1/14/2021

ル・コルビュジエの船アジールフロッタン ≪ルイーズ-カトリーヌ≫

 

Asile flottant, Louise-Catherine de Le Corbusier au quai de la Seine

2021年はル・コルビュジエ建築の話題で始めましょう。でも普通の建物ではありません。オーステルリッツ駅のセーヌ河岸に浮かぶペニッシュ、ルイーズ-カトリーヌ号の数奇な運命のお話です。
このペニッシュは、1915年にルーアン、パリ間の石炭の運搬用に作られました。しかし石炭を運んだのは数年だけ。第一次世界大戦が勃発し、そのままずっと放置されていたものを、救世軍が1929年に買い取り、1930年に貧しい人々の救済施設として改造されました。アジール・フロッタンとは水に浮かぶ避難所の意味。その改造を担当したのがル・コルビュジエです。以前このブログで取り上げた13区の救世軍センター、シテデレフュージュの建設も、この当時彼が担当する事に決まっていました。


全長70m、700トンと大きなもので、中はベッド数160のドーミトリー、食堂、厨房、バスルーム、職員の住居が組み込まれ、屋根の上はセーヌを見晴らすテラスと、船というよりは横長の立派な建物です。上写真、立ち入り禁止の柵で隠れてよく見えませんが、左右とも写真からはみ出す大きさです。
冬はホームレスの住居に、春夏は子供の林間学校としても使われたそうです。

                                                       by Fondation Le Cordbusier

ベッドの並ぶドーミトリー、船の狭い空間がコンパクトに100%利用され、これがル・コルビュジエの有名な、人体の寸法を基本とした建築のメジャー、モデュロールの原点になったのだそうです。

船なのですから、パリの河岸を時々移動して活動していました。しかし老朽化が激しく危険になり、1994年に恒久的にクローズ。2008年に文化遺産に指定。ル・コルビュジエが手掛けたという事と、救済施設としての活躍などで歴史的価値は大きく、修復の試みが色々あったようですが、恐らく資金面でモタモタしていたところ、2018年のセーヌの増水で、なんと沈没してしまいました。2020年に日本の建築設計学会というところが沈没したまま買い取り、昨秋めでたくセーヌの底から引き揚げられた次第・・・


現在上写真の状態で、修復はまだまだこれから。2022年にアートセンターのような形で甦るようです。
中の円柱はル・コルビュジエのトレードマークと言えるような鮮やかなブルーに塗られている写真を見ました。修復が成功すればすてきなアートセンターになりそうです、パリの名所がまた増えますね。

関連ブログ : ルコルビュジエの救世軍センター/ シテデュレフュージュ

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