今週末はジュルネ・デュ・パトリモアーヌJournée du Patrimoine“文化遺産の日”でした。春と秋の年2回週末2日間に、普段一般が入れない歴史的建造物がフランス中で公開される催しで、プライベートのお城や、教会、僧院、学校、大統領官邸をはじめとする政府の建物、電気水道交通などのテクニカルな施設を見学することができます。
今回私はパリ郊外ムードンにある、テオ・ファン・ドゥースブルフのアトリエ兼住居を見て来ました。テオ・ファン・ドゥースブルフはオランダで1917年に雑誌デ・スティルを創刊し、モンドリアンに代表される彼らの運動デ・スティルの創始者です。ユトレヒト、ワイマール(バウハウスに大きく影響を与える)を経てパリに1923年に移住し、ムードンのこの家を1929年~31年に建てましたが、彼は31年に急逝しています。以後未亡人が住み、彼女がオランダ政府に家を寄贈して現在に。
正面からは仕切りで見えない入口階段 |
黄色のシャッターのあるファサード側の棟は住居、裏庭に面した棟は吹き抜けで、片側は天井まで大ガラス窓のアトリエです。住居の内部は自由に変形できる空間でなくてはならないという彼のセオリーに従って、住居側2階は、蝶つがい部分を軸にして回転する幅広のドアによって、2部屋が1部屋になったりと、その時の必要に応じて区切られるようになっています。また資金が厳しかったため、藁を素材とした壁材を使用、外側は漆喰、内側は石膏で固めているので、藁の状態を保つために通気口が沢山あります。資金難、加えて彼の余計な家具は置かないという主義で、アトリエ、夫人の部屋、キッチンには、どっしりと床に固定され建物の一部になっているコンクリートのテーブルがありました。アトリエ以外は、角に丸みを付け、黄色に塗られた厚さ10㎝以上ありそうな分厚いテーブルはとてもかわいく、家の内部は写真撮影禁止だっのが残念です。キッチンは流し、戸棚ともに骨組みはこれもコンクリート製。
上の図の屋上のテラスの床にあるモンドリアン風の四角は、階下の天井を飾るステンドグラスです。モンドリアンの作品かと思ったら、ファン・ドゥースブルフ自身の作で、説明して下さったオランダの方によると、この有名なキューブの元祖は、どちらかというとファン・ドゥースブルフの方なのだそうです。
ジュルネ・デュ・パトリモアーヌは毎回オープンする場所が変わるので、事前にインターネットで調べたり、各市庁等で出しているパンフレットを見なが散策します。人気の場所は長い列ができ、事前にネットで予約が必要なところもあるので要注意。中小規模の所なら大体スムーズに入れるはずです。ファン・ドゥースブルフの家など、いつも前を通っているのに知らなかったからというご近所の人達もいて、静かで和やかな場所も沢山あります。
ムードンへ行ったもう1つの目的は散歩です。2つの丘に囲まれ、谷底に当たる所に郊外地下鉄RERの駅があり、パリ市内から15分くらい。一方の丘の上には森をバックにエコ菜園のあるお城、もう一方の丘は天文台と、その周りを囲んだテラス式の大きな公園があり、上記写真はこのテラスから撮りました。左手にはパリが一望できます。西南の方で局地的な夕立があった後で、空にはかすかに虹が!
Journée du Patrimoine http://www.journeesdupatrimoine.culture.fr/
Maison-Atelier de Theo Van Doesburg 29 rue Charles Infroit 92190 Meudon
普段は一般公開されていないので、興味のある方はムードン市庁の文化財課musee.arthistoire@mairie-meudon.frに連絡してみてください。
ムードンへはRER C線ヴェルサイユ行きでMeudon Val-Fleury駅下車。外に国鉄Meudon駅、市電T2のMeudon-sur -Seine駅がありますが、RER が一番便利でしょう。
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