6/21/2013

ラ・トゥール・ヴァガボンドでシェークスピアを


Théâtre Shakespeare à La Tour Vagabonde

シェークスピアが数々の傑作を上演した時のままの姿を残した木造の劇場、グローブ・シアターがロンドンのサウスバンクにあります。ラ・トゥール・ヴァガボンド(直訳は“放浪する塔”)は、このエリザベス朝スタイルのグローブ劇場をモデルに、15年ほど前にスイスで作られましたが、ずっと忘れられ放置されていたのを、最近修復し、劇団 La Compagnie Les Mille Chandelles(千本のローソク)との協力で、今パリで公演中です。演目はロミオとジュリエット、お気に召すまま、そしてブラ・ディ・ブラ・ダ(子供向けの近代劇)

出入り口は計5か所くらいあり、その全部を使って俳優が出入りします

シェークスピアの時代は、劇場は屋根がなく、雨が降ると上演中止だったそうですが、ラ・トゥール・ヴァガボンドは屋根付きです。3階建ての円形、木の骨組みにカバーをかけたような作りで、組み立て式の移動劇場。ヒーターもクーラーもなく、さすがに照明は電気を使っていますが、暗めで、劇場内に入ると木や藁の匂いがします。頑丈な壁が無いので、車の音など外の雑音が沢山聞こえても、中はシェークスピアの世界。楽屋は外なので、俳優達は観客の間を通って出入りし、お客のいるバルコニーでも演技するので、舞台と観客席の区別がはっきりせず、それだけ臨場感も満点。よい天気の日だったので、庭の芝生の上にコスチュームが順番に並べられていたり、休憩時に俳優が飲み物を飲みながらリラックスしていたりと、多分シェークスピアの時代も、きっとこんな風にのどかだったのでしょう。
フランス語版なので、お気に召すままを見たのですが、主役の“ロザリンド”が“ロザランド”と発音されるなど、シェークスピアでなくて、モリエールの劇を見ているような気分がしたのだけがちょっと残念ですが、フランスで上演する以上仕方ないですね。

La Tour Vagabonde, Cité Internationale des Arts 7月中旬まで
18 rue de L'Hôtel de Ville 4e  http://tourvagabonde.com/

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