Fauteuil UNESCO, Odile Decq/ Femmes architectes No.3
建築家のファーニチャー展のラスト、3人目の女性建築家はオディール・デック(1955年~)です。
展示されていたのは以前ユネスコのブログで取り上げた、会議室前の広いロビーを飾るソファー。ユネスコは建築当初から、世界のアーティスト達の作品を建物の内装に取り入れてきました。このO・デックのソファーは、2000年のコンペで優勝したものです。
以下は実際にそのソファーを使っているユネスコの写真、2年前に使いましたが再登場してもらいました。
ソファーの折り紙のような面白い形は、尼僧のフード、コルネットと呼ばれるユネスコ入り口の屋根、又はピロティーなどのフォルムを連想します。ホールの受付のカウンターもコンペで優勝した彼女のデザイン。ちょっぴり宇宙的でもあり、見方によっては60年代ヴィンテージっぽくもあり、ユネスコの雰囲気にマッチしていました。
このブログでは、あまり政治的な事や、宗教思想など個人的な事は触れないと決めています。しかしオディールデックの話は、フェミニズム無しに語る事はできません。
まず彼女の写真を見てください。若い頃からずっと(現在60代半ば)真っ黒な乱れたロングヘア、誇張されたコスメ、黒装束のゴシック/パンクルックです。世界的に評価される数少ないフランス女性建築家、マジメなビジネスの世界で成功した女性で、このようなスタイルをキープし続ける人は珍しいのではないでしょうか。筋金入りの反逆者だということを、身をもって表現しているのではないかしら・・建築という男世界で、相当な苦労をしたようです。彼女の作品は、アシメトリーで "ズレ" のある アンチ・コンヴァンショネル。空中の通路とか、カラー(特にレッド)の使い方など目を楽しませるトリックも。実際見ていないので写真からの判断ですが、彼女のデザインした建物は、そのわりには案外リーズナブルです。それほど巨大な建物を担当していないからかもしれませんが。
パリの建築学校で教師及び校長を務め、後にリヨンに自分の建築学校を建て、今パリにも別の学校がオープン予定。世界各国の学校でコンファレンスなど教育にもとても熱心です。
建築科の学生は60%が女性なのに、自分のオフィスを持ってそのヘッドとして仕事をするのはその10%にも満たないそうです。ある女性建築家のコメント: 女性建築家賞はあるが、男性建築家賞はない。女性建築家賞をもらった時は、複雑な気持ちだった。なぜ "女性" でなくてはならないのか? 迷った末、しかしまずここを通らなければならないのだと思い、受賞しました。
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