4/28/2014

マレにオープンしたユニクロの新ショップ

 

Nouvelle boutique Uniqlo à L'Aterier des Cendres dans le Marais

ユニクロが新ブティックをマレの中心フラン・ブルジョワ通りにオープンしました。元工場を改造した物件で、世界中のユニクロのブティックの中でも異色なのではないでしょうか。道路に面したファサードは普通のオスマン風の小型の建物なのですが、入口を入った中庭にある、大きな建物がお店のメインのスペース。正面階段の後ろには、工場の名残のレンガの大煙突35m、煙突の反対側には昔のままのアンティーク時計、ガラスと鉄枠の天窓など、19世紀半ばの工場の特徴をできるだけ残し、今トレンドの内装です。
    改装前の工場

宝飾品、時計、銀器等の生産の際にできた“廃棄物”には沢山の金銀プラチナが混ざっているので、本当のゴミと貴金属を分けるのがこの工場の仕事でした。あまり知られていない職業ですが、50㎏の廃棄物から250gの金が抽出できれば商売は成り立ち、時には50㎏から8㎏の金が見つかった事もあったそうです。元々この作業は専門家がいて外注されていたものを、それでは高くつくので、約500軒の宝飾金銀細工師が資金を出し合い、1867年に自分達のAtelier des Cendresアトリエ・デ・サンドル(灰の工場)を創立したのがこのアトリエです。それから2002年にパリ郊外に移転するまで、同じ工程でここで作業が行われていました。
ちょっと面白いのは、扱うものが貴金属なので、50~500㎏の袋入りで廃棄物が運び込まれると、その持ち主は精製作業の工程をしっかり監視し、1日で終わらない場合は、夜は袋を封印し、翌朝はこの持ち主以外は袋を開けることができなかったとか・・盗難防止ですね。コダックの銀板写真の時代には、100名の従業員でフル回転だったそうです。

廃棄物はまず地下の炉で焼かれ、その灰が臼で砕かれて粉になり、それを洗い、ふるいにかけた後化学処置をして貴金属を取りだしました。改装してもそれらの道具は捨てないという条件だったのか、それともユニクロの自主的な配慮か、地下にはガラス張りで博物館のように、元のままの炉や臼が、作業工程のビデオやアトリエの模型と一緒に展示されています。よくブティックの価値を坪効率(1㎡で一定期間にどれだけ収益を上げるか)で判断しますが、1階より狭い地下の、約半分のスペースをこの展示に使っているので、商売を犠牲にしての展示。経営者側は少しでも多くの商品で埋めたいところでしょうが、坪効率より、建物のプレスティージを強調する方針のようです。確かにマレに量販店を開くこと自体がプレスティージで、今のところ外にはH&MのハイエンドなラインCOSだけしかありません。開店直後の土曜日でお客様も多く込み合っていましたが、展示の前で足を止める人も多く、建物のルーツを残しておくのは好い事だね、などと話しているのを耳にしました。

道路に面したファサードには、貴金属宝飾銀細工師の会社、1859年創立、金銀の精錬、灰の処理、実験と分析、と書いてあります。
オープニングに合わせて、昨日からイネス・ド・ラ・フレサンジュがデザインしたカプセル・コレクションが発売中。赤いアクセントのかわいいスポーティーでシンプルなジャケットとパンツ、ストレートでフェミニンなサマー・ドレス、ニットなどで、良く売れていました。

Uniqqlo  39 rue des Francs-Bourgeois 4e 
http://www.uniqlo.com/fr/corp/pressrelease/2014/04/uniqlo_le_marais_grande_ouvert.html

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