Maison-fleur ou les choux de Gérard Grandval à Créteil
いったいこれは何? 古いSF映画? 60-70年代の亡霊のような驚くべきこのアパートは、メトロ8号線の終点近く、でもパリからすぐのクレテイユという郊外の町にあります。ジェラール・グランヴァルGérard Grandvalという建築家によって1969-1973年に建てられ、もちろん今も人が住んでいます。テラスが花びらのように見えるのでメゾン・フラール(フラワーハウス)と呼ばれたり、キャベツ、カリフラワー、トウモロコシ、ダリアなどと色々な名前で呼ばれましたが、最近はキャベツ(レ・シュー)に落ち着いているようです。
ジェラール・グランヴァルは単純で安上がりな四角い建築を嫌い、リズムがあって、貝や繭の様に人を包み込む、アンチ・キューブ、アンチ・ファンクショナルな建築を提唱し、丸いカプセル型のワーキングスペースなどを設計しましたが、なんといってもこのカリフラワーが彼の代表作。単純化した植物風の曲線は独特の美しさがあります。建築当時は世界中で話題になり、しかしパリジャンからはスキャンダル視されたそうで、即入居希望はたったの7世帯だったとか。フランス人は保守的だから・・今から40年前ですし・・
周りは芝生の公園で、カリフラワーのすぐ下には、スーパー、幼稚園、小学校が
包み込むようなテラスには、どこからも見られることなく、外界と遮断されたプライバシーが。ジェラール・グランヴァルは、壁にヴィーニュ・ヴィエルジュ(秋に色づく蔦の一種)を這わせて花びら型のテラスを植物で覆うつもりだったそうです。今では植物の壁などどこにでもありますが、当時としては画期的なナチュラル志向のアイデアだったのでしょう。しかし管理組合から、壁の傷みや虫の問題でストップがかかったのだそうです。
1棟だけ低い建物があり、それを中心に15階建ての10棟が囲んでいます。各棟の階下にはパーキングがあり、シリンダーの階上の中央部には緑のある空中の中庭があるようです。
いくつか違った入り口がありましたが、多分このデザインがオリジナルだと思います
至れり尽くせりに完備しているのに、畑しかなかった郊外に人工的に作られた団地群、交通量の多い国道が交差するなど、このようなSF風の近代都市はフランス人の富裕層の好みではなく、一時はだいぶ荒れ、2000年頃から国が介入して美化を進め美しく蘇りました。最近のヴィンテージブームとパリ中心の地価が高くなりすぎた事からも、今では入居希望者は沢山いるのでしょう。でも本当に住むとなるとかなり勇気が要りそう。
尚花びらのようなテラスをきれにするに当たっては、洗浄会社は特別なナセルを開発しなければならなかったそうです。
国道を隔てた向こう側には人造湖
Les Choux Créteil, Val-de-Marne