、画集やアート雑誌、カタログが雑多に混じりあった本棚で、シャーリー・ジャッフの画集を見つけました。シャーリー・ジャッフはアメリカ人で、1950年代にジャーナリストの夫の仕事でパリに来て以来生涯をパリで過ごした、当時のアメリカ抽象表現主義を代表する画家だそうです。パリ美術界で高く評価され、現在世界の有名美術館に作品が展示されていますが、生存中にパリで大きな展覧会が開かれなかった為か、一般の知名度が少ないのか、初めて聞いた名前。南仏ではよく展覧会が開かれ、この画集もセレの近代美術館の出版です。


明るいトーン、ユーモラスと言っていいくらいの楽しいフォルムが、まるで音楽に乗ってリズミカルに踊っているような絵。童話の挿絵か、インテリアのデザインかなと思ってしまう、身近さ、暖かさを感じます。しかしとてもソフィスティケートでエレガント。すっかり大ファンになってしまいました。



シャーリー・ジャッフ 

3/06/2018

ヘリット・リートヘルトのシュレーダー邸/ ユトレヒト

Rietveld Schröder House à Utrecht, Pays-Bas

バラバラに書いていたオランダ編の最期はユトレヒトのシュレーダー邸です。
シュレーダー邸は、オランダの家具デザイナーで建築家のヘリット・リートヘルトが設計し、デ・スティルの代表的建築として、ユネスコの世界遺産に指定されています。上の写真を見てもわかるように、まるでモンドリアンの絵をそっくり建築に映したような家。正面玄関を入ると、1階の左手にキッチン(写真下3つ)。リートヘルトのジグザグ・チェアーと、それにマッチしたテーブルがありました。

写真下のドアの奧がメイドさんの部屋。1924年完成とは思えない、古さを感じない食器棚!
写真下3つは1階西側の書斎で、一時リートフェルトが仕事場として借りていたことがあるそうです。ご主人を亡くしてこじんまりした小さな家に住みたいというシュレーダー夫人の意思で、この家はとてもコンパクト。でもル・コルビュジエのサヴォア邸やマレ=スティヴァンスのカヴロワ邸などの大邸宅と同じに衛生面には神経質で、各室に洗面台があります(カヴロワ邸は洗面台どころか、各室にバスルームがありましたけど・・)
玄関正面の2階に上がる階段には、電気のメーターと、電話用のベンチ、家族各々のレターボックス。
 階段を上がったところ。リートヘルトのデザインした " 赤と青の椅子 " の世界そのもの。
2階の居間兼ダイニング。奥のグレイの壁の向こうは長男の寝室で、この壁はスライド式。娘たちの部屋の壁もスライドして、全部取り払うと、居間と繋がった1つの大きなスペースになったり、必用に応じて好みのスペースに変えることができます。パリ郊外ムードンのテオ・ファン・ドゥースブルフの家でもお話したのと同じ仕組みでした。

ダイニングの窓は、家の角の部分から壁の幅いっぱいに開けられる構造で、より明るく、また外に広がる田園の景色を十分に楽しめるように配慮されています。残念ながら今はすぐ前を県道が通ってしまいましたが、幸いメインの住居スペースが2階になので狭苦しい感じはしません。

長男の寝室

2人の娘の寝室
小さい家なのでバスルームは1つだけ。日本のバスタブに似ていて面白い。
県道の向こう側 Erasmuslaan にリートヘルトの設計したアパートが2軒あります。ソシアル・ハウジングと書いてあり公営住宅なのでしょうか、公開はしていませんが外から見ることができます。下写真はそちらへ行く時に見た県道下のトンネルの壁に張ってあったタイル。赤と青の椅子などのデザインチェアーを集めたデルフト(かしら!)の青タイル!

Rietveld Schröder House   Prins Hendriklaan 50, Utrecht, Netherland
運河に囲まれたユトレヒトの旧市街の外約2kmにあります。ユトレヒト中央美術館Centraal Museumから東に向かって歩いて約25分ほどの場所。床の保護のため入り口で靴にカヴァーをしての見学です。案内兼監視役の方が付いてスライドの壁を動かしたり窓を開けたり実演してくれ、説明はオーディオガイド(日本語あり)。
事前に以下の中央美術館のサイトから予約が必要です。
https://centraalmuseum.nl/en/visit/locations/rietveld-schroder-house/
尚同じチケットで、同日に中央美術館にも入れます。

2/20/2018

シェイラ・ヒックスの糸のコンポジション


Sheila Hicks "Ligne de Vie" 

シェイラ・ヒックスの作品について新聞に出ていたので、パリ市近代美術館Musée l'art moderne de la ville de Parisに見に行ってきました。
Sヒックスはアメリカ生まれで、パリを拠点に活躍し、作品はMoMA、ポンピドー、ステデライクなどのコレクションに加えられいます。多様な糸を織り、捩じり、巻いて、糸で作る彫刻、糸で描く絵画。


