CN D Centre nationale de la danse de Jacques Kalisz à Pantin
パリ市内は、オスマン男爵が第二帝政時代に大々的な都市改革をして、幸い美しく統一され花の都と讃えられてしまったので、以来その景観を壊さないよう、新建築の侵入を徹底して拒否する政策がとられてきました。そのためポンピドーセンターやモンパルナスタワーなど例外はあっても、新建築のほとんどは、市を囲む環状道路周辺から外にばかり作られています。国立ダンスセンターCNDもその一つ。1970年建築家ジャック・カリシが、環状道路のすぐ外の町パンタンに建てた、ブリュタリスト(荒々しい、粗野の意味) 建築です。
トップの写真は入り口すぐのホールです。全てコンクリートの生の荒っぽい表面のまま、中央にデンとある巨大な階段が圧巻! 階段とスロープの2つが噛み合ったような形で最上階まで続き、これがこの建物の大動脈です。
写真上、手前がスロープ、よく見えませんが奥に階段のギザギザが少し見えますね。
写真下、こちらは手前が階段、右奧にスロープの黄色いネオンがちらっと見えます。中央の隙間からは、建物一番上の天井まで見える吹き抜け。
元はパンタンの行政センタ―として建てられましたが、時代を先取りし過ぎていたのか、この広いオープンスペースは使いずらいと職員たちに嫌われ、税務局や裁判所も入っていたので市民にも嫌われ、次第に見捨てられ・・取り壊しの話もあったけれど、解体費用が高すぎてそれもできなかったそうです。放り出されていた建物を、国がシンボル的な1€という価格で買い取り、改装して国立ダンスセンターとして2004年に甦りました。この改装工事を担当したアントワネット・ロバンとクレール・ギエッス(二人とも女性!)は、文学で言うとゴンクール賞に匹敵する建築の賞 "金の三角定規賞" を、この改装で受賞しました。
このスロープと階段の交差はとてもユニークで、歩き心地も快適でした。別にエレベーターもあり。コンクリートの荒っぽさとスケールの大きさが美しく、取り壊されなくて本当によかったと思います。
最近急速にボボ化して広いバルコニー付きの最新アパートが増える、人気のウルク運河沿いに建っています。ジャック・カリシが建てた頃は、工場や倉庫の並ぶ、あまりぱっとしない労働者の町だったのです。そのころに比べると、住人のメンタリティーもだいぶ変わっているのでしょう。上右は正面入り口。
資金の関係か、その後もこつこつ改装が続いているようで、現在の状態になったのは2016年だとか。上の写真も、外壁にネット被せているのは、恐らく落下防止用、修理待ちなのでしょうね。
13のダンススタジオ、そのうち4つは観客も入れて、安価な入場料で色々のダンスが鑑賞できます。ダンス関係の図書館、メディアや映像を含む資料室、会議室、映写室、カフェテリアを備え、ダンサーの訓練から教師育成までの総合センターです。
パフォーマンスのプログラムは、面白そうな企画がいっぱい。世界中からダンサーが集まって活気があり、今ではパンタン市民自慢の建物になっているそうです。
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