去年は修復工事中でコレクションの内ほんの一部しか見れなかったパリ市近代美術館。工事はまだまだ続くようですが、去年暮れに今までに出来上がった部分がオープンしました。この作品は、新しくなった入り口大ホールの右手奥の正面の壁一杯に、まるで大きなくるみボタンのように展示され、ほっこり暖かいムードでかわいい。


続いてグッドタイミングに、ポンビドー・センターでやっている彼女のLigne de vie展も行ったのですが、こちらはガラッと変わって天井から下げられた長いスタイルがメイン、どれも超大型。


近代美術館の丸いボタン型の方が私好みで、どちらかというと手工芸の香りがあるのに、ポンピドーの渦巻く巨大なコンポジションは、ダイナミックで、パワフルな前衛絵画のよう。ふと糸に対する狂気みたいなものを感じたのは、考えすぎかしら・・・壁に沢山のミニ織物の作品が展示され、その細かく繊細なモチーフからは、Sヒックスが並外れたファンタジーのある機織りの名手なのがわかります。糸と織りに限りない興味と愛着があるのですね。

Ligne de Vie    Sheila Hicks     Centre Pompidou   Place Georges-Pompidou 4e 4月30日まで
Musée l'art moderne de la ville de Paris   11 Av. du Président-Wilson 16e  新装オープンしたパートは、見やすく説得力のあるセノグラフィーでお勧め。話題のJean Fauterier展は5月20日までです。

2/12/2018

ノルドマルクトのインテリアショップ/ アムステルダム



De Weldaad à Noordermarkt/ Amsterdam

地価が安くて広いスペースを求め、クラッシックでエスタブリッシュな中心地を避けた新しいブランシェエリアが今のトレンド。アムステルダムも例外でなく、アルバート・カイプ、NDSM、フードハーレン等の地区が人気です。けれどアムステルダムが最もアムステルダムらしいのはやはり運河沿い、中でもヨルダーン地区は、蚤の市やオーガニック市でも賑わう、欠かすことのできない散歩とショッピングのコースです。
市の立つノルド教会のすぐそばにあるインテリアショップ、De Weldaad(ド・ヴェルダーツと読むのでしょうか)は、倉庫のように広い店内に、ヴィンテージ物を交え、アンティーク、ガーデニングにちょっぴりエスニックの香りもする雰囲気の品揃えと、一見雑多に見える、素晴らしいセンスの光る見せ方が素敵です。
旅行中の身分では、大きな物が買えないのが残念!


De Weldaad Noordermarkt 35, 1015 NA Amsterdam

2/08/2018

ジュリー・メシュレツ/ オンリーザサウンドリメインズの舞台


Le tableau de Julie Mehretu

先日書いたカイヤ・サーリアホの新作オペラOnly the sound remainsオンリーザサウンドリメインズのミニマルな舞台で、とても重要な役割を果たしているのが半透明の巨大スクリーン。このスクリーンの手前は現実の世界で、"経政" では僧侶、"羽衣" では漁師の世界。ですから経政の幽霊と天女は、スクリーンの後ろの "非現実の世界" から現れ、またスクリーンの後ろ、一方は黄泉の国、もう一方は天界に戻ってゆきます。半透明なので距離や照明によって、後ろの影が、時にはぼやけ、時にははっきりと見え隠れするのが、経政では特に効果的。シンプルですがミステリアスな雰囲気を盛り上げるとても美しい演出でした。

   by Opérade Paris
このスクリーンの、モノクロで日本の毛筆を連想するデッサンは、エチオピア生まれでニューヨークで活躍するアーティストJulie Mehretu (日本語読みはメシュレツ?)ジュリー・メシュレツの作品。1970年生まれで今40代後半、すでに彼女の作品は現代美術の最先端のニューヨークのMoMAに常設展示され、パリのポンビドー、ロンドンのホワイトキューブギャラリーなど一級の場所で活躍しています。壁画など大きな作品が多く、それもオペラのデコールにぴったりだったのですね。
彼女の作品は、自由な筆運びで、一見無秩序に躍動するようなダイナミックさがありますが、明確な意図のもとに、何層も重ねて描かれているのです。

2/02/2018

マポエジーのストール


 Mapoésie by Elsa Poux

Mapoésie つまり ma poésie "私の詩" という名前のテキスタイル・ブランドのデザインが、ジオメトリーと独特のカラー使いで新鮮です。


ストールの外に、デザイを活かしたカーペット、それにアソートのクッション類がとてもステキ。ノートやポーチなどの小物もおしゃれです。

Mapoésie    69 Rue du Chemin Vert, 11e